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妓夫太郎キャスト判明「鬼滅の刃 遊郭編」ネットの盛り上がりとキャスト解禁方法の多様化

小新井涼アニメウォッチャー
(写真:アフロ)

大好評放送中のテレビアニメ「鬼滅の刃 遊郭編」。

その重要キャラクターであり、これまで存在が明かされてこなかった“妓夫太郎”が、昨夜ついに登場し、判明したCVの逢坂良太氏をはじめ、関連ワードが続々とトレンド入りを果たしました。

通常、テレビアニメの主要キャラクターは、放送前や初登場“前”にCVが発表されることがほとんどです。

しかし本作「鬼滅の刃」でいうと「無限列車編」公開時の“猗窩座”(CV.石田彰氏)など、敢えて初登場までCV情報を明かさないパターンも度々見かけます。

重要キャラであり、なおかつそのキャラを人気キャストが務めるのであれば、見逃し防止のためにも、放送・公開前の告知が重要なはずです。

それにもかかわらずキャストを秘密にしておくことには、一体どのような意図があると考えられるのでしょうか。

まずシンプルな理由としては、ネタバレ回避的な意味合いが強いと思います。

例えば、猗窩座や妓夫太郎、他作品だと「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の神木隆之介氏の出演など。

これらは単純にCVを発表するだけでも話題となるキャスティングですが、同時にキャラクターの説明やどうして出てくるのかといった情報が、そのまま物語の重要な展開のネタバレにもなってしまう存在です。

それならば事前に発表するのではなく、事前情報無しで初めてみた人達に純粋に驚いてもらい、そこで改めて盛り上がってもらうという方法が選ばれているのでしょう。

こうした、“存在自体がネタバレ”なキャラクターの情報が初登場まで伏せられるということはこれまでにも少なからずありました。

ではその解禁が、なぜここ数年程になって特に話題になることが増えているのかというと、その背景にはSNS等、ネット上でのリアルタイムの情報共有が益々活発になっていることが大きいと思います。

実際に昨夜のように、CV判明と同時にSNSでトレンド入りを果たしたり、ネットニュースになることで、情報解禁が益々話題になるといった効果も多々みられるようになりました。

こうした口コミやリアルタイムでの爆発的な盛り上がりが生まれるようになったことで、キャスト解禁方法の多様化もみられるようになってきています。

同じ「鬼滅の刃」であれば、“ムキムキねずみ”役の木村昴氏や、他作品であれば「ポプテピピック」の毎回のキャスティングなど、『そこにその方が!?』といった驚きのキャスティングが放送で解禁されたり、「ゾンビランドサガ」1期では、CVのクレジットが「????」表記であった“山田たえ”役が三石琴乃氏であることが放送途中で発表されたりー

また、最近は「吸血鬼すぐ死ぬ」の“Y談おじさん”(CV.井上和彦氏)など、ネタバレキャラではないものの原作既読ファン注目のキャラが初登場までCVを秘密にされていて解禁と同時に盛り上がったり、「劇場版 呪術廻戦0」では同じくネタバレキャラではないものの、登場自体がサプライズであった“日下部篤也”(CV.三木眞一郎氏)のCVが解禁され話題になったりといったこともありました。

ただし、現在そうしてネット上での反応が活発になったからといって、こうした解禁方法が全ての作品、全てのキャラで効果的なのかというと、そうとも言えません。

言い方は悪いですが、もとより作品自体に新キャラのCVが放送で解禁された際にリアルタイムで話題になるだけの認知度が無ければいけませんし、解禁されるCVにも『この人か!』と話題になるだけの知名度がある方のキャスティングが毎回必要です。

また、口コミの宣伝効果を狙っていることがあまりにも示唆的であれば、もしかしたらファンがそのことに対してアレルギー反応を起こすこともあるかもしれません。

そのため、こうしたキャスト解禁の意図としても、SNSでの宣伝効果を一番に狙って、というよりは、あくまでここぞという時に行う、リアルタイムで作品を追っているファンへの粋なサプライズであったり、一緒に作品を盛り上げていくためのお祭り提供的な意味合いの方が強いように思います。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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