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「東リベ」「シン・エヴァ」「ウマ娘」Yahoo!検索大賞にみる2021年の話題作とその盛り上がり

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:SENRYU/イメージマート)

毎年恒例の「Yahoo!検索大賞」にて、来月の大賞発表を前に、カルチャーカテゴリーの結果が先行発表されました。

アニメ部門1位には「東京リベンジャーズ」が輝き、その他の部門にも“今年の顔”となった話題作が勢揃いし、注目を集めています。

前年比で検索数が急上昇した人物や作品が受賞する「Yahoo!検索大賞」。

その結果を基に、2021年の話題作とその盛り上がりを改めて振り返ってみます。

■アニメ部門賞

アニメ部門賞の1位となったのは「東京リベンジャーズ」です。

アニメ部門は2019年2020年と、2年連続で「鬼滅の刃」が1位となっていたため、久々の新タイトルの登場に改めて注目も集まりました。

本作は2019年の「鬼滅の刃」と同じく、今年の4月から9月のタイミングでテレビアニメが放送され、累計発行部数を伸ばし続ける原作漫画との相乗効果もあり、アニメ放送後も年末に向けて更に人気を拡大し続けています。

それに加えて、実写映画版の大ヒット、アニメ放送中からぐっと増えたグッズ・コラボ展開、相次ぐ報道番組での特集や出演キャストのバラエティ番組出演等、様々なメディアを跨いでその評判を目にする機会も増加しており、まさしく“今年の顔”となっている作品です。

その他アニメ部門では、2位に「呪術廻戦」、3位に「鬼滅の刃」、4位に「転生したらスライムだった件」、5位に「PUIPUIモルカー」が続きました。

昨年と今年を跨いでテレビアニメが放送され、劇場版の公開を来月に控える「呪術廻戦」は、検索数増加の時期がバラけたことも影響したのか2位となりましたが、それでも3位に続く「鬼滅の刃」と共に、昨年比でもそれだけ検索数が増加しているという驚異的な人気が依然窺える結果となっています。

■各受賞作品

同じくカルチャーカテゴリーの映画部門では「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、ゲーム部門では「ウマ娘 プリティーダービー」と、いずれもアニメやアニメにも関連深い作品が首位に輝きました。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は、誰もが知る有名作品の待望の完結編であったのはもちろん、ロボットアニメの本作が興行収入100億円を記録するという歴史的快挙を成し遂げた背景には、往年のファンだけでなく、本作に今年初めて触れた人、久々に触れた人も多かったことが窺えます。

コロナ禍を鑑みた世界配信の決行も注目を集め、誕生から30年近く経つ作品でありながらも、“2021年の顔”として相応しい盛り上がりをみせました。

「ウマ娘 プリティーダービー」は、テレビアニメ第2期放送中にリリースされた、こちらも”やっとみんな会えた”待望のスマホアプリをきっかけに、ゲーム・アニメファンをはじめ、競馬ファンから各界の著名人にまで波及するほどの大きなムーブメントを生んでいます。

作品ユニットである「ウマ娘」も数々の音楽番組等に出演し、来月には「FNS歌謡祭」への出演も控えるなど、年末にかけても2021年の顔として引き続き注目を集めていきそうです。

■年末の各大賞受賞の意味

今回の「Yahoo!検索大賞」をはじめ、既に上記作品関連のワードがノミネートされている「TikTok流行語大賞」や「ネット流行語100」、そして「Twitterトレンド大賞」など、この時期にはその年に盛り上がった作品を改めて振り返る企画が数多く用意されています。

しかしそこでの受賞は『今年の話題作はこれでした』と、ただ選ばれて終わりというだけでなく、選出されることで改めて話題になり、未だ知らない人にまでその認識を広げるといった効果もあるものです。

実際に、「鬼滅の刃」が2019年に「Yahoo!検索大賞」のアニメ部門1位を初めて冠した当時は、振り返ると今に続く「鬼滅」ブームの序盤ともいえる段階で、「Yahoo!検索大賞」や「Twitterトレンド大賞」を総なめしたことが、その後アニメ・漫画ファン以外にまでその知名度を広げていくひとつのきっかけともなっていました。

同じく今年アニメ部門1位となった「東京リベンジャーズ」も、未だ原作も連載が続き、テレビアニメや実写映画、舞台等の続編も今後期待される作品です。

今年を振り返って終わり、ではなく、来年以降の展開にも繋がる更なる盛り上がりを生む…アニメ関連作品にとって、年末の各大賞の受賞には、そうした意味もあるように思います。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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