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“無限列車編”いよいよ明日放送「鬼滅の刃」テレビ放送の高視聴率が示すものとは

小新井涼アニメウォッチャー
(劇場版パンフレット 豪華版収納BOX表紙:筆者撮影)

国内映画史に残る様々な記録を生み出してきた話題作・劇場版「鬼滅の刃」無限列車編が、いよいよ明日テレビ初放送されます。

それに先駆け放送されてきたテレビシリーズ第1期にあたる「竈門炭治郎 立志編 特別編集版(以下特別編集版)」も、次々と高視聴率をたたき出し、SNSでも関連ワードがトレンド入りするなどして連日盛り上がってきました。

こうした今回の高視聴率が示す、現在の本作への注目度、そしてそこからみえてくる、テレビアニメ第2期で更なる盛り上がりが生まれる可能性について概観してみます。

■安定した注目度の高さ

テレビシリーズ「特別編集版」は、今月11日から第1期全26話が5日間に分けて放送されてきました。

ビデオリサーチによると、平均視聴率(世帯)はそれぞれ、第一夜「兄妹の絆」が13.3%、第二夜「浅草編」は13.4%、第三夜「鼓屋敷編」が14.4%、第四夜「那田蜘蛛山編」は14.7%、第五夜「柱合会議・蝶屋敷編」は15.0%を記録したそうです。(関東地区)

放送を重ねる度に増加してきた数字からも、その大トリとなる明日の「無限列車編」では更なる高視聴率が期待されます。

とはいえ、益々配信視聴の比重も高まる現在、視聴率といわれてもどこからが高視聴率で、それがどれほどのものなのか、いまいちピンと来ない方も少なくないと思います。

参考までに比較してみますと、高視聴率(世帯)番組のアニメジャンルで毎週のようにトップに位置するいわゆる国民的アニメの「サザエさん」が高くて10%前後。

先月「金曜ロードショー」で放送され、こちらも高視聴率と話題になった「もののけ姫」は、13.8%でした。

放送時間や放送形態の違いもあるため、単純に数字だけで比較はできませんが、それでも今回の「特別編集版」の視聴率からは、改めて国民的ともいえる注目度の高さ、少なくとも、日曜夕方の長寿作品やジブリ作品に通ずるような、通常深夜アニメではまずみられない“マス”な視聴者からの注目があることが十分窺えます。

■再び深夜アニメとなった時

こうした数字をみた時に気になってくるのが、この状態でテレビアニメ第2期「遊郭編」が再び深夜アニメの放送・配信形態になった際に、そうしたマスな視聴者がどのような視聴方法を選択していくのかです。

現在、アニメ公式からは、全国30局での放送、各配信プラットフォームでの配信がアナウンスされていますが、最速放送がどの曜日・時間帯となるのか、また最速の配信タイミングも未だ発表されていません。

フジテレビからは既に日曜深夜の放送が告知されてはいるものの、それでも今回の土日祝日ゴールデン帯での放送と比べると、視聴方法や視聴タイミングは、リアルタイム、録画、VODと、ある程度分散されていくことは必須です。

そうした時に、毎週放送される新たなエピソードへのリアクションがどれだけ時差なく、分散せずに、大きな熱量で発信されていくのか。

このあたりは、未だマスな注目度を持つ本作が再び深夜アニメ帯の放送に戻り、通常盛り上がりもある程度収斂しがちな第2期において、今一度更なる盛り上がりを生み出すかどうかのポイントとなっていくのかもしれません。

2019年のテレビアニメ放送後社会現象を生み、前人未踏の偉業を達成した劇場版を経て、その熱も冷めやらぬうちに第2期テレビシリーズの放送を迎える本作「鬼滅の刃」。

既にアニメ史上これまでに類のないブームとなっていることもあり、この大きなムーブメントが今後どうなっていくのかは全くの未知数でもあります。

ある程度収斂していくのか、再三の更なる社会現象を生み出すのか。まずは明日放送の劇場版「鬼滅の刃」無限列車編への反響及びそこでの新情報、そして今後発表されていくであろう第2期の放送・配信情報に注目です。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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