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一夜明けても冷めぬ熱気、テレ朝「アニソン総選挙」への反響と余波

小新井涼アニメウォッチャー
(提供:Panther Media/アフロイメージマート)

9月6日にテレビ朝日で放送された「アニメソング総選挙」が、放送から1夜明けた7日中まで盛り上がり続け、話題となりました。

「あなたが一番好きなアニソンは何ですか?」と、日本全国にアンケート調査した結果をランキング形式で発表した本番組。

『注目の「紅蓮華」(鬼滅の刃)は一体何位になるのか』『アニソンランキング界隈では最早殿堂入りともいえる「残酷な天使のテーゼ」(新世紀エヴァンゲリオン)は…』と、多くの視聴者が固唾をのんで見守ったランキング発表時はもちろん、その熱気がいつまでも冷めず、翌日まで盛り上り続けたのは一体何故なのでしょうか。

■ガチ投票によるガチランキング

番組内で発表されたのは、日本全国13万人からの投票により作成されたアニソンランキングの上位30位。その結果は以下の通りでした。(番組HPより

30位「ハレ晴レユカイ」(涼宮ハルヒの憂鬱)

29位「Stories」(ブラッククローバー)

28位「Catch the Moment」(劇場版 ソードアート・オンライン)

27位「RAY OF LIGHT」(鋼の錬金術師)

26位「マジンガーZ」(マジンガーZ)

25位「ルパン三世のテーマ」(ルパン三世)

24位「水の星へ愛をこめて」(機動戦士Ζガンダム)

23位「コネクト」(魔法少女まどか★マギカ)

22位「おどるポンポコリン」(ちびまる子ちゃん)

21位「オリオンをなぞる」(TIGER & BUNNY)

20位「曇天」(銀魂)

19位「鉄腕アトム」(鉄腕アトム)

18位「Snow halation」(ラブライブ!)

17位「CHA-LA HEAD-CHA-LA」(ドラゴンボールZ)

16位「銀河鉄道999」(劇場版 銀河鉄道999)

15位「君の知らない物語」(化物語)

14位「世界が終るまでは…」(SLAM DUNK)

13位「マジLOVE1000%」(うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%)

12位「ムーンライト伝説」(美少女戦士セーラームーン)

11位「サザエさん」(サザエさん)

10位「インフェルノ」(炎炎ノ消防隊)

9位 「Godknows…」(涼宮ハルヒの憂鬱)

8位 「Get Wild」(シティ―ハンター)

7位 「紅蓮の弓矢」(進撃の巨人)

6位 「only my railgun」(とある科学の超電磁砲)

5位 「タッチ」(タッチ)

4位 「Butter-Fly」(デジモンアドベンチャー)

3位 「宇宙戦艦ヤマト」(宇宙戦艦ヤマト)

2位 「紅蓮華」(鬼滅の刃)

1位 「残酷な天使のテーゼ」(新世紀エヴァンゲリオン)

誰もが知っている不朽のアニメソングから、最新タイトルの主題歌まで、これまでも“アニソンランキング”を冠する番組は幾多と放送されてきましたが、ここまでバラエティに富んだランキング結果は、総選挙と冠する当番組ならではのものでした。

今回「アニソン総選挙」がここまで盛り上がったのも、そこに理由があると思います。

前述の通り、“人気のアニソンをランキング形式で発表”する番組はこれまで数多と放送されてきましたが、どれほど幅広い年代や作品を扱うと言われても、視聴者側もある程度内情を鑑みてしまうものなので、『大人の事情もあるだろうしランクインする曲はある程度限定されてしまうんだろうな』、『テレビをみている人が分かる有名曲ばかりなんだろうな(=自分の好きなアニメの曲はどうせ入らないんだろうな)』と、心のどこかで思ってしまうところがありました。

しかし、今回の「アニソン総選挙」では、“国民13万人がガチ投票”と謳われており、ランキングは番組側の意向ではなく視聴者の投票によって作成される、というコンセプトとなっています。

そのため『もしかしたら自分の好きなあの曲も、今回はランクインできるかも…!』と、投票期間中から各作品のファン同士が主題歌の投票を呼び掛け、放送前も様々な結果予想が飛び交い、放送中も本気でランキング発表を見守り、結果に驚き、テレビの前だけでなく、配信プラットフォームやSNSまでも巻き込んで、大いに盛り上がることができたのです。

作られた結果をただ与えられるのではなく、投票した人も(もしかしたらしていない人も)、“自分達の手でつくりあげたと思える結果”を受け止め、盛り上がる様子は、まさに総選挙の名にふさわしい光景でした。

ランキングではありますが、ランクインしていた曲を妬んだり、結果に不満を持ったりするのではなく、放送後はスポーツ観戦後のような余韻と共に、ランキング結果について語り合う姿がみられたのも、結果を受け止めやすい、自分達の手でつくりあげたと思える総選挙形式があってのことだと思います。

■放送後の余波

そんな当番組が生んだ熱気は放送終了後まで余波を広げ続けました。

番組終了後にネット配信で発表された100位から31位までのランキング結果が話題になったのをはじめ、『次はこんなアニソンランキングが見たい』というものから、『この作品の主題歌だけで総選挙をするなら…』といったものまで、番組への反響が放送翌日までSNS上で盛り上がり続けたのです。

中にはSNS上で独自に総選挙が行われ、関連ハッシュタグがTwitterトレンド入りを果たし、ファンをはじめ主題歌アーティストや作品関係者も含めて盛り上がっていた作品もありました。

放送終了後の翌日までこうした熱気が広がり続けたのは、前述の総選挙という形式はもちろん、そうして次を熱望したくなるくらい『色々な大人の事情もある中ガチ投票を汲んだガチランキングを作ってくれたのだろうな…』と思える番組の本気度がアニメファンに伝わったことも、かなり大きかったのではないかと思います。

配信プラットフォームやSNSをも巻き込み、番組放送終了後までこうした盛り上がりや広がりをみせた「アニソン総選挙」。これだけ注目され、次を熱望する声も多く集まっているということもあり、今後第2、第3の開催も期待せずにはいられません。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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