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大谷翔平の執刀医、エラトロッシュ医師はシルベスター・スタローンの義兄弟のスーパードクター

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
エラトロッシュ医師が特集された新聞を手にするスタローン(本人のインスタグラムより

 9月19日(現地時間20日)に大谷翔平が右肘の手術を受けとエンゼルスから発表があり、大谷本人も自身のインスタグラムでファンに報告をした。

 手術を担当したのは、2018年に大谷の右肘靭帯再建術(トミー・ジョン手術)も担当したニール・エラトロッシュ医師。

 トミー・ジョン手術のパイオニアであるフランク・ジョーブ博士の愛弟子で、ジョーブ博士が設立した「カーラン=ジョーブ・クリニック」にて多くのスーパースターの選手生命を救ってきたアメリカ・スポーツ界を代表する名医だ。

スタローンの義兄弟 

 エラトロッシュ医師の患者はスポーツ界だけでなく、ニコール・キッドマンやアーノルド・シュワルツェネッガーなどハリウッドの映画スターたちも名前を連ねる。

 ハリウッドの超大物スター、シルベスター・スタローンとは義理の兄弟の間柄でもある。スタローンの奥さん、ジェニファー・フレイヴィンと、エラトロッシュの妻が実の姉妹。

 「ニールは最高の医者であるだけではなく、俳優としてもやっていけるほどのハンサム」とスタローンは語っている。

 スタローンは映画「ロッキー」シリーズでボクサーを演じたが、エラトロッシュ医師も大学時代はアマチュア・ボクサーとしてリングで戦っていた。

 ゴルフの腕前もトップクラスで、ハンディキャップは10。今年2月にはペブルビーチで行われたプロアマ・トーナメントに出場して、トッププロと一緒にラウンドした。

過去の手術の成功例

 肘だけでなく、肩と膝の権威として、これまでに野球界に限らず、多数のアスリートを救ってきたエラトロッシュ医師。

 彼が担当してきた患者のリストを見るだけで、アメリカで最も信頼され、優れた実績を持つ外科医だと分かる。

 最も有名なのが、NFLのスーパースター、トム・ブレイディとの関係性。

 2008年の開幕戦で、左膝の靭帯を損傷してシーズン全休に追い込まれたブレイディは、本拠地のボストンから遠く離れたロサンゼルスにいるエラトロッシュ医師に手術を依頼。手術後には、エラトロッシュ医師がアメリカ大陸を定期的に横断して、ブレイディのリハビリに付き合った。2人は医師と患者の関係を超え、友情を育み、ブレイディが「歴代最高のNFL選手」と呼ばれる裏には、エラトロッシュ医師のサポートがあった。

 手術後のブレイディはスーパーボウルを4度制覇し、エラトロッシュ医師には絶対的な信頼を置く。

 NFLでは他にもジョー・バロウが2020年にACL断裂の大怪我を負ったときにも手術を担当。バロウは復帰して、今季開幕前にはNFL史上最高年俸となる5年2億7500万ドルの契約を勝ち取った。

 また、2周間前に行われたばかりの今季開幕戦で、アーロン・ロジャースがアキレス腱を断裂したときも、すぐにエラトロッシュ医師に手術を依頼した。

手術が成功して、エラトロッシュ医師に感謝のメッセージを送るアーロン・ロジャース(本人のインスタグラムより)
手術が成功して、エラトロッシュ医師に感謝のメッセージを送るアーロン・ロジャース(本人のインスタグラムより)

 NFLでトップの選手だけでなく、NBAのトップ選手とも信頼関係を築き上げたエラトロッシュ医師。

 2013年にコービー・ブライアントがアキレス腱を断裂させたときに、修復手術を執刀したのも彼だった。

 「手術だけを執刀する医者も多いが、ニールは手術前のカンセリングから、手術後のリハビリまで責任を持って付き合ってくれる」とスポーツ医療関係者が明かすように、エラトロッシュ医師を頼るアスリートは後を絶たない。

 MLBでは、今季ナショナル・リーグのMVP最有力候補として大活躍しているロナルド・アクーニャ・ジュニアが2021年に膝の前十字靭帯の修復手術を受け、昨オフにトミー・ジョン手術を受けたブライス・ハーパーは、史上最速となる手術から160日でメジャーの試合に復帰した。

 昨年9月にはフェルナンド・タティース・ジュニアがエラトロッシュ医師に左肩の手術をお願いして、今季は25本塁打と復調。大谷の好敵手たちもエラトロッシュ医師のお世話になっている。 

 そんな名医が「2024年の開幕日には完全に回復し、何の制限もなく打てるようになるし、2025年には投打の両方できると」と太鼓判を押しているのは大谷にとって心強い。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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