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大谷、今季終了か? このタイミングで決断した理由を分析

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
エンゼルスの大谷翔平(写真: KIYOSHI MIO/USA Today)(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地9月15日(日本時間16日)、ロサンゼルス・エンゼルスの試合後に、右脇腹のケガで11試合連続欠場中の大谷翔平が、今季中の復帰を断念する可能性が浮上した。

 デトロイト・タイガースに11対2で大敗を喫したエンゼルス。報道陣が試合後のロッカールームに足を踏み入れると、大谷のロッカーからは野球用具などが綺麗に片付けられており、ほぼ空になっていた。

 エンゼルスの広報部は、16日(日本時間17日)に何らかの発表をすると説明したが、大谷が今季の復帰を諦めた可能性は非常に高い。

 8月23日(日本時間8月24日)のシンシナティ・レッズ戦のダブルヘッダー第1試合に先発投手として登板した際に、利き腕である右肘靭帯の損傷が発覚した大谷。投手としては、今季はもう登板しないことが発表されたが、打者としては第2試合にも打席に立ち、出場を続けていた。

 しかし、9月4日(日本時間5日)のボルティモア・オリオールズ戦の試合前に、久しぶりに外で打撃練習をした際に、右脇腹を痛める。そこから欠場が続いたが、大谷本人は復帰に意欲をみせていた。

 そんな大谷が、14試合を残したこのタイミングで苦渋の欠場を決めた理由を探ってみたい。

今季の復帰を断念した可能性が浮上したエンゼルスの大谷翔平(写真:KIYOSHI MIO/USA Today Sports)
今季の復帰を断念した可能性が浮上したエンゼルスの大谷翔平(写真:KIYOSHI MIO/USA Today Sports)写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

地区優勝の可能性が消滅

 タイガースに大敗したエンゼルスは今季の成績が68勝80敗となり、この日の敗戦で地区優勝の可能性が完全に消滅した。

 エンゼルスが所属するアメリカン・リーグ西地区は、ヒューストン・アストロズ、テキサス・レンジャーズ、シアトル・マリナーズの3チームがゲーム差1.5の中で激しい地区優勝争いを繰り広げている。

 エンゼルスは地区首位のアストロズとのゲーム差が15.0ゲームまで開き、残り14試合を全勝しても、地区優勝はできない。

 「可能性がある限り諦めるということはない」と8月上旬に大谷が語ったように、地区優勝の可能性が0.1%でも残っている限り、最後まで戦う決意だった大谷。だが、その可能性が0%になったことで、気持ちに踏ん切りがついたのだと思われる。

地区優勝の可能性が0.1%でも残っている限り、最後まで戦う気持ちだった大谷翔平(写真: KIYOSHI MIO/ USA Today Sports)
地区優勝の可能性が0.1%でも残っている限り、最後まで戦う気持ちだった大谷翔平(写真: KIYOSHI MIO/ USA Today Sports)写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

2019年はプレイオフの可能性が消滅したタイミングで手術を決意

 ここで、2019年に大谷が左膝の蓋骨の手術を決意したタイミングを振り返ってみたい。

 2018年シーズン終了直後に右肘の靭帯再建手術を受けた大谷は、19年は投手としての登板はなく、打者としての出場に専念していた。

 打者としての出場を続けると同時に、投手としてのリハビリに励んでいる最中に、左膝の痛みが大きくなった大谷。打者として出場する分には問題ないと言われていたが、投手復帰のことを考えて、手術を決断したのは9月11日だった。

 前日、9月10日の夜に行われた試合で地区2位のオークランド・アスレチックスが、地区首位のアストロズに勝利。すでにエンゼルスの地区優勝の可能性は消滅していたが、アスレチックスが勝ったことで、ワイルドカードでのプレイオフ出場の道も完全に閉ざされた。

 大谷が手術を決断した翌日の12日に球団から発表があり、13日に手術が行われた。

 今年はワイルドカードでのプレイオフ出場の可能性こそまだ完全消滅してないものの、ワイルドカードのエリミネーションナンバーは2。『逆マジックナンバー』とも呼ばれるエリミネーションナンバーが0になると、ワイルドカードの可能性も完全消滅するが、最速16日にもゼロになる。

大谷の口から語られることを期待

 大谷は投手として今季10勝目を挙げた8月10日の試合後に報道陣の囲み取材に応じて以来、コメントを発していない。

 この1ヶ月はフィル・ネビン監督やペリー・ミナシアンGM、代理人を務めるネズ・バレロ氏が、大谷の代わりに報道陣に状況を説明してきた。

 日米の大谷ファンは、なによりも大谷本人の口から状況を説明されることを望んでいる。

 16日の会見には誰が出席して語るのかは明らかになっていないが、大谷が自ら説明すれば、ファンは安心することだろう。

写真:KIYOSHI MIO/USA Today Sports
写真:KIYOSHI MIO/USA Today Sports写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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