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5勝&100奪三振に到達した大谷翔平は、シーズン10勝&200Kを達成できるか?

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
ロッキーズ戦で今季5勝目、100奪三振を記録したエンゼルスの大谷翔平(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月26日(日本時間27日)のコロラド・ロッキーズ戦で、7回を投げて5安打、1失点、5奪三振の好投を見せ、今季5勝目を挙げたロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。奪三振数は100に伸ばして、メジャーリーグ史上初となる二桁本塁打&三桁奪三振の快挙を達成した。

 エンゼルスにとって、この試合は今季99試合目。シーズンの残りは63試合だが、大谷は二桁勝利&200奪三振を達成できるのだろうか?

 今季の大谷の登板間隔は中5日が5回、中6日が4度、中7日は1回となっている。(他に中12日と15日がそれぞれ1度ずつあり)

 オールスター期間を挟んで、中12日の登板となった前回登板(現地7月19日のアスレチックス戦)を除けば、過去7試合は中5日か6日登板と安定した登板間隔を守っている。

 今後もこの登板間隔を保つとすれば、大谷の先発登板機会は残り10回となる。

シーズン二桁勝利は十分に可能

 10先発登板で5勝するには、2先発登板で1勝のペースで勝ち星を重ねていかないとならない。大谷はここまで15先発登板で5勝、3先発登板で1勝なので、ペースをかなり上げる必要はあるが、決して無理なペースではない。

 日本人メジャーリーガーの10先発登板での最多勝利は2002年の石井一久(ロサンゼルス・ドジャース)と08年の松坂大輔(ボストン・レッドソックス)の8勝。石井は1敗を喫したが、松坂は無敗だった。

 10先発登板で7勝は松坂、田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、ダルビッシュ有(3回、達成時はテキサス・レンジャーズとシカゴ・カブス、現サンディエゴ・パドレス)の3投手合わせて5回達成。

 6勝は伊良部秀輝(ヤンキース)、野茂英雄(2回、ドジャースとミルウォーキー・ブリュワーズ)、石井、黒田博樹(ヤンキース)、前田健太(達成時はドジャース、現ミネソタ・ツインズ)の5投手が計6度達成している。

 大谷が必要とする5勝は16回も記録されており、十分に達成可能だ。

 日本人メジャーリーガーが、シーズンに10登板連続先発したのは82回あり、5勝以上は29回。達成率は35%になっている。

 なお、大谷の最多記録は2018年の10先発登板で4勝(2敗)だが、10登板をクリアしたのは18年と今季の2度しかない。

残り5勝よりも難しい残り100奪三振

 次に200奪三振をみてみたい。

 大谷は今季ここまで80イニングを投げて、100三振を奪っている。残り10試合で80イニングを投げるのは、試合平均8イニングを投げないといけないが、今季は8回まで投げた試合は1度もない。7イニングが4度、6イニングが5度で、5イニング以下での降板が6度もある。

 100奪三振(そしてあと5勝)を狙うには、早い回での降板は避けなければならず、最低でも6回は投げ切りたい。

 60イニングで100奪三振は、9イニングで15奪三振のペースとなり、さすがの大谷でも難しそうだ。70イニングで100奪三振だと、9イニングで12.9奪三振のペースとなり、少しだけ現実味が出てくる。

 今季ここまでの大谷の奪三振率は11.3となっている。

 気になるのは、最近の大谷は制球力を重視した投球をしており、与四球は少なくなっているが、同時に奪三振も激変している。過去7試合で二桁三振を奪った試合は1度もなく、5奪三振以下の試合は4度もある。

 日本人メジャーリーガーの10先発登板での最多奪三振は2013年にダルビッシュが記録した91奪三振が最高。

 メジャー記録は2000年にランディ・ジョンソン(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)が記録した113奪三振。10先発登板で100奪三振以上はメジャーの歴史でも13回しか達成されていないほどにハードルが非常に高い。

 この13回の中で最も投球回数が少なかったのはジェイコブ・デグロム(ニューヨーク・メッツ)が今季達成した64.0イニングで103奪三振(奪三振率14.5)。大谷が残り10試合で100三振を奪うには、デグロムのような神がかり的な投球をしなければならない。

 大谷は今季開幕からの10試合で53.1イニングで73三振を奪っており、その間の奪三振率は13.7。このときと同じハイペースで三振の山を積み重ねて、70イニングを投げれば100奪三振には近づける。

 なお、日本人メジャーリーガーのシーズン最多奪三振は2013年にダルビッシュが記録した277奪三振で、シーズン200三振以上を奪ったのは、ダルビッシュ(4回)と野茂(4回)以外では2007年に201奪三振を記録した松坂しかいない。

現実的な成績は10勝、160奪三振か?

 勝ち星は投手の力だけでコントロールできるものではなく、後続のリリーフ投手の力や、打線の援護に大きく左右される。

 大谷が投げた試合での平均得点は4.62得点だが、これは9得点と11得点の試合がそれぞれ1度あり、この2試合が平均を上げている。1点以下の試合が4度もあり、大谷が白星を手にするには打線に奮起してもらいたい。

 勝ち星とは対照的に奪三振は投手の能力が全てと言われている。大谷はメジャーでもトップクラスの奪三振能力を持っているが、前述したように最近は三振を奪うことよりも制球力を重視しており、奪三振数は減っている。

 狙えば、いつでも三振を取れるだけに、シーズン最終登板までに185三振を奪えば、最終登板試合では大谷による奪三振ショーが観られるかもしれない。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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