MLB Dバックス、リック・ショート打撃コーチ独占インタビュー 乃木坂46・久保史緒里へメッセージ付
今年4月、ある一部ファンたちの間で「リック・ショート」の名前が話題に上がり、「突然のリック・ショートwww」と局地的に盛り上がった。
リック・ショート。千葉ロッテマリーンズで1年、東北楽天ゴールデンイーグルスで4年プレーして、首位打者のタイトルも獲得した「マジメ外国人選手」だったが、その存在とプレーがあまりにも地味だったために、よほどのプロ野球ファンでないと記憶の片隅には残っていない。
そんなショートが話題となったのは、国民的人気アイドルグループの中心メンバーで、ゴールデンイーグルスの熱心なファンとしても知られる久保史緒里が、インタビューの中でリック・ショートのエピソードを披露したからだった。
宮城県仙台で生まれ育った久保が3歳だった2004年11月にゴールデンイーグルスが東北に誕生。久保一家は球団創設時からのゴールデンイーグルス・ファンで、久保も幼少の頃から両親に連れられて、球場へ応援に行っていた。
小学校3年生のときには、ゴールデンイーグルス公式チアリーディング・チーム「東北ゴールデンエンジェルス」のジュニア・チアリーダーとして活動を開始。ゴールデンエンジェルスのジュニア・チアには中学3年生まで所属していた。
乃木坂46のメンバーになってからは、イーグルスガールズイメージキャラクターに任命され、今年5月末の試合では2年連続となる始球式にも登場した。
そんな久保の熱いゴールデンイーグルス愛とリック・ショート愛を伝えるために、ショートを直撃。7月14日に20歳の誕生日を迎えた久保のエピソードを伝えるとともに、彼の近況に関しても聞いてきた。
久保が名前を出した直後にMLBの打撃コーチに就任
久保がスポルティーバのインタビューに応じたとき、ショートはアリゾナ・ダイヤモンドバックス傘下のマイナーリーグ・チーム(3A)で打撃コーチを務めていた。
久保の発言がショートにとって追い風となったのか、インタビュー記事掲載から1ヶ月少しが経った現地6月10日、中日ドラゴンズと阪神タイガースでもプレー経験があるダネル・コールズ打撃コーチと、大谷翔平のメジャー初めての打撃コーチも務めたエリック・ヒンスキー打撃コーチ補佐をダイヤモンドバックスは解任。ショートをマイナーから昇格させて、ダイヤモンドバックスの打撃コーチに任命した。
前半戦をメジャー・ワーストの26勝66敗で折り返したダイヤモンドバックス。球団記録となる17連敗、メジャーリーグ新記録となる敵地で24連敗を喫するなど苦しいシーズンを過ごしている。
チームの出塁率(.305)、OPS(.677)共にナショナル・リーグで下から3番目に位置するダイヤモンドバックスだが、ショートが打撃コーチに就任後は打撃成績が上向いてきている。
メジャーでの通算打率は4割の技巧派打者
ここ数年のメジャーリーグは、ホームランか三振の大味なゲームになってきているが、現役時代のショートは技巧派打者としてヒットを量産してきた。
ショートのメジャーリーグでの通算打率は4割ジャスト!
ただし、メジャーでは11試合にしか出場できずに、15打数6安打での打率4割だ。
11年間過ごしたマイナーリーグでの通算打率は.319。1Aで1度、3Aで2度首位打者になっており、3Aでプレーした2005年には8月まで打率4割台をキープしていた。
日本では5年間の通算打率が.314。ゴールデンイーグルス2年目の2007年はシーズン最後まで稲葉篤紀(北海道日本ハムファイターズ)と首位打者争いを繰り広げ、4厘差で2位。翌08年は中島裕之を7毛差で抑えて、首位打者のタイトルを手にしている。
安打を打つ技術は一流だったが、長打力には欠け、日本での通算本塁打は546試合で35本。
来日1年目の2003年は打率3割をマークしながらも、ホームラン12本を「パワー不足」と言われ、1年で解雇されている。
安打製造機だったショートは、一発狙いの現在のMLBをどう思っているのだろうか?
試合中にタブレットを駆使して対応策を練る
メジャーリーグではベンチでのタブレット・デバイスの使用が認められており、多くの打者が打席を終えてベンチに戻ってくると、熱心にタブレットで自分の打席を振り返っている。
ショートも試合中、相手チームの攻撃時はタブレットを見ながら、対応策を練っている。
自軍打者のスイングや打球角度、打球速度を見るだけではなく、相手投手の球種や球速、そして投球の組み立てを振り返りながら分析している。
ショートの現役時代には存在しなかったテクノロジーだが、こういった最新技術と豊富なデータをうまく使いこなすことをメジャーリーグのコーチは求められる。
メジャーの監督、コーチに多い日本球界経験者
ダイヤモンドバックスのトーリ・ロブロ監督は、2000年にヤクルトスワローズでプレーした経験を持つ。
前述のように、ショートの前任者だったダネル・コールズ前打撃コーチも中日と阪神でプレー。(このとき、コールズの代理人を務めていたのは、ブーマー・ウェールズ。過去40年間で、パ・リーグで首位打者を取った外国人選手はブーマーとショート(登録名リック)の2人だけ)
ダイヤモンドバックスと同地区のサンフランシスコ・ジャイアンツで監督を務めるゲーブ・キャプラーも読売ジャイアンツでプレー経験があり、コロラド・ロッキーズでブルペンコーチを務めるダリル・スコットも横浜ベイスターズでプレーしていた。
メジャーリーグの監督、コーチには意外にも日本球界経験者が多いが、その理由もショートに尋ねてみた。