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子供ファン獲得に本腰を入れたNFLが、子供向けチャンネルのニコロデオンと斬新なコラボ

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
ニコロデオンで放映されたNFLのプレイオフ試合(テレビ画面より)

 アメリカで最も人気のあるプロフェッショナル・スポーツリーグのNFLが、次世代のファン獲得に向けて斬新な一歩を踏み出した。

 NFLの2020年シーズンは、21年1月9日(日本時間10日)からプレイオフに突入したが、10日(日本時間11日)に行われたニューオリンズ・セインツ対シカゴ・ベアーズ戦は、通常のCBSでの放送だけでなく、系列局であるニコロデオンでも同時に中継された。

 NFLのプレイオフ試合は4大ネットワーク(NBC、ABC、CBS、FOX)に割り当てられ、それぞれが担当する試合を地上波で中継するが、ABCだけは地上波ではなく、系列のスポーツ専門ケーブルテレビ局のESPNで放送した。

 CBSの親会社である「バイアコムCBS」は地上波のCBS以外に、音楽専門局のMTVや、子供向け局のニコロデオンを傘下に抱える。

 今回は通常のNFL放送をCBSで行う傍ら、子供向けにアレンジした試合放送をニコロデオンで流して、子供ファンの獲得に取り込んだ。

 

 ニコロデオンの中継では通常の実況・解説の他に、同局の人気番組に出演しているタレントがゲスト解説として参加。子供の視聴者を意識した解説をしただけでなく、試合を映している画面上に番組の人気キャラクターが現れるなど遊び心満載の中継を試みた。

 タッチダウンが飛び出すと、緑色のスライムが吹き出したり、フィールドゴールの際にはゴールポストの間にスポンジ・ボブが出現するなどの特殊効果を駆使。この斬新な中継はターゲットの子供層だけではなく、大人にも好評で、SNS上でトレンドにもなった。

 どれだけ斬新な中継だったのかは、言葉で説明するよりも見てもらう方が早いので、まずは以下のハイライト映像を観てもらいたい。

 アメフトは「ルールが難しそう」と食わず嫌いで敬遠する日本人のスポーツファンも少なくはないが、ニコロデオンの中継では幼児でも基本的なルールが理解できるような素晴らしい仕掛けが随所にみられる。

 頭の硬いファンは、こんな子供騙しな中継はNFLではないと怒ってしまいそうだが、この遊び心が満載の中継はニコロデオンの過去4年間の番組の中で最多となる視聴者数を記録したのだから、NFLとスポンジ・ボブのコラボレーションは大成功で、多数の新しいファンを生み出した。

 そもそも頭の硬いファンは、ニコロデオンではなく、通常のCBSによる中継を観ればいいだけの話。系列局で同時中継をしたからこそ、いつも観ている固定ファンを満足させた上で、新規ファン取り組みにもチャレンジできた。

 2800万人のファンがCBSの中継を観て、200万人がニコロデオンで試合を楽しんだ。

 今年のNFLプレイオフ第一ラウンド(ワイルドカード)は、昨年と比べてテレビでの視聴者が20%以上減少している。

 テレビ視聴者が減った原因はいくつかあるが、その中の1つが若者のテレビ離れ。

 NFLはプレイオフをテレビで中継するだけでなく、アマゾンプライム、ツイッチ、ピーコックなど様々なメディアでもサイマル放送するなど、新たなファンを得るために革新的な挑戦を続けている。アマゾンプライムではコア層に向けて、スカウト用の映像を配信。ツイッチでは中継中にファンから寄せられた質問に解説者が答えていくインタラクティブな放送を行った。

 次世代のファンを獲得するために、選手や監督も協力的な姿勢をみせている。

 タッチダウンが出たときのスライムはCGだったが、試合に勝利したセインツのショーン・ペイトン監督は、試合後の会見で本物のスライムを頭から浴び、体を張った。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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