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エンゼルスの新GM、ペリー・ミナシアンとは何者で、大谷をどう評価しているのか?

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
新GMが決まったエンゼルスに所属する大谷翔平(撮影:三尾圭)

 大谷翔平の所属するロサンゼルス・エンゼルスは、アトランタ・ブレーブスでジェネラル・マネージャー(GM)補佐を務めていた40歳のペリー・ミナシアンと4年契約を結び、新GMに就任したと11月12日(日本時間13日)に発表した。

 余程のメジャー通でなければ、ミナシアンの名前は聞いたこともないと思うが、大谷の命運を握るミナシアンはどんな人物なのだろうか?

 ミナシアンは大谷に対して「健康なときは、息を呑むような選手だ」と評価。

 「試合を決める力を持っており、彼の力を必要としている。信じられないような才能の持ち主で、エンゼルスの大きな戦力だ」と語り、「彼が持つ才能を垣間見ただけで、まだその一部しか現していない。多くの異なる方法で勝利に貢献してくれるだろう」と投打の二刀流を続けさせる意向を示した。

 ミナシアンにチーム再建を託すエンゼルスのオーナー、アルトゥロ・モレノは、「彼のスカウトと選手育成としての実績、そしてチーム作りに関する独特な知識がGMとしてチームを任せる決め手となった」と面談を行った数多くの候補者の中からミナシアンを選んだ理由を説明する。

 2017年にトロント・ブルージェイズからブレーブスに引き抜かれたミナシアンは、選手査定責任者を1年間務めた後に野球運営担当上級副社長兼GM補佐へ昇進。アレックス・アンソポロスGMの右腕的存在としてブレーブスの再建に着手して、2017年は72勝90敗だったチームを2018年から3年連続地区優勝とすぐに結果を出した。

 特筆すべきはロナルド・アクーニャとマックス・フリード、投打の中心を担う若手選手の育成だ。

 

 ミナシアンのブレーブス1年目に当たる2018年にメジャー・デビューを果たしたアクーニャは、打率.293、26本塁打の活躍で新人王を獲得。2年目の昨季は41本塁打を打ちながら、37盗塁で盗塁王のタイトルを獲得。

 2017年にメジャー・デビューのフリードは、2019年に17勝6敗とブレイクすると、今季は7勝無敗、防御率2.25とエースの座を不動のものにした。

 また、昨オフにはフリーエージェント(FA)だったマーセル・オズナを年俸1800万ドル(約18億9000万円)で獲得。オズナは本塁打と打点の二冠王に輝き、ブレーブスの地区3連覇に大きく貢献した。

 ブルージェイズには2009年から17年までの9シーズン在籍。2年間のスカウトとしての実績を評価され、スカウト部長に昇進。そのときのGMはアンソポロスだった。

 シンシナティ・レッズでMLB史上最年少でGMに就任して、最優秀エグゼクティブに選ばれたことのある野球解説者のジム・ボウデンは、ミナシアンは無名の存在だったノア・シンダガード(ニューヨーク・メッツ)の才能を初めに見出した確かな目の持ち主と評価。

 ボウデン曰く、ミナシアンはデータ解析と昔ながらのスカウト評価システムのバランスに長けた人物。コミュニケーション能力も高く、選手、コーチ、フロント陣、スカウトと良好な関係を築ける。天性のリーダーで、選手の能力を見抜く力も持っている。

 父親がテキサス・レンジャースのクラブハウスのマネージャー補佐を務めていた関係で、子供の頃からメジャーリーグに親しみ、8歳から16歳までレンジャースのバットボーイをしていた。17歳になると父親と同じくレンジャースのクラブハウスで働き始め、23歳でレンジャースのスカウトに転身。レンジャースではバック・ショーウォルター監督の補佐役も務めていた。

 ブルージェイズとブレーブスの再建に成功してプレイオフに導いたミナシアンならば、6年もプレイオフから遠ざかっているエンゼルスもプレイオフに出場させ、大谷とトラウトをワールドシリーズの大舞台に立たせられるかもしれない。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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