【ランジェリーフットボール】記念すべきLFL10周年開幕戦で日本人選手がデビューを飾る

日本人選手として初めてLFLの公式戦でプレーした濱口芙由紀(右)(三尾圭撮影)

 女性選手がランジェリー風のユニフォームでアメリカンフットボールをプレーするレジェンズ・フットボールリーグ(LFL)10年目にして、リーグ初となる日本人選手が公式戦でプレーした。

関連記事:日本人初のランジェリー・フットボール選手が誕生!

 厳しいトライアウトを勝ち抜いて、ロサンゼルス・テンプテーションと契約した濱口芙由紀は、リーグ創設10周年を祝う4月5日の開幕戦でLFLデビューを果たした。

 

 4月5日に本拠地のシチズンビジネスバンク・アリーナーへ強豪のシアトル・ミストを迎えた今季開幕戦。

 開幕前のリーグ公式パワーランキングでは、リーグ最強攻撃陣を誇るミストは堂々の1位。対するテンプテーションは8チーム中の4位に挙げられたが、「LFL初の日本人アスリート、男性顔負けのワイドレシーバー、フユキ・ハマグチには要注意」と濱口は注目選手に指名された。

LFL初の日本人選手、濱口はリーグ公式パワーランキングで4位のテンプテーションの注目選手として名前を挙げられた(LFL公式パワーランキングより)
LFL初の日本人選手、濱口はリーグ公式パワーランキングで4位のテンプテーションの注目選手として名前を挙げられた(LFL公式パワーランキングより)

 開幕戦のゲーム・プレビュー記事でも「LFL初の日本人アスリートで、新人王の有力候補」と非常に高い評価と期待を受けている。

濱口はリーグ公式サイトで今季の新人王有力候補にも挙げられた(LFL公式サイトより)
濱口はリーグ公式サイトで今季の新人王有力候補にも挙げられた(LFL公式サイトより)
試合前の練習でパスを捕球するテンプテーションの濱口(三尾圭撮影)
試合前の練習でパスを捕球するテンプテーションの濱口(三尾圭撮影)

 開幕戦から先発出場が期待された濱口だが、必要以上に伸し掛かるプレッシャーを少しでも軽減するために、ベンチ出場となり、1Qはベンチから試合を見守った。

 歴史が動いたのは2Q中盤。ついに濱口がフィールドに投入されて、日本人選手が初めてLFL公式戦のフィールドに立った。

 「2Qにコーチから名前を呼ばれて、初めてフィールドに出て行ったときには緊張から頭が真っ白になりましたが、すぐに気持ちを入れ替えてハドルに参加して、試合に集中しました。屋外ではなく室内の狭いフィールド、サイドラインではなく壁、エンドゾーンは半円形、ショルダーパッドは小さくギアの少ない装備。これまでプレーしてきた11人制のフットボールとは環境も大きく違い、会場内の大声援でコーチやチームメートからの指示を聞くのにも苦労しましたが、フィールドに立てば多少のルールの違いはあっても、同じフットボールなので、自分に与えられた仕事を遂行することだけを考えました。LFL10年目にして、この10周年を記念する開幕戦で、初めての日本人選手の栄誉を得ることができて、とても光栄です」

日本人選手として初めてLFL公式戦に出場したテンプテーションの濱口(三尾圭撮影)
日本人選手として初めてLFL公式戦に出場したテンプテーションの濱口(三尾圭撮影)

 テンプテーションは試合を通して選手の息が合わずに、QBからのパスがなかなか通らない。濱口は何度もフリーになったが、ボールが飛んで来なく、この試合はパスキャッチ0で終わり、試合にも敗れた。

 「レシーバーとして、パスが来たら落とすことは許されない。私にパスが投げられたら何がなんでもキャッチしてタッチダウンを決めると心に誓ったのですが、ディフェンスから激しいパスラッシュを受けたQBから私へのロングパスが、ことごとく相手ディフェンスに潰されてしまいました。これまで、この瞬間のためにひたむきにトレーニングや練習に毎日励み、チームの勝利に貢献するためにフィールドへ立ったのに、自分の実力を全て出し切ることなく、チームを勝利に導けなかったので、とても悔しいデビュー戦となってしまった。しかし、今回の試合で学んだことは次の試合で生かせる、生かしてやると確信しています」

自慢の快足を飛ばして何度もディフェンダーからフリーになった濱口だが、パスが飛んで来なかったために捕球ゼロで終わった(三尾圭撮影)
自慢の快足を飛ばして何度もディフェンダーからフリーになった濱口だが、パスが飛んで来なかったために捕球ゼロで終わった(三尾圭撮影)

 待望の日本人初パスキャッチ、初タッチダウンは次試合以降への楽しみとなったが、この試合で濱口は10年の歴史を誇るLFLに確かな足跡を残した。

 アメリカンフットボールはアメリカで最も人気の高いスポーツだが、NFL以外のリーグが成功を収めるのはとても難しい。

 1980年代にはNFLに対抗するリーグとしてUSFLが設立されてドナルド・トランプ現アメリカ大統領もチームオーナーを務めたが、僅か3シーズンで解散。

 時代が21世紀に突入した2001年には世界最大のプロレス団体のWWF(現WWE)がXFLを立ち上げたが、こちらはたったの1シーズンで崩壊。2009年にはNFLがフランチャイズを置かない街を本拠地とする小規模リーグのUFLが作られたが4シーズンで終えた。

 そして、今年は新リーグのAAFが設立されたが、LFLが10度目の開幕を迎えた週に、シーズン終了を待たずに活動休止が宣告された。

 それほどまでにアメリカ国内でフットボール・リーグを続けていくのは困難な中で、男女の違いこそあれどLFLが10年目のシーズンに突入したことは驚くべきことだ。

 ランジェリーフットボールとして知られるLFLは、お色気を売り物にしたただのイロモノ・リーグではない。

 NFLなど通常のアメリカンフットボールは頑丈な防具で全身を守られているが、LFLの選手たちは素肌を剥き出しにした腹部に激しいタックルを受ける。

肉体を鍛え上げた女性アスリートが本気で肉弾戦を繰り広げるLFLはただのイロモノ・リーグではない(三尾圭撮影)
肉体を鍛え上げた女性アスリートが本気で肉弾戦を繰り広げるLFLはただのイロモノ・リーグではない(三尾圭撮影)

 その一方で、LFLが10年も運営を続けてこれたのはスポーツとしてだけでなく、エンターテイメントとして試合を楽しめる要素も多い点も

事実。下着風のユニフォームでプレーするので、平成初期の『女だらけの水泳大会』のように競技中に「ポロリ」シーンが出ることもある。

 日本人初のランジェリーフットボーラー、濱口は「双眼鏡持参で会場に来てポロリを狙うのもよし(笑)、スポーツとして観戦するのもよし!私は絶対にポロリはしたくないですけど……(笑)どんな形でもフットボール観戦を楽しんでいただければ嬉しいです。会場まで来ることができない日本在住の方は、ぜひネット中継で試合を観戦してみてください。これまでアメフトはルールが難しいと敬遠されていた方でも、ルールが分からなくても楽しめるはずです」とLFL観戦の楽しみ方を教えてくれた。

  

テンプテーション対ミストの開幕戦でもこんなハプニングシーンもあった。これもLFLならではの観戦の楽しみ方の1つ(三尾圭撮影)
テンプテーション対ミストの開幕戦でもこんなハプニングシーンもあった。これもLFLならではの観戦の楽しみ方の1つ(三尾圭撮影)