スーパーボウルに出場するのは?カンファレンス決勝はレジェンドQB対新進気鋭QBの戦い AFC編

AFC決勝戦を争うチーフスのマホームズとペイトリオッツのブレイディ(三尾圭撮影)

Text&Photos by KIYOSHI MIO

 NFLのスーパーボウル出場チームを決める戦い、カンファレンス決勝戦。

 NFC決勝戦の見どころに続く第2弾は、カンザスシティ・チーフス対ニューイングランド・ペイトリオッツの戦いとなったAFC編。

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AFC決勝戦:カンザスシティ・チーフス(12勝4敗、AFC第1シード)対ニューイングランド・ペイトリオッツ(11勝5敗、AFC第2シード)

 今季のサプライズ・チーム、チーフス。

 3シーズン連続で地区優勝を成し遂げたチーフスをサプライズ・チームと呼ぶのは違和感もあるが、オフにエースQBのアレックス・スミスを放出して、NFLで1試合しか出場経験のなかった2年目のパトリック・マホームズを先発QBに抜擢して、チームを託した。NFLではほぼ未経験に近かったマホームズは、開幕戦で4タッチダウン(TD)、2試合目では6TDパスを成功させ、チーフス首脳陣の判断が正しかったことを証明。

 最終的には5097ヤードを投げて、50TDパスを記録。ペイトン・マニングに次いで、NFL史上2人目のシーズン5000ヤード&50TDパスを記録したQBとなり、今季のMVP最有力候補に挙げられている。

 同姓同名の父親、パトリック・マホームズは、メジャーリーグで11年間プレーした投手。1997年と98年には横浜ベイスターズでもプレー

 息子のパトリック・マホームズ2世も高校までは有望な投手として活躍して、ノーヒットノーランも記録。2014年のメジャーリーグ・ドラフトでは上位指名候補選手と高い評価を受けていたが、大学に進学してアメフトを続けることを明言していたために、マホームズ獲得を望んだメジャー球団はドラフトでの指名を諦めたが、デトロイト・タイガースがダメ元で37巡目で指名している。

パトリック・マホームズの父親は横浜ベイスターズでのプレー経験もある元メジャーリーガー(三尾圭撮影)
パトリック・マホームズの父親は横浜ベイスターズでのプレー経験もある元メジャーリーガー(三尾圭撮影)

 野球で鍛えられた鉄砲肩を武器に、長いパスでも簡単に決める。その標的になるのが陸上の短距離選手顔負けのスピードを誇るWRのタイリーク・ヒルだ。

 チーフスにはトラビス・ケルシーというロブ・グロンコウスキーにも負けない優秀なTEもいるので、ペイトリオッツ守備陣はパスカバレージに頭を悩ませそうだ。スピードのヒル、サイズとパワーのケルシーとタイプの違うレシーバーを守るためには、パスラッシュの人数を減らしてでも、パスカバレージを強化していく。

 ペイトリオッツの守備陣は被パス成功率がリーグ2位の61.2%とパスに対しては強く、18インターセプションもリーグ3番目に多い。早い段階からマホームズにプレッシャーを掛けられれば良いが、マホームズを調子に乗せてしまうと危ない。

 リーグ最高の平均35.3得点を奪ってきたチーフス攻撃陣は、平均パス獲得ヤード数がリーグ3位の309.7ヤードだが、ラッシングヤードはリーグ16位の115.9ヤードと平凡。エースRBのカリーム・ハントをシーズン途中に失い頼れるRBが不在なだけに、パス攻撃に頼らざるを得ない。先週のコルツ戦で129ヤードを走ったダミエン・ウィリアムズが今週も同じような活躍ができれば、マホームズは大きな援軍を得る。

チーフスのトラビス・ケルシー(87番)は3年連続パス捕球1000ヤード超えを記録しているリーグ屈指のTE(三尾圭撮影)
チーフスのトラビス・ケルシー(87番)は3年連続パス捕球1000ヤード超えを記録しているリーグ屈指のTE(三尾圭撮影)

 チーフスはリーグで下から9番目(プレーオフに出場した12チームの中では最悪)の平均26.3失点を喫したザル・ディフェンスなだけに、ヘビー級ボクシングの世界戦のような真っ向勝負の殴り合い的な展開に持ち込みたい。

 AFC、NFCの各カンファレンス決勝まで勝ち残った4チームは、平均得点が上位4位に入る攻撃力を持った攻撃型チームだが、ペイトリオッツだけが平均失点でもトップ10に入る(20.3失点でリーグ7位)攻撃力と守備力のバランスが整ったチームだ。

 点の取り合いになれば若く勢いのあるマホームズ率いるチーフスが有利だが、ディフェンスが踏ん張れば勝負師トム・ブレイディが統率するペイトリオッツが経験の差を見せつけるだろう。

 ただし、レギュラーシーズン6週目の直接対決では、ペイトリオッツが43-40で点取合戦を制しただけに、殴り合いになったとしてもブレイディを甘くみるのは危険だ。

41歳のトム・ブレイディは若い選手に負けない熱い闘争心でペイトリオッツを牽引する(三尾圭撮影)
41歳のトム・ブレイディは若い選手に負けない熱い闘争心でペイトリオッツを牽引する(三尾圭撮影)

 今季のペイトリオッツは例年のような圧倒的な強さを示せずに、王朝崩壊も囁かれた。だが、プレーオフに入ると、例年と変わらない盤石の戦いぶりを見せ、先週はロサンゼルス・チャージャーズを粉砕。ピークの合わせ方からも王者の戦いぶりを感じさせた。

 攻撃ではブレイディにばかり注目が集まるが、ソニー・ミシェルとジェームズ・ホワイトのRBコンビは地味ながらボディブローのようにジワジワと効く攻撃を仕掛けてくる。ミシェルは先週のチャージャーズ戦では3TDの活躍、ホワイトもラッシングヤードは0ながらも、チーム最多の15回もパスを捕球して97ヤードを稼いで勝利に貢献した。

新人らしかぬ落ち着いた走りでブレイディを支えるRBソニー・ミシェル(三尾圭撮影)
新人らしかぬ落ち着いた走りでブレイディを支えるRBソニー・ミシェル(三尾圭撮影)

 試合が行われるチーフスの本拠地、アローヘッド・スタジアムは最もうるさいスタジアムとしてギネスブックにも公認されており、142.2デシベルを記録。この世界記録は2014年のレギュラーシーズンでのペイトリオッツ戦で記録されたが、今日のプレーオフの戦いでは新記録が更新されそうだ。

 これだけ大きなホームフィールド・アドバンテージに恵まれながらも、チーフスはホームでのプレーオフに弱く、先週のインディアナポリス・コルツ戦で勝利するまで6連敗中だった。最後にホームでプレーオフで勝ったのは、ジョー・モンタナが先発QBだった1994年1月のピッツバーグ・スティーラーズ戦まで遡るが、この試合もオーバータイムでなんとか勝った辛勝だった。

 先週の勝利でホームでのプレーオフ・ジンクスは取り払ったが、それでも地元には不安視しているチーフス・ファンは少なくない。

 経験の差は明らかで、ペイトリオッツは8年連続のAFC決勝戦(4勝3敗)なのに対して、チーフスにとっては1994年以来のカンファレンス・チャンピオンシップゲームとなる。

 3年連続でのスーパーボウル出場を狙うペイトリオッツに対して、チーフスがスーパーボウルに勝ち進めば1970年以来。

 マホームズが力技で世代交代を奪い取るのか?ブレイディが上昇気流に乗る若手を蹴落とすのか?

 AFC決勝戦、チーフス対ペイトリオッツはNHKBS1で午前8時半から生中継される。