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ドジャース、世界一への切り札はダルビッシュ

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
7月31日のトレード期限までにドジャース移籍が噂されるダルビッシュ(三尾圭撮影)

  ここまで68勝31敗、メジャー最高勝率の.687を記録して、1988年以来となるワールド・チャンピオンを目指すロサンゼルス・ドジャースだが、7月23日の試合でエースのクレイトン・カーショーが腰の張りを訴えて2回で緊急降板。カーショーは今季、15勝2敗、防御率2.04、WHIP0.884とメジャー最高年俸の3560万ドル(約39億5千万円)に相応しい活躍をしており、自身4度目となるサイ・ヤング賞の最有力候補だ。

 ナショナル・リーグ西地区で2位のコロラド・ロッキーズに10.5ゲーム差を付けて独走態勢に入っているドジャースが、プレーオフを勝ち抜くにはカーショーに次ぐ力のある先発投手を必要としている。そこで狙うべき投手が、テキサス・レンジャースのダルビッシュ有だ。

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 トレード期限の7月31日を前に今季のプレーオフ進出を諦めたチームは、今季終了後にFAとなる主力選手を放出して、代わりに若手有望株を得て再建を進めることが多い。48勝50敗のレンジャースは、所属するアメリカン・リーグ西地区で首位のアストロズに17.0ゲーム差も離されており、地区優勝は難しい状況。ただし、ワイルドカード争いでは2.5ゲーム差と逆転可能な射程圏内に着けており、レンジャースの首脳陣はダルビッシュ放出を否定している。

 今季の年俸が1100万ドル(約12億2千万円)のダルビッシュは、今季が契約最終年であり、FAになる今オフには激しい争奪戦が繰り広げられるはずだ。30歳のダルビッシュは、メジャーの投手としては5人目となる年俸3000万ドル(約33億3千万円)超えの契約を結びそうで、6年総額2億ドル(222億円)の大型オファーを出すチームがいても不思議ではない。

 レンジャースはダルビッシュとの再契約を強く望んでいるが、再契約の可能性が高くないと判断するならば、7月31日までにトレードに踏み切って複数の有望株を手にする方が得策だ。

今オフには総額200億円超えの超大型契約を手にしそうなダルビッシュ(三尾圭撮影)
今オフには総額200億円超えの超大型契約を手にしそうなダルビッシュ(三尾圭撮影)

 ドジャースはメジャー有数のファーム組織を持っており、レンジャースを納得させるだけの複数の有望株を提供できる。

 今季残りだけの「助っ人」獲得だけのために金の卵を差し出すのは割には合わないが、ダルビッシュを獲得できれば、ワールドシリーズ優勝に大きく近づく。

 今季の選手総年俸がメジャー最多の2億4080万ドル(約267億3千万円)のドジャースだが、地元テレビ局から年間3億3200万ドル(約368億5千万円)の放映権料を手にするだけに、今オフにダルビッシュがFAになった際にも大型契約を提示して再契約するだけの余裕がある。

 日本人には暮らしやすいロサンゼルスという地の利もあり、本拠地のドジャー・スタジアムも投手有利な球場なだけに、「お試し期間」としてドジャースの一員としてプレーしてもらえれば、再契約に向けてダルビッシュのハートを掴める可能性は高い。

 今季の優勝、そして来季以降の補強を考えても、ドジャースがダルビッシュを獲得するメリットは非常に大きいはずだ。

ダルビッシュとカーショーの2枚看板を揃えればドジャースの世界一も夢ではない
ダルビッシュとカーショーの2枚看板を揃えればドジャースの世界一も夢ではない

 

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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