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拳四朗がピンチ? 統一戦の相手が急遽変更その影響は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:松尾/アフロスポーツ)

4月8日、WBA・WBC・WBO世界ライトフライ級王座統一戦に臨むWBAスーパー・WBC世界同級王者の寺地拳四朗(31=BMB)の対戦相手が変更となり話題になっている。

対戦相手の変更

当初は、WBO世界同級王者であるジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)との3団体統一戦が予定されていた。しかし、ゴンサレスがマイコプラズマ肺炎にかかったため来日できず、急遽キャンセルとなった。

寺地は昨年11月の試合で、アマチュア時代からのライバルである元WBA同級王者の京口紘人と戦った。試合では寺地が終始ペースを握りダウンを奪い、7RTKOで勝利した。

その試合でWBAのベルトを手に入れ、今回のゴンサレスの試合でWBOのベルトを奪取する予定だった。この階級で4団体統一を目指す寺地にとって、まさに足掛かりとなる一戦だった。

対戦相手のオラスクアガ

ゴンサレスの代役として名前があがったのは、WBA世界フライ級2位のアンソニー・オラスクアガ(24=アメリカ)だ。

オラスクアガは寺地より一つ上の階級の実力者で、戦績はアマチュア24戦23勝1敗、プロ5戦5勝(3KO)。プロでの試合数は少ないが、ボクシング関係者からの評価は高い。

スタイルは右のボクサーファイターで、ガードが高く中間距離での攻防に優れている。アッパーやフックを得意とし、試合中サウスポーにスイッチするなど優れたテクニックを持っている。

当初、4月15日に韓国で試合が決まっていたが、同じ時期に試合を控えていた岩田翔吉とのスパーリングのため来日していたところ、急遽代役として声がかかったようだ。

「今はワクワクしている。世界王者になることが目標でチャンスが来た。自分にとっても最高の試合になるだろうし、素晴らしい機会になると思う」

オラスクアガにとってはまさに棚から牡丹餅だろう。勝利すれば一気に世界の頂点に立てる。失うものがない試合なだけにモチベーションも高いだろう。

寺地とはアメリカ合宿時にスパーリングした経験もあるようで「パワーも技術もある良い選手」と評価している。

相手変更による影響

寺地にとっては、踏ん張りどころとなる試合だ。統一戦が無くなったことによるモチベーション低下や、急な対戦相手の変更による再調整など懸念は多い。

戦略も一から立て直す必要がある。サウスポー対策で調整してきたが、右構えの相手になったことで、細かい動きや体の慣れを切り替える必要がある。

減量が苦しい寺地にとって、この階級で戦うモチベーションは4団体統一だった。

不安は多いが、本人は前向きに捉えているようだ。対戦相手の変更が発表された後、寺地はSNSで下記のように投稿した。

寺地の隣にいるのは、WBC世界ライト級4位の吉野修一郎だ。寺地の試合の翌日、4月8日(日本時間9日)にアメリカで試合を控えている。同世代でビッグマッチに挑む者同士、良い刺激になっているようだ。

まずはこの一戦を確実にとり、目標である4団体統一に向け再び突き進んでほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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