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井岡一翔の突然の王座返上でスーパーフライ級が混戦へ ライバル中谷潤人の動向は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33=志成)が、保持していたWBOのベルトを返上した。

井岡一翔の王座返上

井岡は昨年の年末にWBA世界同級王者のジョシュア・フランコ(28=米国)と対戦した。プレッシャーを掛けてくるフランコに対し、井岡はジャブをつき的確なパンチを当て対抗した。

井岡のクリーンヒット、フランコの攻勢でお互いが得意なボクシングを貫いた。ポイントを振り分けるのが難しいラウンドが続き採点はドロー。

勝者には6ヶ月以内に前WBO世界フライ級王者で、WBOスーパーフライ級ランキング1位の中谷潤人(25=M・T)との指名試合を義務づけられていた。

井岡の突然のベルト返上には驚きもあったが、中谷との試合より魅力的な選択技があったのだろう。今後はWBA王者のフランコとの再戦を目指す話もあり、近日中に会見が予定されているようだ。

中谷潤人について

今回井岡が王座を返上したことで、WBOは1位の中谷潤人と同級2位のアンドリュー・モロニー(32=オーストラリア)との王座決定戦を指示した。

中谷にとっては大きなチャンスとなるだろう。中谷はネクストモンスターと呼ばれ、今若手でもっとも期待されるボクサーだ。

これまでの戦績は24戦全勝(18KO)で、長身のサウスポースタイルで、攻防のバランスが取れている。

長身ではあるが、近い距離での戦いも得意としており、どの距離でも戦えるオールマイティーなボクサーだ。

年末の井岡とフランコとの対戦も視察に訪れており試合前には「どのチャンピオンでもやりたいが井岡選手が一番やりたい」と対戦を熱望していた。

今回の返上で井岡VS中谷の対戦はなくなった。キャリア終盤に差し掛かっている井岡としては、自分にとって魅力がある相手とやる事情もあるだろう。対戦していれば、新旧の王者同士の対決で大きな話題を呼んでいた。

中谷がベルトを獲れば再び戦うチャンスはある。王者同士となった両者の対決にも期待したい。

スーパーフライ級の動向は

スーパーフライ級は以下の王者が君臨している。

WBA ジョシュア・フランコ(アメリカ)

WBC ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)

IBF フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)

WBO 空位

この中でもっとも評価が高いのが、WBC王者のエストラーダだ。全階級の中での最強ランキングでもあるパウンド・フォー・パウンドランキングにも名を連ねる。昨年の12月には4階級王者のローマン・ゴンザレスとのライバル対決も制している。

井岡フランコ戦の勝者との対戦を希望しており、会場にも視察に来ていたがドローになったことで白紙となった。井岡も最強の呼び声が高いエストラーダとの対戦を望んでいる。

近年のボクシング界は、団体の統一が主流だが、統一戦のハードルは高い。各団体の王者には期限内に指名戦をこなさなければならない事情やプロモーターや放送局の違い、各王者達の意向などがあり実現に至らないケースも多々ある。

日本人では、昨年の12月に井上尚弥がバンタム級で初となる4団体統一に成功した。世界でも井上を含めて、まだ9名しか達成していない快挙となる。

タレント揃いのスーパーフライ級も今後は団体統一が加速していきそうだ。日本人選手も多く活躍するこの階級から目が離せなくなりそうだ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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