メイウェザーは何が凄かったのか 6分間で見せた異次元の強さとは
25日に行われた「超(スーパー)RIZIN」で、ボクシング元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45=アメリカ)と、人気格闘家の朝倉未来(30=トライフォース赤坂)がエキシビションマッチで対戦した。
ルールは3分3ラウンド、10オンスのグローブで行われた。
試合の展開
試合が始まると、メイウェザーはリーチの長さを駆使してジャブをつく。時折、鋭い右を放ちクリーンヒットに結びつけていく。
朝倉は距離を詰めようとするが、メイウェザーにジャブでけん制され攻めあぐねていた。
しかし、メイウェザーも戦いにくさを感じていたようで、飛び込みのパンチ以外はなかなかヒットできない。
そのため戦法を変え、ボディにパンチを集め朝倉の注意を下にひきつける。
朝倉もメイウェザーの打ち終わりにパンチを狙うが、反応が速くなかなかパンチを当てられない。
2ラウンド目になると、メイウェザーはパンチを見切ったのか、さらにプレッシャーを強めてくる。朝倉もそれを感じ、ジリジリと後退していた。
メイウェザーはストレートがヒットするようになると、ノーガードになって朝倉を挑発する。
途中、朝倉もパンチをヒットさせ、好機と見て前に出るが、メイウェザーは体勢を変えてパンチをいなしてしまう。
2ラウンド終盤になると、メイウェザーのボディがヒットし、体勢を変えて右のフックを当てる。
最後は、メイウェザーが踏み込みと同時に放ったストレートで朝倉がダウンし、レフリーが試合をストップ。メイウェザーが2RTKOで勝利した。
メイウェザーの実力
2015年に現役を引退し、今年45歳となったメイウェザー。
ウエイトが重いこともあり、現役時代に比べてスピードは落ちているが、ゲームメイクや、ディフェンス、攻撃力などの技術はやはりピカイチだ。
時折パンチをもらうなど反応速度の低下は見受けられたが、ウエイトが増した分パンチの威力は上がっていた。
最後のKOパンチも素晴らしいものだったが、それ以上に、メイウェザーの絶妙な距離感には舌を巻いた。
身長は、メイウェザーが173cm(リーチ183cm)、朝倉が177cm(リーチ174cm)と、朝倉が4cm高いが、メイウェザーの方が長い距離で戦っていた。
朝倉もパンチで攻めに行こうとするが、入ろうとすると機敏なボディワークで、距離を変化させパンチを当てさせなかった。朝倉もパンチが届かず、焦っている様だった。
また、1ラウンド目と2ラウンド目で戦い方をガラッと変えてきたことにも驚いた。
1ラウンド目は様子見で、パンチが当たらない距離で戦っていたが、2ラウンド目にはパンチを見切ってか距離を詰めて戦っていた。
フィニッシュシーンでは、体重をのせた右がヒットしたが、その前にフェイントのパンチをいくつか打ち込んでいた。
まずはボディにパンチを打ち、下に意識を向けさせ、同じタイミングで右フックをヒットさせ、外に意識を散らす。
最後はフェイントから、中にパンチを打ち込み試合を決めた。フィニッシュブローは非常にコンパクトだったが、威力が凝縮された、不意打ちのパンチだった。
朝倉も試合後のインタビューで「メチャメチャ頭が痛い。記憶がない。なんでアレで倒れたのか。普通に全部がすごかった。全てのレベルが異次元だった」とコメントしていた。
稼ぎ続けるメイウェザー
メイウェザーは今後もリングに上がって稼ぎ続けるだろう。
マネーの愛称で、現役時代にはアメリカの経済誌フォーブスが発表する「世界で最も稼ぐスポーツ選手」で1位になるなど、破格のファイトマネーを手にしてきた。
引退後も自身でビジネスを展開しているが、もっとも大きな収入源は今回のようなエキシビションへの出場だろう。
今後に向けて、「元世界チャンピオンや現役の選手とエキシビションはしない。この競技から引退したのには理由がある。怪我などのリスクを負いたくないし自分の好きなようにしたい」と語っている。
試合前日の記者会見にライバルのマニー・パッキャオが現れたことで、再戦の可能性が浮上したが否定していた。
流石のメイウェザーでも現役時代に比べて、スピードや反応など衰えている部分はあった。しかし、技術は現役時代から変わらすトップクラスだ。
対戦相手は選んでいくことになりそうだが、今後も世界中のリングに上がり、ファンを楽しませてくれるだろう。