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ウシクがフューリーとの対戦を熱望 史上初となるヘビー級4団体統一戦に王手

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

ヘビー級3団体統一タイトルマッチが行われ、IBF・WBO・WBAスーパー統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)と、前王者アンソニー・ジョシュア(イギリス)が戦った。

両者は2021年9月の対戦から、約1年ぶりの再戦となった。

試合の展開

試合開始のゴングが鳴ると、まずはジョシュアが先手を取る。ウシクはサイドに周りながらジャブをつき様子を見ていた。

ジョシュアは強打を放ちプレッシャーをかけるが、動き回るウシクを捉えきれない。

ウシクはボディにパンチを散らしながら、上下に打ち分けていく。3ラウンドにはウシクの左がヒットし、ジョシュアを下がらせる。

中盤に入ると、ジョシュアの長い右ストレートもヒットし、ウシクを下がらせる。

拮抗した戦いが続き、終盤に突入した。

ジョシュアは疲労している様子だったが、ウシクの動きは衰えず、ジョシュアを攻め立てる。11ラウンドで、ウシクが左をヒットさせ、そこから攻勢を強めていく。

最終ラウンドでは、ジョシュアも前に出て一発を狙っていく。ウシクは頭を動かしながら角度を変えて打ち返していく。

お互いにパンチをヒットさせ見せ場を作り、試合は判定へ。

結果は2-1の判定(116-112、115-113、115-113)で、ウシクが王座防衛に成功した。

写真:ロイター/アフロ

勝敗のポイント

ウシクのヘビー級とは思えないスピードには驚いた。無差別級のヘビー級は体重が重く、大柄な選手が多いためスピードは落ちる。

しかし、ウシクは中量級の選手と同等のスピードを持っていた。

以前は、クルーザー級を主戦場としており、そこでクルーザー級初となる4団体統一に成功した。

近年のヘビー級は、選手の大型化が進んでおり、190cmのウシクであってもヘビー級の中では並の選手だ。

試合前の計量でも、ウシクが100.5kgだったのに対して、ジョシュアは110.9kgと、約10キロの差があった。

さらに身長もジョシュアは198cmあり、両者が並ぶとウシクがひと回り小さく見えた。

試合ではその体格差を覆し勝利した。ロンドン五輪で金メダルも獲得したほどのテクニックとスピードを兼ね備えたボクサーだ。

全階級で最強を決めるPFPランキングでも、井上尚弥に次ぐ2位なっており非常に評価が高い。

今後のヘビー級

今後はヘビー級初となる4団体統一を目指していくだろう。

ヘビー級がまだ主要3団体だった時にマイク・タイソンが統一しているが、主要4団体になってからは統一されていない。

今回三つのベルトを守ったウシク。残り一つのベルトを持つのはWBC王者のタイソン・フューリー(イギリス)だ。

フューリーは206cmの大柄な選手で、スピードとテクニックを持つ無敗のファイターだ。

ウシクにとって、ジョシュア以上の強敵になるだろう。

一部メディアでは、フューリーが現役引退を示唆しているとの報道もある。

ウシクは「タイソン・フューリーはまだ引退していないと確信している。彼は私と戦いたいと思っているだろうし、私も戦いたい」と対戦を熱望した。

フューリーは、今回の試合後に自身のSNSで、以下のように投稿している。

フューリーもウシクとの対戦には興味を持っているようで、「ジプシーキング(フューリーの愛称)はここにいるぞ!!!」とアピールしている。

両者が戦えば、ボクシング史上最大のビッグマッチになる。史上初のヘビー級4団体統一王者の誕生も近いだろう。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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