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戦ったらどうなる?井上尚弥と井岡一翔のドリームマッチの行方は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真提供 FUKUDA NAOKI

14日、ボクシング3階級王者の井上尚弥(28=大橋)が、後楽園ホールで行われたWOWOWの30周年記念イベントに出演し、4階級王者の井岡一翔(32=志成)とのドリームマッチに興味を示した。

井上尚弥と井岡一翔

井上は、イベントで井岡について聞かれると「自分もキャリア後半に入るし、どこかで耳にした(井岡の)5階級制覇を目指すというコメントも期待しつつ、自分もそこに向けて2022年は発言していってもいいかな」と語った。

井上尚弥と井岡一翔は日本を代表する世界王者だ。

井上は、高校生史上初のアマ7冠を引っ提げ2012年にプロデビュー。そこから4戦目で日本王者になり、わずか6戦目で世界王者になった。

ライトフライ級から、フライ級を飛び越えスーパーフライ級、バンタム級と階級を上げ、3階級制覇を達成。現在はIBFとWBAのベルトを保持している。

軽量級とは思えないパンチ力を持ち、これまでの戦績は22戦全勝(19KO)とパーフェクトレコードだ。

全階級を通じて最も強い選手を格付けしたパウンド・フォー・パウンドランキング(PFP)で、トップ5に選出されている。

一方、井岡一翔は2009年にプロデビューしてから、6戦目で日本王者、7戦目で初の世界タイトルを獲得している。

ミニマム級からライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級と階級を上げていき、日本人初となる4階級制覇を成し遂げた。

戦績は30戦28勝(15KO)2敗。精密なボクシングスタイルで、数々の偉業を達成してきた。

日本人ボクサーの歴史を作ってきたといっても過言ではないだろう。

井岡も、井上と同様にパウンド・フォー・パウンドランキングに選出されている。

階級も近いライバルとして、井上が井岡について話したのは今回が初めてではないだろうか。

戦ってみなければわからない

井上は井岡との対戦について「デビューしてからファンの方から「楽しみにしている」という声を聞いている。盛り上がるのであればありかな」と話している。

両者はデビュー時期や階級の違いから、拳を交える機会はなかった。

バンタム級でも減量がキツイ井上と、スーパーフライ級で余裕のある井岡では、階級の差は大きい。

しかし、対戦が決まれば大きな話題となり、ボクシング界も大いに盛り上がるだろう。

評価の上では、圧倒的なパフォーマンスを発揮している井上有利の予想が多い。しかし、ボクシングは戦ってみなければ分からない。

2020年の年末に行われた世界戦では、井岡一翔が3階級王者の田中恒成(26=畑中)と戦った。

戦前の予想では、若さと勢いがある田中が有利という声が多く聞かれたが、蓋を開けてみれば8ラウンドTKOで井岡の圧勝だった。

ボクシングは単純にパワーやスピードだけではない。特に井岡のボクシングは、相手の持ち味を消すスタイルだ。

井岡と対戦した田中恒成は「距離の作り方や駆け引きが想像以上に優れていて、ボクシングという競技をとてもわかっていた」と話していた。

対戦した選手しか分からない強さを井岡は持っている。

今後の両者

大きな話題となっているが、現時点では両者が対戦する可能性は限りなく低いだろう。

井上はバンタム級の統一に向けて、WBC、WBOの王者との対戦を求めている。

統一の先には階級を上げ、来年にはスーパーバンタム級で戦っているかもしれない。

また、井岡一翔はIBF王者のヘルウィン・アンカハス(フィリピン)との対戦が内定している。

その先には、WBC&WBAのベルトを持つファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との対戦を見据えている。

そのため両者が交わることはないだろう。

しかし、井上は昨年、元世界王者の比嘉大吾(26=志成)とエキジビションマッチで戦っている。スパーリングではあるが、最後にはヘッドギアを外し本番さながらの雰囲気で戦った。

そのような試合であれば拳を交える可能性はあるだろう。

パワーVSテクニック、特徴が違う2人なだけに、どんな展開になるか想像するだけでも楽しみだ。

日本ボクシング界を盛り上げてきた井上と井岡、両者の対戦が実現する日は来るのだろうか。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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