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ライト級王者デービスが思わぬ苦戦も強気発言「誰と戦っても楽勝」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

5日(日本時間6日)、ボクシングWBA世界ライト級タイトルマッチが行われ、同級王者ガーボンタ・デービス(アメリカ)とアイザック・クルス(メキシコ)が対戦した。

当初は、デービスと同級1位ローランド・ロメロ(アメリカ)の対戦が予定されていたが、ロメロの暴行事件が発覚したことにより、対戦相手が変更になった。

試合の展開

デービスは、これまで25戦全勝24KOを誇るボクサーだ。

身長166cmと小柄ながら、それを補って余りあるパワーがあり、世界戦では9戦全勝全KOを誇る。

現在、WBAライト級 &WBAスーパーライト級の2階級でベルトを持っている。

試合が始まると、サウスポーのデービスに対して、クルスがガードを固めながら前に出る。デービスは下がりながらパンチを合わせるが、クルスが前に出てプレッシャーをかけペースを握る。

デービスはクルスの入り側にアッパーを合わせるが、ガードが固くなかなか崩せない。前半は一進一退の互角の展開で試合が進んでいった。

中盤に入ると徐々にとクルスの勢いがなくなり、中距離戦になるとデービスの強烈なフックやアッパーが際立った。

負けじと打ち返すクルスだが、疲労やダメージの影響で手数が少なくなっていた。

仕留めにかかるデービスは強烈なパンチを打ち込むが、タフなクルスの牙城はなかなか崩せない。最後は追うクルスに対して、デービスが足を使って捌いていた。

試合は判定までもつれ込み3-0(116-112、115-113、115-113)で、王者デービスがWBA世界ライト級王座防衛に成功した。

勝敗のポイント

試合はデービスの勝利で終わったが、クルスが予想以上の健闘を見せた。

特に、前半はガードを固めながら前進してパンチを打ち込み、デービスも手を焼いていた。

パンチが強く当たる距離はボクサーによって違う。

デービスの場合、中距離から近距離となるが、クルスが近距離戦で仕掛けてきたため、自分の得意な距離に持ち込めなかった。

クルスは少しでも距離が離れればデービスの得意な間合いになるため、距離をつめプレッシャーをかけ続けていた。

クルスの健闘には驚いたが、的確に強打を打ち込みポイントを積み重ねた王者の勝利となった。

デービスは試合後のインタビューで「拳を痛めて左手が痛かったが、このスポーツにありがちなこと。彼は強い相手で素晴らしかった。ノックアウトを狙っていたが、彼が反撃していたので難しかった」と話している。

左手の負傷もあり苦戦はしたが、ところどころで見せ場を作ったデービスの技術の高さとパワーはこの階級でも脅威になるだろう。

ライト級は戦国時代に突入

試合後のインタビューでは「ヘイニー、カンボソス、ガルシア、今後誰と戦いたいか」という質問に対して「誰と戦っても楽勝」と強気な発言もあった。

ライト級は今まさに戦国時代と言えるだろう。

27日に行われた4団体統一王者テオフィモ・ロペス(アメリカ)では、IBFの指名挑戦者で同級1位ジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア)にまさかの1-2で判定負けを喫した。

それにより現在は以下の王者たちが君臨している。

WBA&WBCフランチャイズ&IBFWBO ジョージ・カンボソス・ジュニア

WBAレギュラー ガーボンタ・デービス

WBC正規 デヴィン・ヘイニー

WBC暫定 ジョセフ・ディアス

他にも、元3団体統一王者のワシル・ロマチェンコや、期待のホープライアン・ガルシア、カンボソス・ジュニアに敗戦した元4団体統一王者のテオフィモ・ロペスなどタレント揃いだ。

全階級で最も選手層が厚いライト級、その頂上に輝くのは一体誰になるのか注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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