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ついに引退のパッキャオ ボクシング界のレジェンドと呼ばれるその理由とは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

ボクシング6階級王者のマニー・パッキャオ(42=フィリピン)が、現役引退を表明した。

引退の経緯

パッキャオは8月に行われたWBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチで、王者ヨルデニス・ウガス(キューバ)と戦った。

レジェンドの勝利が期待されていたが、持ち味であるアグレッシブなファイトが見せられず0-3の判定負けで王座統一に失敗。

試合後の会見では進退を保留にしていた。

本来は、WBC・IBF世界ウェルター級王者エロール・スペンス・ジュニア(アメリカ)と対戦予定だったが、スペンスが怪我で辞退。

試合2週間前に、前座に出場予定だったウガスとの対戦が決まった。

対策の立て直しやモチベーションの低下からか、試合ではいつもの精彩さが欠けていたように思えた。2年ぶりの試合となったのも影響しただろう。

42歳でありながら第一線で戦い続け、これまで72戦62勝(39KO)8敗2分の戦績を誇るパッキャオ。

しかし最近では、年齢からくる衰えも指摘されていた。

ボクシング以外では政治家としても活動し、来年のフィリピンの大統領選への出馬も表明した。

今後は本格的な政治活動へとシフトしていくようだ。

パッキャオの偉業

パッキャオはレジェンドと呼ばれている。

ボクシング界だけにとどまらず、世界的に知名度が高いボクサーだ。

1998年に初の世界タイトルをフライ級(50.8kg)で獲得し、2010年にはスーパーウェルター級(69.8kg)で世界タイトルを獲得した。

実に8階級で戦っており、約20kgの増量に成功している。

しかも、そのうちの6階級でメジャータイトルを獲得するという金字塔を打ち立てた。

階級をここまで上げて戦ってきた選手はパッキャオ以外いないだろう。

ボクシングではひとつ階級を変えるだけで、それまでのボクシングが通じなくなるものだが、パッキャオは階級をあげるごとに強さを増していった。

出世試合となったのは2003年に行われたマルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)戦。

不利の予想を覆し、11R TKOで勝利。そこからメキシカンとのライバル対決が加速した。

ファン・マヌエル・マルケスやエリック・モラレスなど、強豪とのライバル対決を制し、知名度を上げ、世界に知られるようになっていった。

2008年には一気に2つ階級を上げ、王者のオスカー・デ・ラ・ホーヤ(アメリカ)と対戦。

圧倒的な強さを見せつけ、6階級制覇王者を相手に8RTKOで勝利した。

あくなきチャレンジ精神と、期待を上回るファイトスタイルで強豪を次々と撃破していった。

また、パッキャオと対戦するとビッグマネーが稼げるとも呼ばれ、対戦を名乗り出る相手も後を絶たなかった。

5階級王者のフロイド・メイウェザーとの試合では、両選手合わせて3億ドル(約300億円)以上のファイトマネーを稼いだ。

常にボクシング界の中心にいる、まさに伝説的な選手だ。

写真:ロイター/アフロ

今後のパッキャオ

今月20日には、来年5月にフィリピンで行われる大統領選に出馬すると正式表明した。

2010年に下院議員に当選し、2016年からは上院議員を務めている。

幼少期は極度の貧困から過酷な日々を過ごし、ボクシングと出合い、拳ひとつで道を切り開いた。

今後はリングから政治の世界に活動の場を移し、フィリピンの貧困問題や腐敗、汚職問題と闘っていく。

ボクシング界で数々の偉業を成し遂げたパッキャオ。次のキャリアでどう活躍していくか注目したい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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