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井上尚弥「自分が叩きのめしたい」リゴンドー戦直後のカシメロの挑発に怒り

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

14日(日本時間15日)アメリカのカーソンで、WBO世界バンタムタイトルマッチが行われ、王者のジョンリール・カシメロ(31=フィリピン)と、WBO同級4位のギジェルモ・リゴンドー(40=キューバ)が戦った。

試合を放送したWOWOWのエキサイトマッチでは、WBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(28=大橋)がゲスト解説した。

4団体統一を目指す井上の対抗王者の試合となり、大きな注目が集まった。

試合の展開

試合が始まると前に出てプレッシャーをかけるカシメロに対し、リゴンドーはサイドに動く。

1ラウンド中盤にはカシメロの体当たりのようなパンチで、リゴンドーからダウン気味のスリップを奪いペースを握った。リゴンドーは1年半ぶりのブランクからか、序盤は動きが硬く、早期決着も予感させた。

次のラウンドでは、さらにプレッシャーを強めるカシメロに対してリゴンドーは徹底的に足を使いパンチを避ける。ガードを下げながらノーガードで入るカシメロに対して、リゴンドーはカウンターを合わせる。

ひたすら前に出てパンチを打つカシメロと、足を使うリゴンドーの展開で試合は進んでいった。お互いにクリーンヒットはなく、逃げるリゴンドーをカシメロがひたすら追っていく。

12ラウンドでは決着がつかず、勝敗は判定に持ち込まれた。

結果は2-1(116-112、117-111の2者カシメロ、115-113の1者リゴンドー)で、カシメロが勝利し、WBO王座の4度目の防衛を果たした。

勝敗のポイント

ジャッジが割れたように判定が難しい試合だった。積極的に攻めていたのはカシメロだったが、ほとんどのパンチはかわされていた。

一方、リゴンドーは手数が圧倒的に少なく、ポイントを取るには至らなかった。

試合後にカシメロは「彼は2回も金メダルを取った優れたファイター。ノックアウトしたかったが予想していた展開ではなかった」と話している。

カシメロは中盤以降も展開を変えられず、動きも単調だった。

リゴンドーは「手数が少ないが今日はそれで十分だった。私はまだまだできます」とコメント。リゴンドーが足を使うのは予想されたが、あまりにも手数が少なかった。

ディフェンスも採点基準にはなるが、それよりもアグレッシブに攻めていたのはカシメロだった。採点をつけるのが難しい試合ではあったが、順当な結果だろう。

試合後に井上尚弥を挑発

カシメロの勝利で現在バンタム級は以下の王者が君臨している。

WBAスーパー &IBF 井上尚弥

WBC ノニト・ドネア

WBC暫定 レイマート・ガバリョ

WBO ジョンリール・カシメロ

接戦を制したカシメロが次に狙うのは王座統一だ。

試合後のインタビューで「次はドネア、そして井上だ」と中指を立てて挑発した。

それを聞いた井上は「自分が叩きのめしたい。いち早くカシメロとやりたい。問答無用で倒します」と語った。

井上の次戦は、年末にドネアとの再戦が交渉されている。しかし、この日のカシメロの挑発から闘志に火がついたようだ。

カシメロとドネアは試合が内定していたが、カシメロのドーピング疑惑でキャンセルとなった経緯もある。

そのため、ドネアがカシメロと再度交渉するとは考えにくい。井上がドネアと再戦する前にカシメロと戦う可能性も浮上してきた。

次に井上がどちらと戦うか、気になるところだ。

カシメロが勝利したことで、4団体統一に向けての役者が揃った。バンタム級史上初の統一王者誕生の日も近い。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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