激カワボクサー千本瑞規「世界しか見ていない」ボクシングへの情熱とは
第3代日本女子ミニマム級王者の千本瑞規(27=ワタナベ)は激カワボクサーとして注目を浴びている。
次戦は5月23日に第6代WBC女子世界ミニフライ級王者・黒木優子(30=YuKOフィットネス)とのOPBF女子ミニマム級王座決定8回戦が決まっていたが、緊急事態宣言の発令により6月7日に延期となった。
試合に向けてトレーニングに励む千本に話を聞いた。
ボクシングとの出会い
ーーーボクシングを始めたきっかけは何ですか。
千本:兄の影響です。初めは空手をやっていたのですが、兄がボクシングに転向したのをきっかけに私も転向しました。
ーーーいつ頃ですか。
千本:中学ぐらいです。
ーーー家族など周りの反対はありませんでしたか。
千本:母は反対していました。私がやりたいと言っても、女の子ですから。顔を殴られる競技なのですぐには賛成してくれなくて…。1年ぐらい説得を続けて、やっと賛同してくれました。
ーーーボクシングの魅力はどういうところにありますか。
千本:頭を使うところだと思います。駆け引きがすごく深くて、楽しいし刺激になります。
ーーーもともと頭脳派だったのですか。
千本:始めた頃はただがむしゃらに戦っていました。続けていくうちにだんだん奥深さを知って、やはり頭がよくないと勝てないスポーツだと思います。
プロボクサーへの道のり
ーーーもともとプロ志望だったのですか。
千本:そうです。
ーーープロになるときはどうでしたか。お母さんから反対されたりは。
千本:反対はもうなかったです。好きなことをすればいいと応援してくれました。
ーーー大学卒業してからプロデビューという感じですか。
千本:いいえ、大学卒業してから就職して、1年は働きながらボクシングをしていました。プロになったのは次の年からです。
ーーー就職してもボクシングをやっていたのですね。
千本:そうです。アマチュアで。
ーーーアマを経てワタナベジムでプロデビューということですが、ジムの雰囲気はどうですか。
千本:いいです。トレーナーも選手もいい人たちばかりなので。
ーーージムで刺激を受けるボクサーはいますか。
千本:私と同期の三代大訓です。よく考えてボクシングしているというのは練習からも分かります。すごく刺激を受けますね。
ーーーアドバイスをもらうこともありますか。
千本:あります。最近はバンテージの巻き方などを話したりしました。
ーーーオフの日は何をして過ごしていますか。
千本:元気な日はショッピングに出かけます。ファッションが好きなので、買い物をして気分転換しています。疲れていたら家から出ません。
ーーーボクシングが生活の中心という感じですか。
千本:そうです。ボクシングが大好きなので、あまり好きそうに見られないのは残念ですが(笑)。
6月7日の試合に向けて
ーーー次戦についても聞いていきたいのですが、対戦相手の黒木優子選手についてどう思いますか。
千本:黒木さんは元世界王者で実績のある方なので、戦えるのはすごく光栄でうれしいことです。
ーーー待望の試合、この2年間は千本さんにとってどういう期間でしたか。
千本:コロナの影響で試合ができませんでしたが、そういう時に弱い自分とたくさん向き合えたので成長できたという実感はあります。
ーーー弱い自分というのは。
千本:メンタルです。感情のコントロールの仕方を覚えて、精神的に強くなったと思います。
ーーーメンタルトレーニングを取り入れたのですか。
千本:トレーニングというわけではないのですが、自問自答して、自分を見つめ直して、という感じです。
距離感が得意
ーーー千本選手のボクシングスタイルは。
千本:オールラウンダーですかね。相手によって戦い方を変えていくので。
ーーー得意なパンチはありますか。
千本:リードです。ジャブを突いて自分の距離をしっかり保ちながら戦うのが得意です。
ーーーそれはアマチュアで培ったものですか。
千本:そうです。距離感はアマチュアで磨き上げたので、その辺の選手よりはできると思っています。
ーーー自信があるのは距離感とジャブですか。
千本:そうです。
ーーー今、練習で一番重視するポイントはありますか。
千本:ディフェンスです。パンチはもらいたくないので、いかにもらわないようにするか考えながらトレーニングしています。世界のボクシングを見ていてもディフェンスがいかに大切かを思い知らされます。
今後の課題
ーーー先ほど練習を見学させてもらいましたが、シャドーでもディフェンスを重視しているように見受けられました。
千本:そうですね。同じ位置にいないように常に動いています。あとは小口トレーナーからのアドバイスで力強く打ち込むのを意識しています。
ーーーパンチ力も強化しているのですか。
千本:そこまで意識はしていませんが、しっかり打つことによって体力も付くので、スタミナ強化という意味でやっています。
ーーー今後の目標はありますか。
千本:とりあえず次の試合に勝ちたいですね。世界しか見ていないので、一つ一つ勝って他団体のベルトもとっていきたいです。
ーーー次戦は世界への通過点ですか。
千本:はい。
ーーー最後にファンの方々に伝えたいことなどはありますか。
千本:まだ私は2戦しかしていないので、リングで戦う姿をあまり見せることができていませんが、もっと魅力を知ってもらえたらと思います。ボクシングの引き出しの多さや距離感や技術などいろいろな面で見てほしいです。
千本瑞規(ちもと・みずき)
27歳、大阪府堺市出身、ワタナベボクシングジム所属。第3代日本女子ミニマム級王者。プロ戦績は2戦2勝(1KO)、アマチュア戦績は57戦45勝12敗。兄の影響でボクシングを始め、高校生で世界ジュニアユース日本代表に選出。大学進学後は2015年全日本選手権準優勝を果たした。