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次戦発表の井上尚弥 ボクシング史上5人しかいない4団体統一の難しさとは

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

6月19日(日本時間20日)にアメリカのラスベガスでWBA・IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(28=大橋)が、IBF1位のマイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)と対戦することが発表された。

井上はWBA王者として5度目、IBF王者としては3度目の防衛戦となる。

井上尚弥の防衛戦

井上にとって8ヶ月ぶりの試合になる。

前回の試合では抜群のカウンターで挑戦者のモロニーを7ラウンドKOで下した。

井上の持ち味は爆発的な攻撃力だ。これまで20戦全勝 (17KO) と、圧倒的な強さで王座に君臨し続けている。

攻撃力に加えて、スピード、テクニックと3拍子が揃っていて隙がない。

全階級を通じてNO1を決めるパウンドフォーパウンドランキングでも、上位に格付けされアメリカでの知名度も高まっている。

世界的な評価も高く、世界4階級制覇王者のカネロも海外メディアの取材でトップボクサーに井上の名前を挙げていた。

マイケル・ダスマリナス

井上の対戦相手マイケル・ダスマリナスはフィリピン出身のボクサーでプロ戦績は33戦30勝(20KO)2敗1分。

日本に来日し、元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏や、井上の弟・井上拓真のスパーリングパートナーを務めた実力者だ。

攻撃的なサウスポースタイルでガードを上げながら前に詰めてくるファイタータイプ。

フィリピン人選手が得意とする接近戦に強く、ガードの上からでも強いパンチを振ってくる。

特に振り回すようなフックには要注意だ。

バンタム級の王座統一について

井上が目指すのはバンタム級の王座統一。現在この階級には以下の王者が君臨している。

WBAスーパー&IBF 井上尚弥

WBAレギュラー ギレルモ・リゴンドー

WBC ノルディーヌ・ウバーリ

WBC暫定 レイマート・ガバリョ

WBO ジョンリル・カシメロ

今月29日にはWBC王者のノルディーヌ・ウバーリと5階級王者のノニト・ドネアが対戦する。

ウバーリは2019年に当時暫定王者だった井上の弟・拓真に勝利している実力者だ。井上とも対戦経験があるドネアとの対戦は注目だ。

また8月にはWBAレギュラー王者のギレルモ・リゴンドーとWBO王者のジョンリル・カシメロの対戦が決まっている。

上の階級から下げてきたリゴンドーは強敵だ。この試合でバンタム級の戦力図が大きく変わっていくだろう。

井上が4つのベルトを統一するのは、早くても来年以降になるだろう。

統一王者に向けての難しさ

ボクシング史上主要4団体のベルトを統一した選手は5人しかいない。

ライト級 テオフィモ・ロペス(アメリカ)

スーパーライト級 テレンス・クロフォード(アメリカ)

ミドル級 バーナード・ホプキンス(アメリカ)、ジャーメイン・テイラー (アメリカ)

クルーザー級 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)

ライト級より下の軽量級ではこれまで達成している選手はいない。というのも、団体統一戦の実現は非常に難しいのだ。

世界王者になると1年に1回(団体によって期限は異なる)、指名挑戦者と戦う必要があり、ベルトを複数所持していれば必然的にその数は増える。

また、選手のプロモーターの違いによるマッチメイクの難しさも理由に挙げられる。

井上の王座統一に期待したいところだが、減量がきついこの階級に長期間とどまるのは難しいだろう。

新型コロナウイルスの影響もあり、キャリアが一番充実しているこの時期に試合が思うように決まらないのは、非常に心苦しい。

アメリカのファンも井上の活躍に期待に期待を寄せている。彼を中心としたバンタム級戦線から目が離せない。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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