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井上尚弥のライバル王者カシメロがピンチ!?次戦はくせものリゴンドーと対戦

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

8月14日(日本時間15日)のWBOバンタム級タイトルマッチで、同級王者ジョンリル・ カシメロ(フィリピン)とWBA同級レギュラー王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)との対戦が発表された。

バンタム級は日本人世界王者井上尚弥(28=大橋)がIBFとWBAスーパーのベルトを持つ注目の階級だ。

カシメロと井上

カシメロと井上には因縁がある。

ともに対戦を望んでおり、昨年の4月に対戦が決まっていたが新型コロナウイルスの影響で中止。

その後もコロナの影響で実現には至っていない。

カシメロは事あるごとにメディアで井上を挑発し、井上も強気に応じている。

「こんな奴から逃げる理由がない。いつでも倒す準備は出来ている」

ファンにとっても待望の試合だったが、井上の次戦はIBF王座の指名戦となったため両者の対決は見送りとなってしまった。

一方のカシメロは、相手候補として井上の持つWBAベルトのレギュラー王座につくギレルモ・リゴンドーの名前があがっていた。

WBOのベルトを持つカシメロ
WBOのベルトを持つカシメロ写真:ロイター/アフロ

リゴンドーとは

リゴンドーはひとつ上の階級スーパーバンタム級の元統一王者で、バンタム級と合わせて世界2階級を制覇している。

五輪二連覇の実績を引き下げプロデビュー。これまで、22戦20勝(13KO)1敗1分の戦績を誇る。

敗戦は全階級で最強王者だったワシル・ロマチェンコとの1戦のみだ。

サウスポースタイルで、アマチュア仕込みのテクニックを駆使してここまで勝ち上がってきた。

過去には、当時階級で最強と言われたノニト・ドネアを完封している。

40歳でボクサーとしてのピークは過ぎているが、鉄壁のディフェンスで手堅いボクシングをする侮れない相手だ。

カシメロ同様、リゴンドーも井上との対戦を熱望している。
カシメロ同様、リゴンドーも井上との対戦を熱望している。写真:ロイター/アフロ

試合の予想

カシメロにとってリゴンドーは危険な相手だろう。最近6連続KO中と波に乗っているが、一発のパンチャーのカシメロと距離をとるのがうまいリゴンドーは相性がいいとは言えない。

アマチュアで200戦以上戦っているリゴンドーはサウスポースタイルで距離をとるのが上手く、なかなかパンチを当てさせない。

ポイント重視のボクシングを展開されたらいくらカシメロでも分が悪い。

しかし、リゴンドーは過去にダウン経験があり決して打たれ強くない、カシメロのパンチが当たれば面白い展開になる。

KOならカシメロ、判定ならリゴンドーだろう。

井上尚弥に挑発を続けるカシメロだが、勝利しなければ待ち望む統一戦には届かない。

いろいろな意味で試される一戦となりそうだ。

バンタム級の頂上決戦

バンタム級は井上尚弥を筆頭に以下の王者が君臨している。

WBAスーパー&IBF 井上尚弥

WBAレギュラー ギレルモ・リゴンドウ

WBC ノルディーヌ・ウバーリ

WBC暫定 レイマート・ガバリョ

WBO ジョンリル・カシメロ

昨年は新型コロナウイルスの影響で思うように試合が進まなかったが、今年に入り実力者同士の対戦が次々と決まっている。

休養王者となっていたWBC王者のウバーリは、同級1位のドネアと5月29日に対戦が決まっている。勝者は、暫定王者ガバリョとの統一戦に望むだろう。

そして8月のWBOバンタム級タイトルマッチ、この試合の結果がこの階級の未来を大きく変えていくだろう。

全階級でも4団体統一した王者は過去に5名しかいない。そこを目指す井上だが、まだまだ先は長そうだ。

日本人初の偉業に向けて、突き進んでほしい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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