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期待の女子ボクサー並木月海「日本人初の女子オリンピック選手になりたい」

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
写真撮影はすべて FUKUDA NAOKI

ボクシング競技の東京五輪に向けてのアジア予選が、ヨルダンの首都アンマンで開催される。

日本選手団は男子6名、女子5名の選手が本戦出場を目指し、決戦の舞台に立つ。

その中でも、注目の女子ボクサーが、並木月海(21=自衛隊)だ。

並木は、昨年のアマチュアボクシングの女子年間最優秀選手にも輝いている。東京五輪に向けて単独インタビューした。

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無敗を誇った高校時代

ーーーボクシング歴は、どれくらいですか。

並木:8年でしょうか。今21歳で、中2ぐらいから始めました。

ーーー結構早いですね。スタイルは?

並木:ファイター寄りですが、完全なるファイターでもないような感じですね。

ーーーボクシングを始めたきっかけは。

並木:年中から極真空手をやっていて、小学校に上がった時、キックボクシングも始めました。

中学に入ってから、一度格闘技を全てやめて普通の女の子になりたいと思いました。でも、それにも飽きてしまいボクシングを始めました。

ーーー「ファイター」が体に染みついていたのですね。

並木:そうですね。ずっと格闘技しかやってこなかったので、何か少し物足りなくて。

ーーー本格的にボクシングを始めたのは高校(花咲徳栄)からでしょうか。

並木:はい。高校時代は無敗でした。社会人になってから何回か負けたりもしていますが、何戦しているかは分からないですね。

ーーー成績はどうですか。

並木:2018年の世界選手権の銅メダル獲得が、一番いい成績です。

高校時代は、1、2年生で全日本選手権と高校選抜優勝、3年生でインターハイ優勝です。

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強みはスピード

ーーー自分の強みはどういうところにあると思いますか。

並木:強みは、身長が低いながらも、入るスピードが速いかなということです。

ーーー下半身の力がすごいですよね。女性版【井上尚弥】のような印象です。

並木:身長もリーチもないので、その分、速さで勝負しています。

ーーーパワーに自信はありますか。

並木:自分のパンチを受けたことがないのであまり感じませんが、周りからは結構「(パンチが)強い」と言われます。

ーーーボクシングの魅力は。

並木:私は人前に出るのがあまり好きではなくて、大舞台は苦手です。でも、リングの上では、いつもと違う自分が出せる場所という感覚があります。

ーーーそこに魅力があるのですね。

並木:そうですね。そこがいいなと感じています。

ーーー自分には才能があるなと思いますか。

並木:ん〜特に才能があるなとは、あまり感じていません。

ーーーけれども、すごく期待されていますね。

並木:ありがたいことです。

初めての挫折

ーーー今まで挫折などはありましたか。

並木:高校生の時は、負けなしでしたが、社会人になって初めて負けました。その1年は自分がどうしていいのか、分からない時もありました。

でも、ここ2年ぐらい本格的にボクシングに力を入れられたので、今は負けたことも良かったと思っています。

ーーー高校卒業後に自衛隊に進んでいますが、大学進学は考えていましたか。

並木:(大学進学は)悩みましたね。でも、環境面からすると、オリンピック選手を輩出していて同じ埼玉で近いということもあり、良い場所があるなら(自衛隊に)行きたいという想いが強かったです。

ーーー今の環境はどうですか。

並木:すごくありがたいことに、満足して練習させてもらっています。

ーーー今まで、キャリアの中で一番うれしかったことはありますか。

並木:やはり初めての世界選手権で銅メダルを獲れたことですね。結構自信になったと思います。

ーーー日本人女子史上、2人目のメダル獲得でしたね。

並木:はい。海外では、金メダルを3回、銅メダルを1回獲得しています。

この間の世界選手権がベスト8だったので、全体的にいい結果を残しているかなと思います。

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海外のライバルについて

ーーー海外に、ライバルや強い選手はいますか。

並木:アジアはフライ級が強いので、この間の世界選手権で負けた北朝鮮の選手には、次はしっかり勝ちたいと思います。

ーーー世界のトップの選手との差は、遠いですか、それとも近いですか。

並木:そこまで遠いとは思わなかったです。以前は準備があまりできていませんでした。

でも、今はしっかり準備をしているので、届かない位置にいるわけではないと思います。

ーーーどういうところが違いましたか。

並木:スピードも当て勘も違いますが、特に気持ちの強さが全然違うと感じました。

追い詰めた後でも、すごく手数を出してきます。おもいっきり打ってやろうという気持ちが、こちらにも伝わってきます。

那須川天心は良きライバル

ーーー並木さんは那須川天心と幼なじみだそうですが、彼とは一緒に空手をやっていましたか。

並木:はい。空手とキックボクシングを一緒に練習したり、出稽古をさせてもらったりしていました。

ーーーどういう存在ですか。

並木:友達ですが、先端で活躍してくれて引っ張ってきてくれたなと思います。でも、負けたくない存在でもありますね。

ーーーボクシング以外に何か好きなもの、趣味はありますか。

並木:趣味は映画鑑賞とお菓子作りです。

ーーーお菓子作りですか。減量は大丈夫ですか。

並木:今は減量していません。

ーーーでは、ひとつ下のライトフライ級(49kg級)でもいける感じですか。

並木:はい。試合のときは49kgぐらいになってしまうこともあります。今もフライ級のリミットに体重が入っています。

普通に食べていたら、51kgよりは少しありますが、そこまで減量がきついわけではないので、お菓子もいっぱい食べています。

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女子ボクシングの裾野拡大へ

ーーーこれから五輪予選が始まりますが、心境はどうでしょうか。

並木:ここまで来たのだから、しっかり自力で五輪出場を決めたいです。そして、日本人初の女子オリンピック選手になりたいです。

金メダルを獲りたいのはもちろんですが、アマチュア女子ボクシングが皆さんに少しでも知られたらいいなと思います。

ーーー最後に抱負をお願いします。

並木:東京オリンピックで金メダルを獲れるように頑張ります。

ーーー周りの期待も大きいですね。

並木:そうですね。周りにも結構期待してもらっていますが、期待されるのが好きなので平気です。

ーーーそれなら、ホームで戦ったら、すごくいいですね。

並木:そうです。楽しみのほうが大きいです。

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並木月海(なみき・つきみ)

1998年生まれ。千葉県成田市出身。

幼少期から空手とキックボクシングを始め、元世界チャンピオンの内山高志に憧れ、花咲徳栄高校でボクシングを始める。

高校時代は持ち前のスピードとパンチ力で無敗を誇り、自衛隊体育学校へ進学後は世界女子選手権で日本人女子史上2人目となる銅メダルを獲得。

2019年には2年連続となるアマチュア部門最優秀選手賞を受賞した。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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