驚異のKO率100%ボクサー比嘉大吾 階級を上げて約2年ぶりのリング復帰
来年2月13日後楽園ホール「ダイヤモンドグローブ」で、元WBC世界フライ級チャンピオンの比嘉大吾(24=白井・具志堅)の復帰戦が決まった。
試合は119ポンド契約8回戦で行われる。
比嘉は昨年4月の防衛戦での計量オーバーで王座を剥奪。無期限停止処分を受けていた。
復帰が待ち望まれていた
比嘉はフライ級で驚異のKO率100%のボクサーだ。
また、日本タイ記録となる15連続KO記録を持っている。
2017年5月のWBC世界フライ級タイトルマッチで、チャンピオンのファン・エルナンデス(メキシコ)からKOでタイトルを奪取し、世界王者となった。
しかし、昨年の4月に行われたV3戦の前日計量で、フライ級リミットの50.8Kgから900gオーバーとなり失格。王座を剥奪された。
試合は行われたが、減量失敗の影響から本来の力強いボクシングができず、9Rでセコンドがタオルを投げ入れTKO負けとなった。
その後、日本ボクシングコミッションからライセンスの無期限停止処分を受けた。
だが、今年10月に解除され、来年2月には復帰戦が決まった。
比嘉は、試合会場に頻繁に顔を出していて、トレーニングも続けていたようだ。
多くのファンから復帰が待ち望まれていた。
比嘉のボクシング
今後はフライ級から2つ階級を上げて、バンタム級で戦っていくようだ。
現在はWBCバンタム級7位にランクされている。
比嘉のボクシングの持ち味は、軽量級とは思えないパワーにある。
ガードを固め相手にプレッシャーを掛けながら、ボディやフックなど力強いパンチを打ち込む。
攻撃的なボクシングスタイルで、KO勝ちを量産してきた。
練習を見学したときも、ミット打ちやサンドバック打ちの音に迫力があった。
パンチのコンビネーションも多彩で、アッパーやフック、ボディなどの打ち分けがうまい。
相手からしたら、どこからパンチが飛んでくるかわからない上、一発一発が力強いので脅威だろう。
階級UPの注意点
階級を上げて苦戦する選手も多い。
比嘉の場合は、フライ級から(50.8kg以下)からバンタム級(53.5kg以下)。3kg近くの増量となる。
ボクシングは階級別の競技だ。ミニマム級からヘビー級まで17の階級に分かれている。
軽量級の場合、一つの階級の差は1.5キロ程だが、一つ階級が違うだけで、体格やパワー、スピードが大きく異なる。
そのため階級に合わせたスタイルが求められる。
下の階級では通用していたスタイルでも、ひとつ階級を上げるだけで通用しなくなるケースも多い。
特に比嘉の場合、プレッシャーを掛けて戦うスタイルなので、これまでのように体格差を活かせなくなる。
更に圧力を増すための肉体改造やトレーニングが必要になってくるだろう。
しかし、減量が楽になる分、持ち前のパワーを活かせるので、バンタム級でどこまで戦えるか楽しみだ。
軽量級の盛り上がり
比嘉が主戦場としていくバンタム級で、中心となっているのは井上尚弥(26=大橋)だろう。
11月に行われたWBSSトーナメントで優勝し、現在2つのベルト(WBAスーパー、IBF)を持っている。
井上も階級アップを検討しているため、直接の対決が実現する可能性は低いが、比嘉の復帰で周辺の階級も盛り上がっていくだろう。
ひとつ下のスーパーフライ階級には、年末に試合を控えた4階級王者の井岡一翔(30=Reason大貴)やフライ級王者で3階級王者の田中恒成(24=畑中)。
スーパーバンタム級には、アメリカでタイトルを奪取したばかりの岩佐亮佑(29=セレス)も健在だ。
比嘉も復帰に向けて「約2年ぶりの試合が決まりました。応援してくださっている方、お世話になった方のためにも、今自分にできるすべてを出して頑張ります」とコメントした。
2月の復帰戦を足掛かりに、再び世界チャンピオンに返り咲いてほしい。