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東大はアジア7位 コロナで変わる大学の世界勢力図 英米への流れが止まると中国がさらに台頭

木村正人在英国際ジャーナリスト
東京大学の卒業式(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

[ロンドン発]英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が3日、アジア大学ランキング2020を発表しました。アジア首位、2位はいずれも中国の清華大学と北京大学で、トップ10入りした日本の大学は7位の東京大学1校だけ。京都大学は12位、東北大学は30位でした。

THEアジア大学ランキング2020より
THEアジア大学ランキング2020より

THEのフィル・バティ最高知識責任者(CKO)は次のように分析しています。「アジアの高等教育が変化し続けていることは非常にエキサイティングです。アジアトップ100に21カ国・地域の大学が入り、アジア大学ランキングの資格を得た大学の数は過去最高になりました」

「これはアジア全体の高等教育の勢いを世界に示すだけでなく、アジアの大学が世界トップクラスの地位を確立し続けていることを意味しています。新型コロナウイルスは世界の高等教育に大きな影響を与えるのは明らかです」

「パンデミックにより世界中で移動が制限され、これまではアジアから欧米の大学に流れていた才能がアジアに留まるようになる可能性があります。もしそうなればアジアの大学は国際競争力を高め続ける素晴らしい位置に着くでしょう」

世界大学ランキングでトップクラスのアメリカとイギリスは新型コロナウイルス・パンデミックにのみこまれ、人口100万人当たりの死者はそれぞれ323人、575人。これに対してアジアは日本7人、韓国5人、シンガポール4人、中国3人、香港0.5人、台湾0.3人に留まりました。

効果的なワクチンや治療薬が見つからない限り、人口100万人当たりの死者数が2桁も3桁も少ないアジアからアメリカ、イギリスへの留学生の流れは止まってしまう可能性は否定できません。

日本は「量」ではアジアトップに立っており、THEのアジア大学ランキングの資格を得た国・地域別の大学数で最大の110校(昨年比7校増)。そのあとに中国 81校(同9校増)、インド56校(同7校増)が続いています。

しかし中国は「質」で優位に立ち、清華大学は2年連続でアジア首位。北京大学はランキングを5位から2位に一気に3つもアップさせました。

トップ20入りした大学数では中国が7校、韓国が5校、香港4校、日本、シンガポール各2校です。トップ50校では中国13校、韓国9校、日本と韓国各5校。

新型コロナウイルスは人、モノだけでなく、ナレッジ(知識)の流れすら止めてしまう恐れがあります。パンデミックに笑うのは中国なのか、それとも…。

アメリカやイギリスの大学はよほど知恵を絞ってサービスを向上させない限り、中国に差を縮められてしまうかもしれません。日本はアジアの中でもさらに突き放される恐れがあります。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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