アリアナ・グランデさんのコンサート会場外で自爆テロか イギリスで19人死亡、50人負傷

英コンサート会場で爆発 アリアナ・グランデさんが公演(写真:Shutterstock/アフロ)

[ロンドン発]米歌手アリアナ・グランデさんのコンサートが開かれていた英中部マンチェスターのマンチェスター・アリーナ(2万1000席)の外で22日午後10時半すぎ、大きな爆発があり、地元警察の発表では、少なくとも19人が死亡、50人が負傷しました。マンチェスター警察は今のところテロとみて捜査しています。

最終的にテロと確認された場合、テロリスト4人を含め56人が死んだ2005年のロンドン同時爆破テロに次ぐ犠牲者が出たことになります。

アリアナさんは無事だったそうです。この事件でコンサート会場近くの駅は閉鎖されました。イギリスでは6月8日の投票に向け、総選挙のキャンペーンが行われており、首相のテリーザ・メイは「犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。ぞっとさせるテロ攻撃だ」と断定的に話しました。テロと断定する根拠があるのかどうかはまだはっきりしません。

メイは23日の選挙活動は中断すると述べ、テロ対策のため「コブラ」と呼ばれる危機管理委員会を開く予定です。

英BBC放送によると、入場者は「本当に恐ろしかった。電気が消え、大きな爆発音がした。みんなが悲鳴を上げていた。とにかく走れ、走るんだと誘導された」と証言しています。床にはナットやボルトが散らかり、爆発物の臭いがしたそうです。60台の救急車が出動し、大量の救急患者が運び込まれた病院では重傷ではない人は帰るよう呼びかけています。

現場には爆弾処理用車両が出動し、武装した警官隊が現場周辺の道路を封鎖しています。マンチェスターの住民たちは帰れなくなった人たちに泊まる場所を提供しています。確認されていない報道では米政府高官は自爆テロとの見方を示唆しているそうです。

コンサート会場の様子を撮影した動画をインスタグラムにアップしたzachwhiteguybruceはこう書き込んでいます。「アリアナ・グランデのコンサートが終わった後に爆発は起きた。みんなの無事を祈っている」

イギリスでは3月22日、民主主義の殿堂であるロンドンのウェストミンスター(日本で言う国会議事堂)で、テロ犯の男と警官、女性ら5人が死亡、20人以上が負傷する車の暴走テロが起きています。実行犯のハリド・マスード(52)は度々、暴力事件を起こし、服役中にイスラム教に改宗していました。「暴力過激主義」に傾倒しているとして、かつて情報局保安部(MI5)にマークされていたこともありますが、最近では監視対象から外されていました。

過激派組織IS(イスラム国)は「実行犯はISの兵士だ。ISと闘っている有志連合国の市民を狙え!という呼び掛けに応じて作戦を実行した」との犯行声明を出しました。一方、ロンドン警視庁は「マスードの単独犯行だが、彼がなぜテロに走ったかは永遠に解明できない恐れがある。マスードはジハード(聖戦思想)に関心を持っている。他で起きているテロを真似たロー・テク、ロー・コスト、誰にでもできる手段を見ると、IS指導者のレトリックに影響されているのは間違いないが、証拠は見つかっていない」と発表しました。

若いムスリム(イスラム教徒)の過激化は世界中で進んでいます。ジハード(聖戦)に参戦したり、支援したりするためイギリスからシリアやイラクに渡ったムスリムは850人。このうち200人以上が戦闘で死亡したとみられています。日本人ジャーナリストの後藤健二さんや湯川遥菜さんらを処刑した「ジハーディ・ジョン」ことモハメド・エムワジ(死亡)も含まれています。

イギリスでは過去4年間で13件のテロを未然に防いだそうです。しかし、もう防ぎ切れなくなっています。常に500件が調査対象になり、治安当局は3千人を要注意リストに載せて、さらに別の300人を監視下に置いています。テロは起きるのかではなく、いつ起きるかの問題になっています。ベルギーやフランスに比べ、情報機関と警察の協力、シギント(電子情報の収集)、イスラム系移民の統合、地域の警察協力が進んでいると言われてきたイギリスでもテロを完全に防ぐことはできません。

イギリスが欧州連合(EU)から離脱したとしても、フランスやドイツ、ベルギーなど欧州大陸の国々と同じようにテロの時代を生きることを強いられています。

(おわり)