スコットランド独立は不可避 英総選挙でSNP旋風
保守党が議会第1党に
英国の総選挙は7日投開票が行われた。投票が締め切られた午後10時に発表された出口調査の結果は次の通りだ。
キャメロン首相率いる保守党が316議席で議会第1党になるのは確実。最大野党・労働党は予想外に振るわず239議席。
スコットランド独立を党是に掲げるスコットランド民族党(SNP)は同地方の定数59の58議席を独占する勢い。
保守党と連立を組む自由民主党も大幅に議席を減らして10議席。どの政党も単独では過半数に届かないハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)になる見通し。
保守党と自由民主党が連立を組めば、ちょうど過半数の326議席になるものの、自由民主党内の強い反発が予想され、連立交渉の難航は避けられそうにない。
「59議席中58議席はあり得ない」
SNPを率いるのはニコラ・スタージョン党首。出口調査について「出口調査の結果は額面通りには受け止められない。良き夜になることを願っているが、58議席はあり得ない」とツィート。
「今日、SNPに投票して下さった皆さんに感謝します。どんな結果に落ち着こうとも私たちの選挙キャンペーンを誇りに思います」とも。
SNP旋風、いやスタージョン旋風が始まったのは4月2日の7党首TV討論会からだ。討論後の世論調査で2位に8ポイントもの差をつけトップに踊り出た。
軽いスコットランド訛りと歯切れのよい語り口が耳に心地良い。討論中に11万3千回も「スタージョン」の名前がツィートされ、英国内では「スコットランド以外でもSNPに投票できる?」という検索がグーグルで6位になった。
核原潜の廃止求める
核ミサイル原潜による核抑止システム「トライデント」の廃止とスコットランドから核ミサイル原潜の立ち退きを求めているスタージョン党首は保守党から見れば国防力を弱体化させる危険な社会民主主義者かもしれない。
しかし地元の有権者からすればスコットランドをより豊かに、住みやすくしてくれる頼りになる政治家だ。ロンドンの政治家が語る言葉はスコットランドの有権者にはまったく響いていない。
昨年9月のスコットランド独立を問う住民投票は44.7%対55.3%で否決されたものの、SNPの党員は約2万5千人から10万5千人以上に膨れ上がった。
一掃された労働党
出口調査ではSNPは議席を前回の6から58に一気に増やす見通し。スコットランドはこれまで労働党の牙城だったが、SNP旋風の前に一掃されてしまった。
手練の政治家アレックス・サモンド氏からバトンを受け取ったスタージョン党首。スコットランド自治拡大の地歩を固め、来年5月のスコットランド議会選で再び単独過半数を目指している。
この勢いが続けば、再び住民投票が行われ、スコットランド独立が可決する日が来るのは避けられないだろう。
「ツィートの女王」
スタージョン党首のツィート数は8日午前2時(ロンドン時間)現在で1万218回。1日に平均8.29回ツィートしている。フォロワーは19万9759人。下はツイッターの分析ツール、twitonomyを使ってツィート頻度をグラフ化したものだ。
SNPの大躍進はソーシャルメディアと通常の選挙運動の連携が不可欠になっていることを改めて印象づけた。
(おわり)