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オバマ米大統領のゴルフ好きは止まらない! ブッシュ氏の7倍超180回

木村正人在英国際ジャーナリスト

すでにレームダック(死に体)化しているオバマ米大統領が就任してからゴルフに出かけた回数が計180ラウンドに達した。イラク戦争で「ゴルフ絶ち」した前任のブッシュ大統領は2期通算でゴルフは計24ラウンドだけだった。

シリア内戦、米国家安全保障局(NSA)の契約社員スノーデン容疑者による機密漏洩、プーチン露大統領によるウクライナのクリミア編入、分断の危機にあるイラク情勢と、オバマ大統領にとっては頭の痛い問題ばかり。ストレスが溜まるのはわかるが、いくらなんでも計180ラウンドは多すぎる。

オバマ大統領のゴルフを数えているサイト「オバマ・ゴルフ・カウンター」やCBSニュース・ホワイトハウス担当のマーク・クノラー記者のツイッターをもとにデータベースを作成し、分析してみた。

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さすがに大統領選イヤーの2012年にはゴルフの回数は激減したが、再選を果たして2期目に入った翌13年は、我慢した反動から過去最高の年間46ラウンドを記録。このペースで行けば今年も昨年並みになりそうだ。

月別では8月が最も多く計27ラウンド。5月と6月はそれぞれ計23ラウンド。12月は計22ラウンド、4月は計20ラウンドの順になっている。バイデン副大統領とは6ラウンド回っている。

クノラー記者のツイッターによると、ゴルフで一汗流してからホワイトハウスに戻って仕事をすることも頻繁なのだ。

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一番使用回数が多いのは、ワシントンに最も近いメリーランド州のアンドルーズ空軍基地のゴルフ場で72ラウンド。次はバージニア州の陸軍施設・軍事教練センター、フォートベルヴォアのゴルフ場で42ラウンド。

ハワイでのゴルフも計28ラウンドに及んでいる。グーグルのフュージョンテーブルでオバマ大統領のゴルフ・マップを作ってみた。リンクを開いて「Map of "Venue"」をクリックすると、インタラクティブなマップが現れる。目印をポイントすると、ゴルフの日時やゴルフ場が表示される。

ブッシュ氏は米メディアに対し、オバマ大統領のゴルフ通いについて「大統領というものはバブルの中で翻弄されているようなものだ。それほど精神的なプレッシャーがきつい。外に出て気のおけない仲間とゴルフを楽しむのは大統領にとって大切なことだ」と理解を示す。

しかし、クリミア編入やイスラム教スンニ派過激派「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」によるイラク北部モスル陥落の対策も立っていないのにゴルフに出かけるのは現実逃避としか表現のしようがない。それとも孤独の裏返しか。

ちなみに日本の安倍晋三首相のゴルフ回数は筆者の集計では2期目に入って計22ラウンド。8月や黄金週間(GW)の前後に集中することはあるが、大体、ひと月か2カ月に1度のペースだ。

安倍首相(年平均約13回)と比べると、オバマ大統領のゴルフ通い(年平均約33回)がいかに多いかが一目瞭然だ。先に日本で開かれた日米首脳会談でも、思い切ってゴルフ会談を持ちかけた方が効果的だったかもしれない。

短命に終わった1期目、安倍首相のゴルフはわずか3ラウンド。2期目の計22ラウンドは安倍首相の場合、政権運営が上手くいき、健康が良好なバロメーターとも言えそうだ。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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