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映画『ハロウィン KILLS』。人々はマイケルに優し過ぎる!(ネタバレ)

木村浩嗣在スペイン・ジャーナリスト
マイケルとタイマンを張ってはいけない!

以下ネタバレがあります。必ず作品を鑑賞してから読んでください。

金づち、包丁、金属バット、電動のこぎり、拳銃、ショットガン……。あなたがマイケル・マイヤーズと戦うとしたら、どんな武器を選ぶだろうか?

私なら絶対に金づち、包丁、金属バット、電動ノコは選ばない。接近戦をしたところで勝てるわけがないから。手元にそれしかなかったら、戦わないで逃げる。近くに消火器があれば吹きつけて目つぶしにする。目は鍛えられないからひるむはずで、その間にひたすら逃げる。ゆうゆうと歩いてくるので、全力疾走すれば逃げ切れる。

最強そうに見える電動のこぎりですらリーチが短過ぎる。ガシッと受け止められ、手からもぎ取られて逆にこっちが切断、というのがお約束。同様に、金づちで打ってびくともせず、包丁で刺してもびくともせず、金属バットで叩いてもびくともしない。返り討ちの運命だ。

■一致団結は美しいが接近戦は…

不死身かどうかはわからないが、人間離れした強靭なフィジカルの持ち主であることは過去の蛮行を振り返れば常識。ならば、接近戦は絶対に避けなければならない。そのくらい、悲劇を生きてきた市民の方々なら承知しておいてほしかった。

念のためにいうと、接近戦である限り、市民が20人いても同じである。

包丁や金属バット等を手に一斉に飛び掛かることは物理的にできない。同士討ちの恐れもあるし。

広場で20人でいくら気勢を上げたところで、実戦の場では1人ずつ、あるいは前後で挟み撃ちしての2人組で相対する形になるはず。

つまり、総勢20対1でも局面ではせいぜい2対1で、2対1が10回繰り返されるに過ぎない。最初の2人がやられて、次の2人が飛び掛かる……なんてやり方は、犠牲者のベルトコンベアーでしかない。

ショッカーの戦闘員が何人いても仮面ライダーはかすり傷一つ負わないのと同じ理屈である。

対エイリアンにも使われたしハーレクインもお気に入りのバットなのだが
対エイリアンにも使われたしハーレクインもお気に入りのバットなのだが

■アメリカ人なら銃を使おう!

となると、やはり飛び道具の出番である。銃火器大国アメリカなのだから。

相手はモンスター級の強さ。至近距離から正々堂々と決闘を挑まず、もっと卑怯にいこう。数メートルあるいは数十メートル離れたところで身の安全を確保しておいてから、引き金を引くのである。

火力は強ければ強いほど良いから、ピストルよりもショットガンがおススメ。安全確実にマイケルを倒すならこれしかない。

しかも、狙いは頭だけ。

体なんていくら撃っても意味がない。鋼のように堅い筋肉なのか、防弾の鎧を着ているのかわからないが、体は撃たれても効かないことが、これも過去の事件から推定されている。頭の方は握られるとクシャっとなる柔らかいマスクしか付けていない。だから頭だけを狙う。

相手が包丁だからといって、こっちも包丁でいく筋合いはない
相手が包丁だからといって、こっちも包丁でいく筋合いはない

■ゾンビ相手にはやっていること

頭への銃撃の結果、倒れて死んだようになっても私なら安心しない。斧や電動のこぎりで頭と胴を切り離して、念には念を入れる。ゾンビ相手なら誰でも当たり前にやっていることだ。

ここまでやって、もし頭と胴が超能力で繋がって復活したとしたら、もうお手上げ。市民の手には負えないから軍隊に登場してもらい、対戦車砲でぶっとばしてもらうか、街ごとミサイル爆撃してもらおう。

だが、心優しき市民はここまでやらないのだ。

相変わらず金属バットや電動のこぎりで立ち向かおうとし、銃火器を使う時は胴体だけを狙い、チャンスがあっても頭を切り離そうとはしない。

市民は過去に学んでいない。学ぶと、マイケルの強さにインフレが起き、超人化しなければならなくなるからか。ただ、大衆が賢くならないと、戦いへの興味もまた上積みされないままだ。

公式ホームページはここ。

※写真の提供はシッチェス映画祭。

在スペイン・ジャーナリスト

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟のコーチライセンスを取得し少年チームを指導。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペイン・セビージャに拠点を移し特派員兼編集長に。15年7月編集長を辞しスペインサッカーを追いつつ、セビージャ市王者となった少年チームを率いる。サラマンカ大学映像コミュニケーション学部に聴講生として5年間在籍。趣味は映画(スペイン映画数百本鑑賞済み)、踊り(セビジャーナス)、おしゃべり、料理を通して人と深くつき合うこと。スペインのシッチェス映画祭とサン・セバスティアン映画祭を毎年取材

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