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衝撃の3失点…韓国代表に何が起こっている?元韓国代表Jリーガー嘆く「この結果はない」#専門家のまとめ

金明昱スポーツライター
マレーシアと3-3のドローで肩を落とす韓国代表(写真:ロイター/アフロ)

 サッカーアジアカップのグループリーグ第3戦で、韓国が格下のマレーシアに3-3で引き分け組2位となり、ラウンド16での日韓戦は幻となった。クリンスマン監督新体制の下、64年ぶりの大会制覇を狙う韓国だが、チームの状態が決していいとは言えない。初戦のバーレーンに3-1で勝利したものの、2戦目のヨルダンにも2-2のドロー。優勝候補らしくない戦いぶりに国内メディアの批判の声もさらに高まりを見せている。現在のチーム事情は?一体、何が起こっているのか?

▼アジアカップに挑む韓国代表は、「歴代最強」と言われるメンバー構成。日本と並んで優勝候補に挙げられていた。

▼イ・ガンインが止められると苦しい。劣勢に立たされたあとクリンスマン監督の戦術のなさや采配に疑問の声が多数。

▼ラウンド16で“日韓戦”を回避するためマレーシア戦ドローを狙ったわけではない。「意識していなかった」と選手も監督も語る。

「日本を避ける意図はまったくなかった」韓国代表指揮官クリンスマンがグループ首位通過を目指していたと主張(GOAL.COM)
ラウンド16で日本との対戦を避けるために2位通過を狙ったかについて問われたクリンスマン監督はそのことを否定。「そのような計画はまったくなかった。日本を避ける意図はなかった。今日の試合前に我々はミーティングを行い、グループ首位通過や良いパフォーマンスでの勝利について話をした。選手たちはとても良いパフォーマンスを見せ、たくさんのチャンスを作った。選手たちはピッチ上でベストを尽くした。今日の目標は勝利とグループ首位通過だった」
2位通過となった韓国。日韓戦実現せずイ・ガンインが語ったのは…(GOAL.COM)
ラウンド16では日本代表との対戦の可能性もあったが、2位通過となりサウジアラビアとの対戦が決定。盟友・久保建英との対決は決勝まで先延ばしとなったが、イ・ガンインは「そんなことについて選手たちはあまり考えない。別に言う言葉はない」と答えるにとどめた。

▼元韓国代表イ・チョンスも自身のYouTubeチャンネルでマレーシアとの3-3ドローに苦言「戦術の変化がない。本当にひどい」

「最近のサッカーで2トップの戦術はほとんど使わない。クリンスマンもワントップでピッチに立った選手」。「(逆転され)これはプライドの問題。話す言葉もない。負けている状況で戦術の変化がない。選手を変えても(既存の選手と)同じポジションに入れるだけ」。
同点ゴールが決まったあとは「これは本当にひどい」と言い、そのあとは一言もしゃべらず黙り込んでしまった。

 韓国代表は結果的にグループリーグを突破したが、思わぬ結果に批判が集中しても無理はない。ソン・フンミンは試合後、韓国メディアとのミックスゾーン取材で「戦術的な問題よりも精神力がもっと重要」と気を引き締めている。

 一方で、キャプテンとしてチームを守るため「批判的な記事で、選手たちを揺さぶらないでほしい。ファンもSNSで一線を越えた発言をしている。家族や同僚、友達がいるのにそのような声を聞くと心が痛む。我々もサッカー選手の前に人間。選手も満足を与えられるようにベストを尽くしている。選手を大事にしてほしい」と訴えていた。

 こうした批判は結果で覆すしかない。日韓戦は避けられたとはいえ、決勝トーナメントからは厳しい戦いが続く。チームの立て直しに期待したいころだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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