Yahoo!ニュース

女子プロテスト合格のジョン・ジユは韓国で超人気!“ゴルフ歴18歳~、長身モデル体型”で注目

金明昱スポーツライター
女子プロテストに挑戦し合格したジョン・ジユ(写真提供・MHN Sports)

 国内女子ゴルフの最終プロテスト(11月1~4日、茨城県・大洗ゴルフ倶楽部)が行われ、4日間の通算3オーバーまでの20人が合格を手にした。

 ここに韓国から一人のプロゴルファーが出場していた。名前はジョン・ジユ(JLPGAの登録名は鄭持有)。4日間を通算3オーバーとし、18位タイで見事合格を果たした。

 試合後、ジョン・ジユは「とてもうれしい。元々、日本が好きで、よく遊びに来たこともありました。日本ツアーでプレーしたかったのですが、コロナ禍でその機会がなく、ようやく挑戦にこぎつけました」と語っている。

 昨シーズン初めて韓国女子ツアー1部の出場権を手にして、当時25歳ながら“ルーキー”として注目を浴びた。ゴルフを始めたのは18歳からで、その2年後にプロ転向したという経歴もゴルフファンを驚かせた。

 韓国2部「ドリームツアー」での下積みも長い。2016年から同ツアーで戦い続け、2020年には初優勝して賞金ランキング6位となり、翌年の1部ツアー出場権を勝ち取っている。

 昨シーズンは1部ツアーに登場するとあって、メディアにも引っ張りだこ。“遅咲きのルーキー”と呼ばれ、173センチンのモデル体型とルックスの良さが話題となり、瞬く間に新人歳注目の選手となった。

ハードルが上がった日本ツアー参戦

 ただ、1部ツアーの選手層は厚く、26試合出場で予選通過は5回に留まった。賞金ランキングも103位でシード獲得には失敗し、その後のシード戦(QT)の順位も63位で2022年のレギュラーツアー出場権を勝ち取ることができなかった。

 今季は韓国で2部ツアーを主戦場としたが、そこでも目立った結果を残せず、新たなチャンスを求めたのが日本だったわけだ。

今月のQTにも出場するジョン・ジユ。来季から日本ツアーで姿が見られるか(写真提供・MHN Sports)
今月のQTにも出場するジョン・ジユ。来季から日本ツアーで姿が見られるか(写真提供・MHN Sports)

 ちなみに日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)は2019年度からプロテストに合格した正会員だけが、その後のQT(予選会)に出場できるように規定を変更。その結果、韓国の選手は日本ツアーに参戦するには、まずプロテストに合格しなければならず、ハードルが上がったことから、数は少なくなった。

 それでもチョン・ジユは、今年の8月の1次予選と10月の2次予選を突破。最終もギリギリの順位とはいえ、20人の1人の中に滑り込んだのは見事だった。

帰国後は韓国のQTにも挑戦

 驚いたのは、11月5日に帰国後、KLPGAのレギュラーツアー出場権を賭けたシード戦(QT)にも挑むこと。その後、再び来日して日本のQTに挑戦する。

 つまり日本と韓国の両ツアーの出場権を狙うというわけだ。プロゴルファーは戦う場所があってこそ成立する職業だが、外見からは想像できないたくましさも持ち合わせている。

 久しぶりに登場した韓国からの新たな刺客。イ・ボミやアン・シネのような人気選手になるポテンシャルも秘めているだけに、日本のQTを突破し、来季日本ツアーに姿を見せてくれるのを楽しみに待ちたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

金明昱の最近の記事