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韓国も高梨沙羅に同情?ショートトラック失格など相次ぐ不可解判定に「中国の全国体育大会か」

金明昱スポーツライター
スキージャンプの混合団体でスーツ規定違反で失格となり涙する高梨沙羅(写真:ロイター/アフロ)

 北京冬季五輪が開幕してから、韓国メディアは“判定”をめぐる報道を連日続けている。

 今も尾を引いているのがショートトラック1000メートル準決勝での、世界記録保持者のファン・デホンとイ・ジュンソの失格だが、一方で“不可解な判定”がスキージャンプでも起こったことについても大きく報じている。

 総合ニュースサイト「デイリーアン」は「五輪の雰囲気が混沌とする中、スキージャンプでもそれは起こった。7日に行われたスキージャンプの混合団体で、カタリナ・アルトハウス(ドイツ)、高梨沙羅(日本)、ダニエラ・イラシュコシュトルツ(オーストリア)、アンナ・オーディン・ストロム、シリエ・オプセト(ノルウェー)は、スーツ規定違反で失格となった」と報じている。

 特にメダル候補だった日本の高梨沙羅の失格や疑惑の判定を問題視する見出しが目立つ。

「日本も避けられなかった“失格”の恐怖…高梨沙羅の涙」(金剛日報)

「ショートトラックに続いてスキージャンプでも“不可解判定”…次はドイツと日本がやられた」(ファイナンシャルニュース)

「物議判定…“中国の全国体育大会”になった五輪」(国民日報)

 その上で「デイリーアン」は、スキージャンプでメダルが有力視されていた日本についてこう報じていた。

「日本の選手たちは胸を痛め、涙を流していた。男子ノーマルヒル金メダリストの小林陵侑が率いる日本は、高梨沙羅の失格で4位となった。高梨が着用したスーツの太もも回りが、2センチ大きかったというのが失格の理由だった」

「北京大会は五輪の権威を下げている」

 さらに韓国のショートトラックの失格と並べて、こう付け加えている。

「ショートトラックのように理解しにくい判定によって中国が恩恵を受けたわけではない。スキージャンプ混合団体でスロベニア(1001.5点)が金メダルを獲得し、中国は最下位にとどまった。だが、スキージャンプ混合団体の初代チャンピオンに対する関心よりも、失格の背景に大きな関心が集まってしまった。このような雰囲気では、金メダルの価値がなんなのか考えざるを得ない。五輪の真の価値を高めるどころか、失格と偏った判定、不信で汚れた2022年北京大会は五輪の権威をさらに下げてしまっている」

 また、韓国では高梨が自身のインスタグラムで「日本チームのメダルのチャンスを奪ってしまい、皆さまを深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした」とチームやファンに謝罪したことも報じられており、コメント欄には同情の声が殺到している。

「日本はスキージャンプでは世界トップレベル。男子も今回金メダルを取ったのになぜ…」

「太もも回りが2センチ大きい?どう測定するのか?」

「ジャンプは命をかけて挑む種目なのに、なぜか詐欺にあった気分だ」

 五輪が開催されるたびに、疑惑となる判定が話題になるのはつきものだが、このまま何事もなく大会が進むのを願うばかりだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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