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久保建英のライバルになる?レアルのトップチームでデビューした“韓国系”マルビン・パクって一体何者?

金明昱スポーツライター
トップチームデビューしたマルビン・パク(レアル・マドリード公式サイトより)

 見慣れない名前に一体、誰だろうと思いながら、試合の映像を見ていた。

 リーガ・エスパニョーラ第2節のレアル・ソシエダ対レアル・マドリード戦(0-0)の後半25分から登場したのが、マルビン・オラワリ・エイキラビ・パク(=マルビン・パク)だった。

 この試合がトップチームデビューとなったが、年齢は20歳。約20分間のプレーでこれといった活躍は見せることはできなかったが、リーグ2連覇を狙うレアルが将来を期待する選手の一人であることに間違いはないだろう。

 試合後、自身のツイッターでは「信じられない日だった。レアルでリーグデビュー戦を飾ることができてとてもうれしい」と喜びの声を残している。

 その素性はほとんど知られていないが、マルビン・パク”という名前からも分かるとおり、韓国の血を引いているのは一目瞭然。それでにわかに韓国メディアが沸いているのだ。

「“ジダンPICK”韓国系マルビン・パク、レアル・マドリード1軍デビュー」(スポーツ京郷)

「“韓国系”マルビン・パク、レアル・マドリード1軍、驚きのデビュー戦」(スポーツ東亜)

「レアル・マドリード1軍デビュー、韓国系選手のマルビン・パク、彼は誰?」(アジアニュース通信)

出身はスペインでナイジェリア人の父と韓国人の母を持つ

 調べてみると、彼はナイジェリア人の父と韓国人の母の間に生まれ、出身地はスペインのマジョルカだという。

 レアル・マドリードの公式サイト(日本語版)のプロフィールにはこう紹介されている。

「天性のスピードを持った攻撃的MF。プレー参加と1対1の高いテクニックからチャンスを作り出す。バレアレス諸島で成長。スピードとパワーに突出しており、縦への突破を得意とする選手。また両足とも優れたボールタッチを持っている」

 スピードを生かしてサイドを突破し、ゴールを狙うウインガーだ。まだデビューしたばかりとあって、特徴を生かしたプレーが見られるまでには、もう少し時間がかかるかもしれない。

代表はスペイン、ナイジェリア、韓国のどこを選ぶか?

 マルビン・パクがレアル・マドリードの下部組織に加入したのは2016年7月で、2019年にカスティージャ(Bチーム)デビューを果たした。

 今年8月の欧州サッカー連盟(UEFA)ユースリーグには7試合出場し、1ゴール、3アシストを記録。今月16日に行われたヘタフェとの非公式練習試合にも出場しており、トップチームデビューは間近と思われていたが、それが現実となった。

 韓国のサッカーファンが注目するのは、彼がこの先、どこの代表になるのかというところだ。

 スペインU-19代表でのプレー経験があるが、現状ではスペイン、ナイジェリア、韓国の3つの国籍を持つため、それぞれの代表チームに入る権利を持つ。(アンダーエイジまでなら、代表になる国の変更が可能。A代表になると変更は不可)

 とはいえ、アンダー世代でスペイン代表歴があるのだから、同国のA代表を目指すのがまっとうなところだろう。

 ただ、ナイジェリアと韓国も、「もし彼が代表入りすれば……」と期待せずにいられない気持ちも理解できる。

 それに日本にとっては、レアルからビジャレアルにレンタル移籍したMF久保建英の活躍も気になるところ。

 久保がレアルのトップチームでプレーする日を待ち望むファンも多いだろうが、いずれ攻撃的MFのマルビン・パクがライバルになる可能性もある。

 久保の同世代には、才能豊かな選手が多いと聞く。レアルのトップチーム昇格の争いもこれからが見ものだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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