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「何度も検温」「朝食は前だけ見て」日本が主戦場のペ・ソンウ“無観客”韓国女子ゴルフ初日に何を語った?

金明昱スポーツライター
初日首位タイに立ったペ・ソンウ(写真・KLPGA/Park Jun-seok)

 韓国女子ゴルフツアーのメジャー「KLPGAチャンピオンシップ」が今日から開幕した。

 初日を終え、5アンダーで首位タイに立ったのは3人で、その中に昨年から日本ツアーを主戦場にするペ・ソンウがいた。

 彼女は昨年から日本ツアーに参戦し、メジャー最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでも優勝。日本ツアー1年目にして賞金ランキング4位に入る実力を見せつけた。

 今季は日本企業の大和地所と所属契約を結び、拠点を日本に構え、日本ツアー出場のために万全を期していた。だが、ツアーは新型コロナウイルスの感染拡大で中止が続き、ただ練習をこなすしかなかった。

 韓国ではコロナの感染者数が減り、野球やサッカーのプロスポーツが無観客で開幕。

 女子ゴルフも開催することが決まり、ペ・ソンウは日本に残るか迷っていたが、最終的に4月24日に帰国することを決めた。

 ただ、帰国後は2週間の自主隔離が必要で、その6日後には本番を迎えるというスケジュールを余儀なくされた。

 そんななかでの初日首位タイ。昨年の日本での好調を韓国でも維持できているようだった。

1番ホールでの取材陣の様子(写真・KLPGA/Park Jun-seok)
1番ホールでの取材陣の様子(写真・KLPGA/Park Jun-seok)

「2週間の自粛隔離は辛かった」

 韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)から送られてきたペ・ソンウの試合後の会見内容には、初めての状況の中で戦った心境が赤裸々に綴られていた。

 初日の感想については「韓国では2週間自主隔離を終えて、今日で6日目です。昨日が練習して5日目なので、感覚が良くなくて、今大会は少し難しいかなと思っていました。むしろそういった気持ちだったからか、運がいいプレーが出たみたいです」と、難しい環境の中での試合だったと語っている。

「2週間の隔離は本当に辛かったです。家から出られず、3日も練習しなければ感覚が落ちるのに、2週間もクラブを握らなかったのも心配でした。それでも思ったより成績がよくてうれしいです。グリーンが速く、コースコンディションがよかった。早朝にプレーできたこともプラスになりました」

 感覚が戻らないなかでも、プレーには集中できたようだった。

体温チェックを受ける選手(写真・KLPGA/Park Jun-seok)
体温チェックを受ける選手(写真・KLPGA/Park Jun-seok)

「体温チェックは何度も…」

 無観客で試合が行われたことについては、「スタートのとき選手を呼ぶ声と拍手、ナイスショットの時の拍手がないので寂しいですね。ギャラリーの声や反応でボールがどこに落ちたのかわかるのですが、それがないので違和感もありました」と少し残念そうだった。

 また、体温チェックは要所で何度も行われ、選手同士もかなり気遣っていたという。

「朝に練習場に入る前に体温チェックしました。みんなが集まる場所に行けば、その都度、体温チェックしていましたね。今日はこれまで2回しました。選手同士も小声で話したり、離れて動いたりしていました」

食事は一人席。ペ・ソンウは「学校のようだった」とも(写真・KLPGA/Park Jun-seok)
食事は一人席。ペ・ソンウは「学校のようだった」とも(写真・KLPGA/Park Jun-seok)

一人での朝食は「学校のような感じだった」

 さらに試合会場の食事は、一人席が用意された。複数人で食べることは禁止されていた。

「今日、朝食を食べるときは本当に前だけ見て食べていました。前に先生がいたとしたら、学校のような感じでした」

 こうした決まりとも向き合わなければならない選手たちには、気苦労もあるだろうが、そんな中でどれだけメンタルを整えられるのかも勝負の分かれ目になるだろう。

 普段とは違う雰囲気の中で行われた初日だが、ペ・ソンウにとっては結果オーライだ。

「久しぶりに試合をして、少し息ができたような気分です。最後までベストを尽くしたい」

 そう語るペ・ソンウは同大会の2016年覇者でもある。

 再び優勝を手にできるのかも注目だが、日本ツアープレーヤーでもある彼女の活躍は、ほかの日本ツアー選手へも大きな刺激になるに違いない。

練習場では間隔を空けている(写真・KLPGA/Park Jun-seok)
練習場では間隔を空けている(写真・KLPGA/Park Jun-seok)
スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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