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新型コロナと隔離2週間で女子ゴルフツアーから韓国選手ら大量欠場? イ・ボミ、アン・シネらはどうする…

金明昱スポーツライター
アン・シネも来日を断念。状況を見守りながら母国で練習を続ける(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

「この状況下でどうすればいいと思いますか?」

 新型コロナウイルスの影響で、日本の女子プロゴルフツアーが開幕戦から中止となり、なおかつ韓国人選手の来日が難しくなったことで、筆者の元にこうした連絡がツアー関係者からたびたび来るようになった。

 ウイルスの感染拡大を防ぐため、日本政府は9日午前0時、中国と韓国からの入国を制限する一連の措置を発動した。

 これは韓国人や中国人のみならず、日本人や乗り継ぎで両国を経由しただけの人も対象となり、2週間の待機を求められる。発行済みのビザの効力停止の措置も今月末まで実施される。

 これにより、国内女子プロゴルフツアーでプレーする韓国人選手たちは、かなり難しい選択を迫られている。

 国内女子ツアーは開幕戦の「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」(3月5~8日)と第2戦「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」(3月13~15日)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった。

 第3戦「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」(3月20~22日)、第4戦「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」(3月27~29日)の開催も依然として不透明だ。

韓国で過ごす選手の多くが来日は厳しい状況

 多くの韓国人選手たちは、基本的には母国で過ごしている。

 昨年末に挙式したイ・ボミは、韓国で新婚生活を始めたばかり。日本ツアーの開催がいつになるか分からないだけに、来日を断念したという。

 また、キム・ハヌルは韓国から日本へ入国しようにも、8日までの「駆け込み帰国」が多く、航空券が手配できなかったという。それでも慌てて日本に行くという選択肢は、確率的に低かったと見ていいだろう。

 今季は前半戦出場権を持つアン・シネも韓国に残った。マネジメント会社によれば「8日に日本に入ったとしても、仮に韓国に戻りたいとなったときに母国での措置がどうなるかもわからない。状況を見守りながら過ごすように伝えています」とのことだ。

 8日に来日したペ・ヒギョン、日本滞在中の李知姫、イ・ミニョンは現地で調整を続けており、ユン・チェヨンは韓国で練習を続けているというが、「選手たちは急なことで戸惑っている」(上記4選手のマネジメント担当者)という。

 昨年、賞金ランキング3位の申ジエも韓国に残ったままだ。申ジエのマネジメント担当者は「日本の試合がいつ開催されるのか分からないので、状況を見守りながら判断していくしかないですね」と語る。

 いずれにしても国内女子ツアーの開催可否が、明確にならない限りは、韓国の選手たちも動けないといった状況だ。

 仮に来週開催予定の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」が、無観客で開催されたとしても、多くの韓国人選手は欠場となる可能性は高い。

 選手たちは賞金を稼ぐためにも試合に出る必要がある。来年のシード権を獲得するためにも賞金ランキングを一つでも挙げておきたいところで、不本意な形での欠場は避けたいに違いない。

 個人的には、韓国人選手たちは母国・韓国で今後の状況を見守るのが得策だと思うが、歯がゆい思いをしているのは間違いないだろう。

韓国女子ツアーも無観客か中止か

 余談だが、今年の韓国女子ツアーの初戦「ロッテレンタカー女子オープン」(4月9~12日)は、無観客での開催などを想定しつつ、状況を注視しているという。

 また、韓国ツアー2戦目はスポンサーの要請で急きょ大会がなくなるという事態に。新型コロナウイルスの感染拡大が理由なのではという憶測が飛んでいる。

 韓国ツアーも日本同様、開催可否の判断を見守っている状況に変わりはない。

 現時点で日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)からは、韓国人選手に対する具体的な対応策は出されていないが、早く通常のツアー生活に戻れるのを願うばかりだ。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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