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韓国で起こった日本製品不買運動 日本のゴルフ用品はむしろ売れている?

金明昱スポーツライター
マスターズで優勝したタイガー・ウッズの使用ボールは韓国でも売り上げが好調という(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

 いま韓国では、日本製品の“不買運動”に関するニュースが、連日話題になっている。

 事の発端は日本が韓国に対する半導体材料などの輸出規制を強化したこと。これに対して文在寅(ムン・ジェイン)大統領は7月15日、国際機関での検証の必要性や日本経済への悪影響に言及。

 日本政府を非難したことで、韓国内での国民感情が徐々に熱を帯び、各地で日本製品の不買運動が起こっている。

 韓国スーパーマーケット協同組合連合会は、日本製品の不買運動を全国的に広め、スーパーマーケット約2万店以上で、日本製品約100品目の撤収を始めたという。

 また、韓国中小商人・自営業者総連合会は「日本の食品だけでなく、ゴルフ用品や自動車の整備品など、品目を拡大させる」とも発言している。

 では実際のところ、日本のゴルフ用品への影響は出始めているのだろうか。

 「ダンロップ」ブランドを持つ住友ゴム工業の広報担当者に聞いたところ、「韓国市場は当社にとって非常に重要なマーケットの一つとして積極的に展開しており、今までのところ順調に業績を拡大しています。日本製品不買運動について、現状では大きな影響は見られていません。ですが、引き続き注視していく必要があるとは考えています」との回答があった。

 また、ブリヂストンスポーツの広報担当者からも「韓国での弊社製品の販売は好調です」と真逆の答えが返ってきた。

「現地から特にネガティブな情報は入っていません。米ツアーのマスターズでのタイガー・ウッズ選手が優勝した好影響で、『TOUR B XS』ボールの販売は好調。同ブランドのクラブ販売においても好調を維持しています」

 つまり、不買運動とは裏腹に、韓国での日本のゴルフ用品は軒並み、売り上げを伸ばしている。

 韓国ゴルフ担当記者に話を聞くと「日本のゴルフクラブが韓国で占める割合は6~7割。売り上げも相当数を占める」という。

 不買運動が拡大すれば、韓国のゴルフショップにとってはかなりの打撃だが、決してそんなことはないようだ。以前から韓国での日本のゴルフ用品は質の高さからかなりの人気で、購入する人が多いとはよく聞く。

 韓国のゴルフ好きのおじさんからすれば、「日本のゴルフ用品だけは不買運動の対象外に」というのが本音かもしれない。

※「週刊パーゴルフ 2019年8月6・13日号」掲載記事を加筆・修正しました。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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