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「4年前のドルトムント戦でも感じたが…」チェルシー撃破も川崎Fの中村憲剛が痛感した「世界との差」

金明昱スポーツライター
チェルシー戦で決勝点をアシストしMVPを受賞した中村憲剛(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 明治安田生命 Jリーグワールドチャレンジ2019で、川崎フロンターレは強豪チェルシーを相手に1-0で勝利した。

 勝利の殊勲はMF中村憲剛だった。

 0-0のまま迎えた後半38分、ベテランMF中村が投入されると、約6万人が詰めかけたスタジアムは大歓声に包まれた。

 すでにこの試合の主役が誰であるかを物語るような大歓声。ここから一気に流れは川崎に傾いた。後半42分、左CKでショートコーナーを選択すると、相手エリア内でボールを拾った中村が左足で絶妙なクロスを送る。

 ファーサイドに走りこんだFWレアンドロ・ダミアンがヘディングシュートでゴールネットを揺らすと、これが決勝点となった。

 決勝点をアシストした中村がこの日のMVPを獲得。試合終了後のミックスゾーンで、勝利を喜びつつも、「世界との差」を痛感したことについて、正直に語っていた。

「もっと相手を止めないといけない。止めにいっても相手がプレッシャーに感じていない部分もありましたから。あとはパススピードに差がある。4年前のドルトムント戦(0-6)の時も感じましたが、そこは絶対的な差があると感じました。あとはポジショニングにもムダがない」

 中村が言った4年前とは、2015年7月7日、等々力陸上競技場で行われたボルシア・ドルトムントとの試合だ。当時、ドルトムントに在籍していたMF香川真司に前半2ゴール、後半に4ゴールを決められて大敗。

 欧州の強豪クラブにまざまざと力の差を見せつけられたが、それから川崎は17、18年でリーグ2連覇を達成し、J屈指の強豪クラブに成長した。だが、中村には当時の記憶がまだ脳裏に焼き付いていた。それだけ敗戦から学んだことが多かったのだろう。

 だからこそ、課題も明確だ。

「もっとパスワークを緻密に突き詰めないといけない。相手よりも“止めて蹴る”の基本がしっかりできないと戦えないと思います。それは前半にベンチから見ていても、すごく足りないなと感じました」

 中村は「ただ、4年前(ドルトムント戦)と違うのは……」と言葉を続けた。

「相手にやられそうだけれど、体を張って守りきり、簡単にゲームを壊さなかったこと。それが後半につながった。それに最後まで勝つという気持ち、諦めない姿勢で戦った結果、勝った。これは小さくない勝利だと思っています。それにこれから若い選手がどう感じて、どう進んでいくのかが大事なこと。4年前のドルトムントとの敗戦で、それを僕らは突き付けられた。それが今こうしてチームに生かされ、つながっている。リーグ3連覇に向けて進化するためにも、今回はとても有意義な試合だったと思います」

 どれだけ4年前の敗戦が悔しかったのかが伝わる言葉。そして、その悔しさがあったからこそ、中村の成長があるのだろう。

 途中出場で決勝点をアシストした38歳、“川崎のバンディエラ”の背中から、後輩たちが学ぶべきことは多かったに違いない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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