“再起”をかけ12球団合同トライアウト参加へ。日本ハム一筋8年の井口和朋「やり切った感はない」
明日、11月15日に北海道日本ハムファイターズの二軍本拠地、ファイターズ鎌ケ谷スタジアムで「プロ野球12球団合同トライアウト」が開催される。プロとしての“再起”をかけて参加を予定している選手の1人に、今季まで日本ハム一筋に8年間プレーした井口和朋(29歳)がいる。
神奈川県出身の井口は武相高、東農大北海道オホーツクを経て、ドラフト3位で2016年に日本ハムに入団。ルーキーイヤーから救援で37試合に起用されると、2021年はいずれもキャリアベストの43試合登板、12ホールドポイント、防御率1.86を記録した。だが今シーズンは4月18日の千葉ロッテマリーンズ戦(エスコンフィールド)にリリーフで投げたのを最後に一軍のマウンドからは遠ざかり、10月3日に戦力外通告を受けた。
日本ハムでは「本当にいろんなことを勉強させてもらいました」
12球団合同トライアウトに先駆け、井口は来季から静岡を本拠地にプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグの新球団として誕生が内定しているハヤテ223(ふじさん)のトライアウトにも参加した。11月4日に清水庵原球場で行われた2次選考を終えたところで、その井口に話を聞いた。
「8年間ファイターズでお世話になって、本当にいろんなことを勉強させてもらいました。年間を通しての過ごし方もそうですし、トレーナーさんからは体の使い方とか考え方を教えてもらったり、コーチや先輩のピッチャーの方にはプロでの野球の考え方っていうのを教えてもらいました。そこら辺を、まだこれから野球をやるに当たって次のステップに生かしていけたらなというふうに思います」
日本ハム時代をそう振り返る一方で、井口は「やり切った感は全くないんで。まだまだできるっていうところですかね」と、今後の野球人生への意欲を語る。
「もう一度チャンスをつかみ取って……」
「まだ体は元気ですし、イケる部分もあると思ってるんで。もう一度チャンスをつかみ取って、今度はもっと年間を通して活躍してとか、もっとできることはたくさんあると思う。そういう意味で、次のチームに貢献できたらいいなと思ってます」
ハヤテ223のトライアウトには井口のほか、今季まで横浜DeNAベイスターズに在籍していた池谷蒼大や、2020年までソフトバンク、日本ハム、DeNAで15年間プレーした藤岡好明(今季は九州アジアリーグ、火の国サラマンダーズ)、2019年は読売ジャイアンツの支配下選手だった坂本工宜(今季は関西独立リーグ、兵庫ブレイバーズ)などのNPB経験者の姿もあった。もともと12球団合同トライアウトには参加する予定だったという井口が、この新球団の選手選考にも足を運んだのはチャンスを広げるためだったという。
「(日本ハムから)『こういうトライアウトがあります』みたいな話はいくつかもらっていて、その中の1つにここ(ハヤテ223)もあったっていうことですね。このチームは(既存の)プロ野球のチームと常に試合をするっていうことで、見てもらえるチャンス、そして12球団のどこかに獲ってもらえるチャンスがあるっていうところに魅力を感じて、今回のトライアウトを受けさせていただきました」
「状態は上がっている。自分の力を出せれば」
井口を含めたNPB経験者は、2日間にわたって催されたハヤテ223のトライアウトでは1次選考を免除され、2日目の2次選考にのみ参加。いずれもカウント1―1からの対戦という形式で行われたシート打撃では、井口は4人の打者に対して2つ三振に2つのフライアウトと、完璧に抑えてみせた。
「(日本ハムを)クビになってから自分のコンディションを見つめ直して、今日とかこの後の(12球団合同)トライアウトに向けて練習してきたので状態は上がっていると思いますし、それを今日は少しでも出せたかなと思ってます。投げてる感じも悪くなかったですし、打者の反応もわりかし悪くなかったんで。短い時間で自分の力をアピールするしかないのでそれに向けて練習もしてますし、こうやって『トライアウト』を体感できたんで、(11月15日までに)もう1回調整して自分の力を出せればなと思います」
その時点で11日後に控えていた12球団合同トライアウトを見据え、そう話していた井口。来年1月には三十路を迎えるが、このままでは終われない。もう一度あの舞台に立つためにも、ハヤテ223のトライアウトと同様、明日も持てる力を出し尽くす。
関連リンク