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ヤクルト高津臣吾監督、野球殿堂入りに「古田さんに心から感謝」 現役監督の殿堂入りは球団史上初!

菊田康彦フリーランスライター
NPB通算286セーブを挙げた現役時代のベースボールカード(筆者撮影)

 1月14日、公益財団法人野球殿堂博物館による「2022年野球殿堂入り通知式」が開催され、東京ヤクルトスワローズの監督で、現役時代にNPB歴代2位の通算286セーブを挙げた高津臣吾氏(53歳)、中日ドラゴンズで同16位の通算219勝をマークした山本昌氏(56歳)、東海大学の創立者で、首都大学野球連盟の設立や野球の国際化などに尽力した松前重義氏(故人)の3名が、新たに殿堂入りを果たした。

「わがままな僕をしっかりと受け止めていただいた」

 このうち高津氏は、野球殿堂競技者表彰委員会によるプレーヤー表彰の候補者として名を連ねて、今回で7年目。昨年はわずか10票足りずに殿堂入りを逃していたが、今年は有効投票数361票のうち、殿堂入りに必要な75%(271票)を大きく上回る86.1%(311票)で、文句なしの当選となった。

「野村(克也)監督の難しい野球を、素晴らしい野球を、なんとか古田さんと一緒にいい答えが出せないかと、取り組んでまいりました。すごく難しいこともたくさんありましたけども、すごくわがままな僕をしっかりと受け止めていただき、そして良き兄貴分として僕の話をたくさん聞いていただきました。心から感謝してます」

 栄えある野球殿堂入りに当たり、来賓として出席したかつての“女房役”の古田敦也氏への感謝の言葉を口にした高津氏は、現役時代にNPB歴代2位の286セーブ、メジャーリーグ、韓国、台湾との“日米韓台通算”では347セーブをマーク。野村監督と若松勉監督の下で出場した4回の日本シリーズではいずれも日本一の胴上げ投手になり、登板11試合すべて無失点で、通算8セーブはシリーズ記録になっている。

現役監督の殿堂入りは元巨人・川上氏らに次いで8人目

 過去、在任中に野球殿堂入りしたNPBの現役監督は、川上哲治(1965年、当時読売ジャイアンツ)、鶴岡一人(1965年、当時南海ホークス=現在の福岡ソフトバンクホークス)、落合博満(2011年、当時中日)、秋山幸二(2014年、当時ソフトバンク)、工藤公康(2016年、当時ソフトバンク)、伊東勤(2017年、当時千葉ロッテマリーンズ)、金本知憲(2018年、当時阪神タイガース)の各氏。高津氏はこれに次いで8人目となるが、ヤクルトの現役監督が殿堂入りするのは、前身まで遡っても球団史上初めて(カッコ内の西暦は殿堂入り年)。

 これまでに野球殿堂入りしているヤクルトの監督経験者には、浜崎真二(1978年)、別所毅彦(1979年)、飯田徳治(1981年)、三原脩(1983年)、野村克也(1989年)、廣岡達朗(1992年、監督時代の登録名は広岡達朗)、関根潤三(2003年)、若松勉(2009年)、古田敦也(2015年)の各氏がいて、このうち野村氏のみ、ヤクルト監督就任前に殿堂入りしている。

 なお、プレーヤー表彰の候補者入り1年目の昨年は244票(68.2%)だった山本氏は、今年は307票(85.0%)を獲得。松前氏は特別表彰委員会で81.8%の票を得て、当選を果たした。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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