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高津新監督は2戦目で白星。ヤクルト歴代監督の初勝利は…

菊田康彦フリーランスライター
神宮球場に掲げられた今季のヤクルトのメインビジュアル。中央が高津監督(筆者撮影)

 6月19日に今シーズンの開幕を迎えたプロ野球。中日ドラゴンズとの開幕戦に敗れた東京ヤクルトスワローズは、翌20日の同カードに6対2で勝って今季初勝利を挙げ、就任1年目の高津臣吾監督(51歳)は嬉しい初白星を手にした。

 高津監督にとっては公式戦2試合目での初勝利だったが、ヤクルトの歴代監督の初白星はいつだったのか? ここではヤクルトが親会社となってからの監督について、歴史を紐解いてみる(監督代行経験のある監督は、代行としての初勝利。監督代行のみは除く)。

シーズン途中で昇格の小川監督代行は2戦目で勝利

 まず、昨年まで2期にわたって監督を務めた小川淳司監督(現GM)は、初采配は監督代行時代の2010年5月27日。前日の試合で交流戦開幕から9連敗を喫して高田繁監督が休養したのを受け、ヘッドコーチから昇格したばかりだった。

 前日に続いて本拠地の神宮球場で行われた試合は、東北楽天ゴールデンイーグルスを相手に3対2とリードしながら9回表に追いつかれ、延長12回の末に引き分け。それでも1日挟んで29日に京セラドーム大阪で行われたオリックス・バファローズ戦は、打線が16安打と爆発して11対4で大勝。監督代行就任2試合目で初勝利を挙げた。

 2期にわたった小川政権の間に指揮を執った真中満監督は、2015年にチーフ打撃コーチから昇格。開幕は敵地・マツダスタジアムでの広島東洋カープ戦だったが、延長11回表にラスティングス・ミレッジの2点三塁打で勝ち越し、4対2で勝利。こちらは初采配を白星で飾っている。

高田監督は”因縁”の巨人を相手に開幕3連勝

 前述の小川監督代行誕生のきっかけをつくった高田繁監督が、ヤクルトの指揮官として就任したのは2008年。神宮で行われた開幕の相手は古巣の読売ジャイアンツで、一方で前年までヤクルトの三番バッターだったアレックス・ラミレス(現DeNA監督)がこの年から巨人入りするなど、因縁のカードとなった。

 その開幕戦はヤクルトの先発・石川雅規がラミレスにソロ本塁打を許しながらも7回途中まで2失点に抑え、6対2で勝利。2戦目は前年、ヤクルトで最多勝のタイトルを取りながら、ラミレスと同様に巨人に移籍したセス・グライシンガーを相手に3点のビハインドを追いつき、7回に3点を奪って逆転勝ち。3戦目は10対2の大勝で、高田ヤクルトは巨人を相手に開幕3連勝というこれ以上ないスタートを切った。

 2006年に捕手兼任で就任した古田敦也監督も、初陣となった阪神タイガースとの開幕戦に4対3で勝利。続く2戦目も制し、阪神との開幕3連戦に勝ち越している。

開幕4連勝の球団新記録を樹立した若松監督

 その古田監督にバトンを渡した若松勉監督も、一軍打撃コーチから昇格した1999年4月2日の横浜(現横浜DeNA)ベイスターズとの開幕戦(横浜)では、ロベルト・ペタジーニ、マーク・スミスの両新外国人によるアーチの競演もあって、10対5と大勝。続く2、3戦目もモノにして前年の日本一・横浜をいきなり3タテしてみせた。

 さらに舞台を神宮に移した4月7日の巨人戦。3対3の同点で迎えた9回裏、オリックス・ブルーウェーブ(現バファローズ)から移籍してきたばかりの高橋智がサヨナラ2ランを放ち、開幕から4連勝。これは就任1年目の監督としてはもちろん、球団史上でも過去に例のない新記録となり、いまだに破られていない。

劇的“ノムさん”、連続サヨナラ負けからの逆転サヨナラで初白星

 若松監督の前にヤクルトを指揮した監督といえば、今年2月に他界した野村克也監督である。9年間に及んだ長期政権の1年目は1990年。開幕戦の舞台は東京ドーム、相手は巨人だった。

 2点リードの8回裏に篠塚利夫(現篠塚和典)がライトポール際に放った打球がホームランと判定され、野村監督の猛抗議も実らず同点に追いつかれると、延長14回裏にサヨナラ負け。連日の延長戦となった翌日の同カードも、12回裏に投手の木田優夫(現日本ハム投手コーチ)にサヨナラアーチを浴び、連敗スタートとなった。

 南海(現福岡ソフトバンク)ホークス時代にプレーイングマネジャーとして通算512勝を記録していた野村監督のヤクルトでの初勝利は、開幕3戦目の中日戦(神宮)。序盤から点の取り合いとなり、9回表に逆転されながらも、その裏に新外国人ドウェイン・マーフィーがルーキーの与田剛(現中日監督)から逆転サヨナラ3ランを放ち、「ヤクルト野村監督」に初勝利をプレゼントしている。

“難産”だった荒川監督の初勝利は4戦目

 野村監督と同じく今年この世を去った関根潤三監督は、就任1年目の1987年の開幕戦で勝利しており、これ以前にも武上四郎監督(1980年就任)、広岡達朗監督(1976年5月13日監督代行就任)、三原脩監督(1971年就任)と、初陣を白星で飾っている監督は少なくない。

 初戦で黒星を喫したのは1984年、中西太代理監督の辞意を受けて5月22日に投手コーチから昇格した土橋正幸代理監督代行(のちに代理監督)で、初白星は1日挟んで神宮で行われた大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)戦。2対2の同点で迎えた6回裏に3点を勝ち越すと、この回から登板していたエースの尾花高夫が最後まで投げ切って、6対2で快勝している。

 難産だったのは1974年に打撃コーチから昇格した荒川博監督で、開幕の巨人戦(後楽園)を2対2で引き分けると、続く2、3戦目と連敗。2日空けて神宮で行われた中日戦でエースの松岡弘が完封勝利を挙げ、就任4試合目で待望の初白星を手にしている。

 なお、それぞれの監督の就任1年目(代行は就任後)の順位は表のとおり。前年(代行は就任時)の最下位を受けての就任が多いこともあって、順位を上げている監督が目立つが、優勝は真中監督のみで、Aクラス入りもほかに古田監督、武上監督、荒川監督だけ。高津監督の1年目は、どんなシーズンになるだろうか。

(筆者作成)
(筆者作成)
フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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