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16連敗でストップのヤクルト、今年も交流戦で“躍進”なるか?

菊田康彦フリーランスライター
今年のヤクルトのスローガンは「KEEP ON RISING 躍進」(筆者撮影)

 球団記録、そしてセ・リーグ記録に並ぶ16連敗と泥沼にはまり込んでいた東京ヤクルトスワローズが、6月2日の横浜DeNAベイスターズ戦(横浜)に5対2で勝利。実に3週間ぶりの白星で、ワースト記録更新を免れた。

 今シーズンは出足好調だったヤクルトは、4月は10日から20日にかけてほぼ首位の座をキープ。5月12日の時点でも貯金5の2位で、首位の読売ジャイアンツとはわずか1ゲーム差だった。ところが14日の広島東洋カープ戦(マツダ)に敗れると、そこから連敗が続く。16連敗目を喫した6月1日の時点では11もの借金を抱えて最下位に沈み、巨人に代わって首位に躍り出た広島に12.5ゲーム差をつけられていた。

昨年も交流戦開始時点では借金9

 6月2日の勝利で借金を1つ減らして「10」としたヤクルトは明日、4日から恒例のセ・パ交流戦に臨むが、実はこの状況は昨年とさほど変わらない。昨年は交流戦開幕が5月29日と今年よりも若干早かったのだが、ヤクルトはその時点で9つの借金を抱え、首位広島とは9.5ゲーム差の最下位だったからだ。

 昨年は交流戦開幕ゲームの千葉ロッテマリーンズ戦(神宮)に敗れて借金を10としながら、そこから7連勝するなど交流戦で12勝6敗の好成績を残し、最高勝率球団になった。これがその後、レギュラーシーズンで2位に躍進するきっかけになったといっても過言ではない。

 それまでは、交流戦はヤクルトにとって“鬼門”だった。交流戦がスタートした2005年からの2年間こそ、当時の各球団36試合制でいずれも大きく勝ち越したものの、24試合制になった2007年から2014年までの8年間では勝ち越しは1度だけ(2009年=15勝9敗)。現在の18試合制が導入された2015年以降も、3年連続で負け越していた。それだけにその交流戦で全12球団中、最高勝率をマークしたことが、昨年は大きな転機となったのである。

交流戦最高勝率の要因は投手陣

 昨年、交流戦でこれだけの好成績を収めることができたのはなぜか? その要因は投手陣にある。打線は交流戦でも1試合平均4.33得点と、シーズン全体(4.60)と遜色のない得点力を発揮したが、投手陣はシーズン全体のチーム防御率が4.13だったのに対し、交流戦では3.38と大いに健闘した。

 16連敗中こそなかなか得点できずに苦しむこともあったが、打線は今年もここまで1試合平均4.39得点と、昨年と大きな違いはない。一方でチーム防御率は、リーグでも唯一の4点台(4.69)。昨年も交流戦前のチーム防御率は4.54で、特に先発投手陣がなかなか試合をつくることができなかったが、交流戦では全18試合中、過半数の10試合でクオリティースタート(先発して6回以上投げ、自責点3以下)を記録している。

 連敗を16で止めた6月2日のDeNA戦では、中4日での先発ながら7回途中まで1失点という原樹理の力投が光った。明日から始まる交流戦でも、先発がある程度試合をつくっていくことができれば、昨年のような快進撃も夢ではない。そうなれば昨年と同じように、シーズン後半に向けて躍進していく大きなきっかけになるはずだ。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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