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フレディ・フリーマンの援護を受ける今季の大谷翔平に期待が膨らむ戦後2人目のシーズン150得点

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンはこういった光景を数多く見られそうだ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【オープン戦から爆発し続けるドジャース打線】

 今オフに超破格の大型契約で大谷翔平選手と山本由伸投手がドジャース入りしたことで、日本国内でもドジャースの注目度が格段に高まっているように感じる。

 それは日本に限ったことではなく、米国においても日本人2選手以外にも大型補強を断行したドジャースに対する注目と期待は例年以上だが、まだオープン戦の段階とはいえ、彼らの戦いぶりにますます評価が高まりつつある。

 特に大谷選手に加え、ムーキー・ベッツ選手、フレディ・フリーマン選手のMVPトリオを中心とする強力打線は、オープン戦でも連日爆発し続け、チームによって試合数に多少の違いはあるものの、ここまでのドジャースは総得点(99点)、打点(95)、安打数(134)でMLBトップを走っている。

 まだ主力選手がフル出場していないとはいえ、今や多くの解説者がドジャース打線の快進撃を信じて止まない状況になっている。

【MLBでも理想的な3番打者フリーマン選手】

 中でも日々評価を上げ続けているのが、MVPトリオだ。1番ベッツ選手、2番大谷選手、3番フリーマン選手が並ぶ上位打線について、MLBネットワークの番組に登場したジョン・モロシ記者は、「3選手がお互いを見事に補完し合っている」と絶賛するとともに、フリーマン選手がベッツ選手と大谷選手の後を打つ打順も理想的だとしている。

 モロシ記者が指摘するように、フリーマン選手はMLBの中でも理想的な3番打者といっていい。キャリア長打率.514は、大谷選手(.556)やベッツ選手(.524)を下回っているものの、打率(.301)と出塁率(.388)は2選手を上回っているほか(大谷選手が打率.274、出塁率.366で、ベッツ選手は打率.294、出塁率.373)、キャリア得点圏打率においてもフリーマン選手は.337と、両選手を凌駕している(大谷選手が.296で、ベッツ選手は.329)。

 しかもフリーマン選手は、MLB在籍14年間で通算1885試合に出場する中で大半の1146試合に3番で起用されており、まさに3番打者としてのノウハウを熟知している存在なのだ。

 そんなフリーマン選手がベッツ選手と大谷選手の後に控えることで、ドジャースに多くの得点をもたらすことが期待されているわけだ。

【大谷選手は自己最高の得点が期待できる?!】

 フリーマン選手に止まらず、ウィル・スミス選手とマックス・マンシー選手のオールスター選手コンビがクリーンアップを形成することにより、大谷選手は出塁できさえすれば、今まで以上にホームに生還できる機会が増えることになるだろう。

 ちなみに大谷選手がエンジェルス在籍6年間でシーズン100得点以上を記録できたのは、2021年(103)と2023年(102)の2回のみだ。これらのシーズンは、いずれも大谷選手が40本以上の本塁打を放っており、半分近くは自分自身で得点したものだ。それだけ後続打線の援護に恵まれていなかったことを意味している。

 特に2023年はア・リーグ1位の出塁率(.412)を誇り、しかも二塁打26、三塁打8、盗塁20と得点圏に進塁していることを考えると、得点102は逆に寂しさを感じてしまうものだ。

 今シーズンはドジャース打線に入り、大谷選手が2023年並みの打撃を披露するようなことになれば、間違いなく自己最高の得点数を記録できると期待したくなる。

【戦後はたった1度しか記録されていない年間150得点】

 ちなみに昨シーズン史上初の「40本塁打&70盗塁」を達成し、ナ・リーグMVPを受賞したロナルド・アクーニャJr.選手は、強力ブレーブス打線の援護を受け、MLB最多の149得点を記録している。

 シーズン得点が140を上回ったのは、2007年のアレックス・ロドリゲス選手(143)以来の快挙だった。同年シーズンのロドリゲス選手は自身3度目のMVPを受賞しており、シーズン得点も選手を評価する重要な指標と考えていいだろう。

 アクーニャJr.選手はあと一歩のところで、シーズン得点150に到達することができなかったが、実は戦後のMLBでは夢のような数字になっている。

 というのも、1946年以降でシーズン得点150をクリアした選手は、後にも先にも2000年のジェフ・バグウェル選手(152)しか存在していない。それ以前の到達選手となると、1937年のジョー・ディマジオ選手(151)まで遡らねばならない。

 大谷選手が史上初のDH選手によるMVP受賞を引き寄せるためにも、シーズン得点150到達は大きなPR材料の1つになるかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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