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野球は3年連続大学WS出場中!佐々木麟太郎が留学するスタンフォード大アスリート部門の実力と実績は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
タイガー・ウッズ選手もスタンフォード大出身だ(写真:ロイター/アフロ)

【佐々木選手のスタンフォード大入りを全米が報じる】

 2月14日に日本で報じられたように、プロ志望届を提出せず米国への大学留学を表明していた佐々木麟太郎選手のスタンフォード大入りが、同大公式サイト(アスレチック部門)で正式発表された。

 佐々木選手の去就については、米国でも昨年から関心が集まっており、今回のスタンフォード大入りもAP通信が配信したこともあり、主力新聞やスポーツ誌など相次いで報じている他、MLB公式サイトでも取り上げられている。

 昨年末に大学野球の名門校バンダービルト大の施設を訪問したというニュースが報じられた際に、ほぼ留学先は決まっているのだと早合点していたが、今回の正式発表を受け単純に驚いただけでなく、素晴らしい大学に入学できたと心の内で拍手喝采を送っている。

 佐々木選手が「野球だけではなく人間的にも成長したい」と話していたように、彼の希望を叶えてくれる最適の大学だと考えたからだ。それほどスタンフォード大は、全米中の学生が憧れる超名門校なのだ。

【全米随一の文武両道を極める超名門校】

 すでに日本でも各所で紹介されているように、そもそもスタンフォード大が世界屈指の名門校だということだ。英国の「Times Higher Education」による2024年版世界大学ランキングでオックスフォード大に次ぎ2位にランクインし、「U.S. News」による2024年版国内大学ランキングでも、プリンストン大、マサチューセッツ工科大に次ぎハーバード大とともに3位タイに入る優秀校なのだ。

 しかもプリンストン大やマサチューセッツ工科大、ハーバード大は、NCAA(全米大学体育協会)の中ではディビジョン2、もしくは3に所属する一方で、スタンフォード大だけはスポーツ強豪校に分類されるディビジョン1に入っており、まさに全米随一の文武両道を極める大学といえるのだ。

 ご存じの方も多いかと思うが、NCAAの規定によりすべての大学アスリートは、一定以上の成績を残せないと公式戦に出場することができない。つまり佐々木選手は、授業レベルも米国屈指だと考えられるスタンフォード大で、しっかり学業にも注力しなければならないのだ。もちろん苦労することになるだろうが、これほどの経験を積める機会はそうそう訪れないだろう。

 ちなみにスタンフォード大は、多くの大学が採用している半期制とは違い、春夏秋冬の四半期制で授業を行っており、大学公式サイトによると、佐々木選手は4月から春期(2月からスタート)課程に加わり学び始めるようだ。

 ゴンザガ大留学が決まった八村塁選手は高校卒業後、新年度が始まる9月まで待たなければならなかったが、佐々木選手は高校卒業と同時に留学生活をスタートできるというのも、スタンフォード大を選んだ理由だったのかもしれない。

【アスレチック部門は数々の有名アスリートを輩出】

 NCAAディビジョン1に所属しているアスレチック部門も多くの競技が全国レベルで、これまで数々の有名アスリートを輩出している。

 その筆頭に挙げられるのが、タイガー・ウッズ選手だろう。米国ではアマチュア時代から有名だったウッズ選手がスタンフォード大入りを発表した際も、米国では大きなニュースになっている。

 結局彼は2年間スタンフォード大に在籍した後、プロ転身を果たしているが、その間に全米アマチュア選手権や全米大学選手権など数々の個人タイトルを獲得している。

 また昨年福岡で開催された世界水泳で、通算20個目の金メダルを獲得し、現在も800mと1500m自由形の世界記録保持者であるケイティ・レデッキー選手もスタンフォード大だった。また彼女が大学に在籍していた4年間で、競泳チームは2度全米大学王座に輝いている。

 さらに大学時代にフットボールと野球の二刀流をこなし、いずれの競技でもドラフト指名された後、最終的にフットボールに専念しリーグ屈指のクォーターバックとしてブロンコスを2年連続スーパーボウル王者に導いたジョン・エルウェイ選手もスタンフォード大出身だ。

 こうした輝かしい伝統と歴史を誇るスタンフォード大アスレチック部門に、佐々木選手も加わることになるわけだ。

【現監督就任後は強豪として完全復活した野球】

 他の競技同様に野球に関しても、これまでカレッジ・ワールドシリーズ制覇2回(1987年、1988年)、同シリーズ決勝進出3回(2000年、2001年、2003年)を誇るなど、全国レベルにある。

 2005年以降は所属するPac12カンファレンスのタイトルから遠ざかっていたが、2018年にデビッド・エスカー氏がヘッドコーチに就任して以降、5年連続(2020年を除く)でカンファレンス優勝を果たすとともに、3年連続でカレッジ・ワールドシリーズを果たしており、完全に強豪チームとして復活した感がある。

 2月16日から2024年シーズンの開幕を迎えるが、シーズン前にNCAAが発表しているランキングによれば、Pac12カンファレンスの中では最上位の16位にランクインしており、今シーズンもカンファレンス優勝の最有力候補といっていい。

 ちなみに大学野球は他の競技同様にシーズン制で行われており、2~6月で実施される。そのため4月に入学予定の佐々木選手は2024年シーズンに間に合わないため、2025年シーズンからプレーすることになる(もちろん学業成績次第だが…)。

 佐々木投手の公式戦出場は来年2月まで待たなければならないが、4月から素晴らしいキャンパスライフをスタートしてほしいと願うばかりだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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