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予測成績から紐解く打者専念で迎える今シーズンの大谷翔平に求められる最低ノルマとは?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
シーズン開幕に向け順調な調整を続ける大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB公式サイトがファンタジー・ランキングを発表】

 つい先日(米国時間2月13日)のことだが、MLB公式サイトで2024年版のファンタジー・ランキングが発表されたのをご存じだろうか。これは、米国で広く愛好されているゲーム「ファンタジー・ベースボール」のために選手をランキング化したもので、MLB公式サイト以外にも各所でランキングを発表している。

 このゲームは参加者がネット上に開設されたいずれかのリーグに所属し、ドラフト指名した選手たちの活躍度(各選手が実際の公式戦で残す成績)を週ごとにポイント化し、そのポイント総数で順位を競うというもの。効果的なドラフト指名を行いたい参加者にとって、ランキングは必須アイテムだ。

 ちなみに現役MLB選手にもファンタジー・ベースボール愛好家が多く、以前マイク・トラウト選手が立ち上げたリーグに所属する選手たちの間でちょっとしたトラブルが起こったことが話題になったことがあるほどだ。

 今回MLB公式サイトでは300選手をランキング化しており、その中には今シーズンMLBに移籍してきた山本由伸投手、今永昇太投手、松井裕樹投手を含め10人の日本人選手がランク入りしているので、彼らの順位を含め興味がある方はぜひチェックしてほしい。

【予測成績こそファンが求める最低ノルマ?!】

 ファンタジー・ベースボールでは選手の様々な成績がポイント化されるので、オールラウンド選手になればなるほど高ポイント獲得が期待できるため、投打にわたり活躍が期待できる大谷翔平選手は以前からファンタジー・ベースボール愛好者の間で最高ランクの人気選手だった。

 今シーズンは打者に専念するわけだが、それでも大谷選手は日本人選手の中では最高位の11位にランクインしており、打者だけでも幅広い活躍が期待できると考えられている証だ。

 今回のランキングでは、すべての選手に「Steamer」による今シーズンの予測成績が添付されており、これもファンタジー・ベースボール参加者が選手をドラフト指名する重要な指標となっている。

 つまり彼らにとってその予測成績こそが、選手たちに期待する最低ノルマと考えていいだろう。

 そこで今回は「Steamer」に加え、2つのデータ専門サイト「Fan Graphs」と「Baseball Reference」で公表している3つの予測成績を比較しながら、米国で考えられている大谷選手の最低ノルマについて考えてみたいと思う。

【3つの平均値は37本塁打、100得点、103打点、18盗塁、OPS.928】

 まずMLB公式サイトのファンタジー・ランキングに添付されている「Steamer」の予測成績では、今シーズンの大谷選手は39本塁打、114得点、106打点、20盗塁、OPS(出塁率と長打率を足したもの).926になるとしている。

 昨シーズンの成績が44本塁打、102得点、95打点、20盗塁、OPS1.066だったことを考えれば、本塁打、盗塁、OPSは難なくクリアできそうだ。また得点と打点に関しては、大谷選手の自己記録(2021年に記録した103得点、100打点)を上回る数値になっているが、MLB屈指のドジャース打線の中でなら十分に到達可能だと考えられる。

 また「Fan Graphs」の予測成績を見ると、38本塁打、100得点、117打点、17盗塁、OPS.909、また「Baseball Reference」では35本塁打、87得点、85打点、17盗塁、OPS.949となっている。

 日本では打者に専念する今シーズンは50本塁打を期待できるとの報道に接している人からすれば、これらの予測成績はかなり控えめに映るかもしれない。だがMLB公式サイトで「50本塁打&20盗塁の可能性を秘めている」と追記しているように、あくまでこれらの予測成績は大谷選手に期待する最低ノルマだと考えてほしい。

 ということで今回は、3つの予測成績を平均した37本塁打、100得点、103打点、18盗塁、OPS.928(平均値を四捨五入したもの)を、今シーズンの大谷選手の最低ノルマとしたいと思う。今シーズンの大谷選手を見守る上での参考にしてほしい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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