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MLB新記録の450人から本塁打を放ったアルバート・プホルス!日本人投手は何人含まれ何本打たれた?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
450投手から本塁打を放つMLB記録を樹立したアルバート・プホルス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【通算700本塁打まであと6本に迫ったプホルス選手】

 今シーズン限りで現役引退を表明しているカージナルスのアルバート・プホルス選手が現地時間8月29日のレッズ戦で今シーズン第15号となる本塁打を放ち、これまでMLB史上3人しか到達していない通算700本塁打にあと6本に迫った。

 すでに本欄でも報告しているように、プホルス選手はシーズン後半戦に入り全盛期を彷彿させるような打撃を披露し続け、8月の月間本塁打数は8本を記録している。

 現在は対戦相手が左先発投手の際に先発起用されるケースが増えている中、あくまで9月の出場試合数次第だが、現在の状態を維持できれば大台に到達する可能性は十分にあり、最高のかたちで有終の美を飾れそうだ。

【本塁打を放った投手数でMLB新記録を樹立】

 ところで前述の通算694本目の本塁打は、別の意味でプホルス選手にとって金字塔となった。すでに日本でも報じられているように、プホルス選手が本塁打を放った投手の数が450人に達し、バリー・ボンズ選手(449人)を抜いてMLB単独1位に躍り出たのだ。

 2001年4月6日のダイヤモンドバックス戦で記念すべき第1号本塁打を記録して以来、足かけ22年をかけて築き上げた大記録だ。

 当然のことだが1人として同じ投手がいるはずもなく、その特徴は十人十色だ。打者からすれば対戦する投手の数が増えれば増えるほど、それに対応していかねばならないし、その分だけ本塁打を打つのも難しくなっていく。

 にもかかわらずプホルス選手は、ボンズ選手(通算762本塁打)より少ない本塁打数で彼を上回る投手から本塁打を打っているのだから、この記録だけでも十分に賞賛に値しないだろうか。

 ちなみに通算700本塁打以上を記録している他の2選手について見てみると、ベーブ・ルース選手で本塁打を放った投手数は216人、ハンク・アーロン選手で310人に止まっており、チーム数が増えた現在は、昔とは比較にならないほど多くの投手と対戦しなければならない状況が理解できる(MLB公式サイトの記事を引用)。

【日本人第1号は2002年のマック鈴木投手】

 それではプホルス選手が本塁打を放った450人の投手の内訳はどうなっているのだろうか。やはり日本人としては、何人の日本人投手が含まれ、また誰が最も本塁打を献上しているのか興味がそそられるところだ。

 幸運にも野球専門サイトの「BASEBALL ALMANIC」が、プホルス選手の全本塁打の軌跡をまとめていたので、それを元に日本人投手の内訳をチェックしてみた。

 まずプホルス選手に本塁打を喫した日本人第1号は、2002年6月8日のマック鈴木投手(当時ロイヤルズ)だった。4回途中に2番手で登板し、いきなりプホルス選手に2点本塁打を打たれている。

 同シーズン第13号となったこの本塁打は、プホルス選手にとって節目となる通算50本目でもあった。

【最多被本塁打数は大家投手とダルビッシュ投手の3本】

 それ以降2019年7月21日に本塁打を許した菊池雄星投手(当時マリナーズ)に至るまで、石井一久投手、大家友和投手、黒田博樹投手、ダルビッシュ有投手、岩隈久志投手(最初に本塁打を打たれた年代順)と、計7人の投手がプホルス選手に本塁打を献上している。

 また7人の投手のうち最も本塁打を打たれているのが、大家投手とダルビッシュ投手の3本だった。続いて石井投手、黒田投手、岩隈投手がそれぞれ2本塁打を許している。

 ただ対戦打席数を見ると、岩隈投手がもっと多く60回プホルス選手と対戦し、被打率.150しか許していない。またダルビッシュ投手も43回対戦し、同.222に止めており、むしろ2投手はプホルス選手をしっかり抑えているのが分かる、

 一方大家投手は、当時インディアンズに所属した2009年6月13日の試合でマルチ本塁打を許すなど、20回の対戦で被打率.529を許しており、データ上は完全にプホルス選手を苦手にしていたのが理解できる。

 ちなみにプホルス選手と10回以上の対戦経験があり、本塁打を許していない日本人投手は、田中将大投手(18回対戦)と野茂英雄投手(12回対戦)の2人のみしかいない。

 残りシーズンでさらに新たな投手が加わることになるのか。その辺りも見所になっていきそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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