Yahoo!ニュース

佐々木朗希が次回登板で挑む118年間誰も到達していないサイ・ヤングの伝説的偉業

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
サイ・ヤング投手の伝説的偉業について報じるMLB公式サイト(同サイトから引用)

【佐々木投手の次回登板は完全試合を達成したオリックス戦】

 2試合連続で異次元の投球を披露したロッテ・佐々木朗希投手の次回登板は、今や応援するチームの垣根を越えて、野球ファン、いや一般国民をも巻き込んで日本中の関心事になっていないだろうか。

 予定通りにいけば、明日4月24日のオリックス戦に登板することになるが、知っての通りオリックスは、同10日に佐々木投手が史上最年少の20歳でNPBとして28年ぶりに完全試合を達成した相手だ。

 しかも13者連続の日本新記録を含む19奪三振の日本記録に並ぶ偉業も同時に達成するほど、完全に圧倒しているのだから、やはり期待せずにはいられないだろう。

 ただわずか2週間後に同じチームと対戦するのは、果たして投手に有利なのか、それとも打者に有利に運ぶのかは微妙なところだが、いずれにせよ、今から期待に胸を膨らませている状態だ。

【今も継続している連続無安打無失点イニング】

 同17日の日本ハム戦では8回で降板したため、NPBのみならずMLBでも実現したことがない、2試合連続の完全試合達成は夢に終わったが、今も佐々木投手の無安打無失点イニングは継続したままだ。

 彼は同3日の西武戦で、8回2死から鈴木将平選手に二塁打を許したのを最後に、ここまで無安打無失点イニングを継続しており、現在17イニングまで伸ばしている。

 この記録自体、他の投手たちが簡単には並べそうにないとんでもないものだが、実は佐々木投手は次回登板で、MLBで伝説になっている偉大な記録に挑もうとしているのだ。

【1904年にサイ・ヤング投手が樹立した24イニング連続無安打無失点】

 それは1904年にあのサイ・ヤング投手が樹立した、24イニング連続無安打無失点という偉業だ。118年経った今も、誰1人ヤング投手に並んだものは現れていない。

 かつてイチロー選手が毎シーズン安打を量産していた頃に、日本でもジョー・ディマジオ選手の56試合連続安打というMLBでも「比類ない記録(Untouchable Record)」とされる偉業が紹介されたりもしたが、ヤング投手のこの偉業もそれに匹敵する伝説の記録になっている。

 仮に次回登板で佐々木投手が7回まで無安打無失点の投球を続けるとしたならば、日米通じて初めてヤング投手と肩を並べることになるのだ。

【4試合にまたがって無安打無失点を継続】

 ヤング投手のこの偉業については、2年前のMLB公式サイトで紹介されている。4試合にまたがって無安打無失点を継続して達成された、とんでもない記録だったのだ。

 伝説の始まりは、4月25日のフィラデルフィア・アスレチックス戦だった。この日は8回(後攻なので記録は完投)を投げ、6安打2失点(自責はなし)で敗戦投手になったものの、6回に安打を許して以降、7回と8回は無安打無失点で終えている。

 そして5日後の同30日のワシントン・セネターズ戦では、3回から2番手でマウンドに上がり、7イニングを無安打無失点、4奪三振に抑えチームの勝利に貢献。現在ならセーブに匹敵する(当時は記録として存在せず)好投を演じている。

 圧巻だったのは、同じく5日後の5月5日のアスレチックス戦での登板だった。9回を投げ切り、打者27人に対し無安打無失点無四球を続け、1900年以降「現代野球(Modern Era)」では初、そしてア・リーグ史上初となる完全試合を達成している。

 最後は6日後の同11日もデトロイト・タイガース戦に先発し、6回まで無安打無失点を継続していたが、7回に二塁打を打たれ、遂に記録が途切れることになった。それでもヤング投手はこの試合を延長15回まで投げ続け、5安打無失点で完封勝利を挙げている。

【最も記録に迫ったのはエカスリー投手の21イニング】

 前述の記事によれば、ヤング投手が偉業を達成した当時は、「飛ばないボール時代(Dead Ball Era)」と呼ばれ、現在の野球とはスタイルを異にしていたようだ。それだけにヤング投手の偉業は前述通り、比類ない記録になっているのだ。

 それでも数多の投手たちがヤング投手の伝説に迫ろうとしていた。その筆頭がデニス・エカスリー投手だ。

 アスレチックス時代はMLB屈指のクローザーとして有名だった彼だが、1975年にMLB初昇格以降1986年までは先発投手として活躍し、1977年には21イニング連続無安打無失点を続けていた。

 ヤング投手、エカスリー投手に続く記録は16イニング連続無安打無失点で、すでに佐々木投手はこれを上回っている。

 これを達成しているのは、2015年のマックス・シャーザー投手、1996年のドワイト・グッデン投手、1986年のマイク・スコット投手、1974年のスティーブ・バスビー投手、1973年のノーラン・ライアン投手──と、名だたる投手たちが名を連ねている。

 果たして佐々木投手は、ヤング投手の伝説に手が届くことができるのだろうか。是非こんな記録にも注目しながら、佐々木投手の投球を見守って欲しい。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

菊地慶剛のスポーツメディア・リテラシー

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3、4回程度(不定期)

22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

菊地慶剛の最近の記事