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誰もが不可避と予想するMLBのロックアウト!1994年のストライキと何が違うのか?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
マンフレッド・コミッショナーは本当にロックアウトを実施するのだろうか?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【誰もが確実視するロックアウト実施】

 オフシーズンに突入したMLBは先週GM会議が行われ、今週はオーナー会議が予定されるなど、順調にオフの行事が続いている。だがその一方で、そうした行事を取材しているメディアは、悲観的な報道を繰り返している。

 すでに本欄でも何度か報告させてもらっている通り、MLBと選手会の間で取り交わされた現行の労働協約、いわゆる「CBA(Collective Bargaining Agreement)」が12月1日で期限が終了するのだが、残り時間は約2週間に迫った現在でも、両者は平行線を辿ったままの状態なのだ。

 今やほぼすべてのメディアが12月2日以降のロックアウト実施を予測しており、今年のオフシーズンは、まったく先が見通せない状況に追い込まれることになりそうだ。

【労働闘争による活動停止は1994年以来】

 ロックアウトが実施された場合、労働闘争によるMLBの活動停止は1994年のシーズン途中から実施されたストライキ以来ということになる。前回は両者の合意が翌年までずれ込んでしまったため、1995年のシーズンも144試合に短縮されるほどの影響を及ぼしている。

 ちなみにスポーツ専門サイトの『the Score』がまとめた資料によれば、これまでMLBでは1972年に初のストライキが実施されて以来、計8回にわたり労働闘争により活動が停止している。その内訳はストライキが5回で、ロックアウトが3回となっている(別表参照)。

(筆者作成)
(筆者作成)

 表を見てもらえば明らかなように、試合が中止に追い込まれる事態になっているのはストライキだけで、ロックアウトに関しては停止期間も短く、シーズン実施に大きな影響を及ぼしていない。

 ただ今回のロックアウトは、メディアの間では話し合いが長期化するという見方が一般的で、合意は2月中旬になると予測するメディアも少なくない。現時点でさえ、最低でもスプリングトレーニング実施に影響を及ぼしかねない状況にあると考えられている。

【一切の契約交渉がストップしてしまうロックアウト】

 ところでストライキとロックアウトの違いは何かといえば、自らの要求が受け入れるまで労働組合(選手会)が職場放棄するのがストライキで、逆に合意するまで企業(MLB)が職場から組合員を閉め出すのがロックアウトになる。

 今回はオフシーズンであり選手会は放棄できる職場がないので、ストライキを実施することはできない、そのため活動を停止する場合はロックアウトになるというわけだ。

 つまりロックアウトはMLB主導で活動が停止されるため、選手たちは一切の球団施設が使用できなくなり、球団スタッフとの接触もできなくなる。オフの間は球団施設を利用してトレーニングする選手は決して少なくなく、そうした選手たちは多大な被害を受けることになるだろう。

 それだけではない。ロックアウト期間中は一切の契約交渉も停止されることになるのだ。

 1994年のストライキの際はチーム間のトレードなどは許されていたが、ロックアウトでは完全にシャットダウンされてしまう。もちろんFA市場も完全にストップしてしまうことになる。

【12月1日までの駆け込み契約が続出か?】

 前述通り、一端ロックアウトが実施されてしまえば、両者の話し合いは来年まで長期化すると予測されており、どんな選手も早めに契約を決めておきたいと思うのは当然のことだろう。

 ESPNなどの報道によれば、コーリー・シーガー選手やマーカス・セミエン選手などの大物FA選手たちが12月1日の期限内に契約をまとめようと動いているようだ。それは自らのオプション権を破棄しFAになった菊池雄星投手も同様だろう。

 残り2週間でどれだけの駆け込み契約が成立していくのか、ぜひ注目して欲しいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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