【大谷選手ら日本人選手の契約問題に関心が高い日本メディア】

 MLBは現在、ポストシーズンの真っ最中で、ア・リーグはアストロズとレッドソックス、ナ・リーグはブレーブスとドジャースがワールドシリーズ進出を目指し、熱戦を繰り広げている。

 その一方で、すでに敗れてしまったチームはストーブリーグに突入し、来シーズンを見据えて動き出しているが、日本のメディアも大谷翔平選手の契約延長や筒香嘉智選手や菊池雄星投手の契約など、日本人選手を中心に強い関心を示しているようだ。

 いずれにせよ本格的にストーブリーグがスタートするのは、有資格者が正式にFA選手として扱われるワールドシリーズ終了の翌日からになる。ただ今オフは、MLBと選手会の間で新たな労使協約を妥結する必要があるため、状況は例年以上に複雑化していきそうだ。

【大谷選手と筒香選手ではなぜ違う?】

 そうした中、日本のメディアではMLB在籍2年目だった筒香選手は、「シーズン終了後にFAになる」とする一方で、MLB在籍4年目の大谷選手は、「MLB在籍日数が6年に達していないためFA取得は早くても2023年オフになる」と報じている。

 もちろんそうした報道に間違いはないのだが、両選手ともにポスティングシステムを利用してMLBに移籍しているはずなのに、なぜこうした違いが生じてしまうのかと疑問を抱く方もおられるのではないだろうか。

 そこで今回は、両者の身分に違いを生み出している理由についてきちんと説明しておきたいと思う。

【大谷選手は海外アマチュア選手扱いだった】

 まず結論から言ってしまうと、現行の労使協約こそが両選手の身分に違いを生じさせているのだ。

 大谷選手がMLB挑戦を表明した2017年オフのことを思い出して欲しい。大谷選手は5年間在籍した日本ハムからポスティングシステムを利用してのMLB移籍を容認され、晴れてMLB挑戦の切符を掴んだ。

 すでにMLBからも注目を集める逸材だった大谷選手のMLB挑戦だけに、当初は破格の契約になるだろうと報じられもした。だが実際は、そうではなかった。労使協約の変更で大谷選手の身分が変更になってしまったからだ。

 従来までなら大谷選手は「NPB出身のプロ選手」として扱われていたのだが、変更後は日本人選手を含め、「年齢が25歳以上でMLBが認めるプロリーグで6年以上の在籍」した選手しか「海外プロ選手」として認められなくなり、大谷選手は「海外アマチュア選手」の扱いになってしまったのだ。

 そのためポスティングシステムを利用してMLBに移籍はできるものの、他のアマチュア選手同様に最初はマイナー契約しか結べないし、メジャー昇格した後も契約は最低年俸から始めるしかなかった。

 もちろん大谷選手の身分が今後も変わるはずもなく、エンジェルスから解雇されない限り、MLB在籍日数が6年を経過しないとFA資格を取得できないでいるのだ。

【筒香選手は契約期間が終了すれば常にFAに】

 一方の筒香選手は、NPBで海外FA権を取得していなくても、年俸の他に前所属チームへの移籍金(譲渡金)が発生し、交渉期間が制限されるだけで、身分的には「海外FA選手」と何ら変わりはない。

 MLB在籍日数に関係なく、契約期間が終了すれば自動的にFA選手として扱われるし、年俸調停もまったく関係ないのだ。

 今シーズンの筒香選手は、レイズからトレードされたドジャースで一度チームから解雇されており、この時点でレイズと結んだ2年契約は終了しているし(年俸についてはレイズとドジャースに支払い義務は残る)、すでにFA選手になっている。

 その後パイレーツと新たにメジャー契約を結んだわけだが、あくまで残りシーズンの期間限定だったので、ワールドシリーズ終了までにパイレーツと再契約できなければ自動的にFA選手になるというわけだ。

【本格的な契約交渉は来オフが濃厚】

 如何だろう。以前から指摘されていたことだが、もし大谷選手がもう1年待ってMLBに挑戦していたら、状況は一変していたのだ。

 最初から複数年の高額年俸を得ていただろうし、4年目が終了した今オフには契約期間も残りわずかになっていたはずなので、今以上に契約延長で大騒ぎになっていたに違いない。

 残念ながら今オフの大谷選手はあくまで年俸調停2年目の選手であり、来シーズンの契約も合意済みだということを考えれば、大谷選手とエンジェルスが本格的な契約交渉に乗り出すのは来オフになりそうな気がする。